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作文の特に得意でも特に苦手でもない普通の子の勉強法  2012年4月5日  No.1511
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 作文の勉強ですぐに効果の表れるのは、得意な子と苦手な子です。

 得意な子は、書くこと自体が考える勉強になっていますし、新しい書き方もすぐに身につけます。

 一方、苦手な子は、書き方の手順さえ示してあげれば、だれでも書けるようになるので、やはりすぐに上達します。体験学習で、普段書けない子が驚くほど書けるというのは、こういう場合です。

 ところが、大多数の普通の子は、作文をただ書かせるだけではあまり上達しません。自分の書ける範囲で書いているだけでは、力を伸ばすきっかけになる負荷がないからです。



 世間の作文指導の多くは、赤ペンによる添削が中心になっています。添削は、最初のうちこそ効果がありますが、何回か書いているうちに、赤ペンでは直すことがなくなってきます。添削に力を入れても、作文が上達しなくなってくるのです。



 そこで大事になるのが、事前の予習です。

 作文の勉強は、難しくすれば力がつくかというと、そういうことはありません。難しい課題を書かせようとすれば、ただ書けなくなるだけです。優しい課題で書かせれば楽に書けるので力がつかない。難しい課題で書かせれば、書けないのでやはり力がつかない。作文指導が簡単そうに見えて簡単でないのは、こういう事情があるからです。



 ところが、作文の課題の難しさは、他の勉強の難しさとは少し性格が違います。課題は日本語で書かれていますから、日本語を読み取ってそれを自分なりに理解することが難しいというのが、作文の課題の難しさです。

 日本語で書かれた文章が難しい場合、どのようにその文章を理解するかというと、ひとつはその文章をわからないながらも繰り返し音読して全体の流れをつかむことです。次に、その文章で自分が読み取ったことをほかの人に説明してみることです。そして、次にその説明に合わせて、いろいろな似た例を当てはめてみることです。これが、「音読→説明→対話」の予習です。



 普通の子が作文の実力をつけるためには、作文の上で添削するのではなく、作文を書く前の読む勉強に力を入れていく必要があります。

 難しい長文を読んで、その内容をほかの人に説明しようとすれば、普段自分が使わない語彙を使わなければなりません。そういう語彙の使い方が、作文を書くときの語彙として生きてきます。

 感想文を書くためには、似た例を思いつかなければなりません。長文の説明のあと、その長文に関して家族で対話をすれば、その対話の一部が似た例につながってきます。また、たとえ直接の似た例が見つからなかったとしても、その長文をめぐって話をしようとすること自体が考える力をつける勉強になっています。



 作文の勉強は、書く勉強と思われがちですが、書くというのは結果です。結果を直そうとすることは、結果に出ている形を整えるようなことです。植物で言えば、既に咲いている花の向きを変えたり、既に伸びている枝を選定したりするようなことが、結果を直すことです。

 大事なのは、結果を直すことではなく、そういう結果を生むようになった原因のところに手を入れることです。植物で言えば、根をしっかり張るようにさせて、その根に水や肥料を与えることです。



 作文を見ると、その子の本当の国語力がわかります。

 国語力は、国語のテストではわかりません。なぜなら、国語のテストは、点数で差をつけるために、国語力以外の注意力とその注意を向ける方法とを必要とするからです。

 本当の国語力は、少し難しい文章を書く練習と、そのために、少し難しい文章を何度も音読して、その文章をもとに対話をすることで身についてくるのです。

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