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暗唱は完璧にできるところに意味がある  2014年6月28日  No.2165
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 暗唱は、「てにをは」も含めて1文字も間違えずに、途中でつっかえたり考えたりせずに、最初から最後まで一気に滑らかにできるのが本来の形です。
 貝原益軒は、百字の文章(四書五経など)を百回、空で読み空で書くという暗唱法を提唱しました。時間にすれば30分ぐらいの暗唱練習です。これだけやれば、誰でも1文字も間違えずに滑らかに暗唱できるようになります。これが、昔の寺子屋の勉強の基本でした。
 しかし、現代の子供が、百字を百回読むというような暗唱法で練習できるかといえば、そういうことはまずできません。そこで、言葉の森では、1日の回数をもっと少なくして、最終的にひとつの文章(900字)を百回読むような暗唱法にしたのです。このやり方を覚えていれば、将来、自分が本当に暗唱したい文章があったときも同じやり方ですぐに暗唱できるようになります。言葉の森の暗唱は、暗唱法を身につけるための暗唱でもあるのです。

 暗唱は、文章を覚えることが目的ではありません。何度も繰り返し音読することが目的で、その結果としてその文章を覚えることになるということです。だから、暗唱チェックの仕方は、文章を覚えているかどうかにしていますが、それは覚えたかどうかを見るためではなく、暗唱の練習を毎日していたかどうかを見るためなのです。

 なぜ、文章を覚えただけでは不十分で、覚えたあとも繰り返し暗唱し完璧に言えるようにするかというと、そのようにして暗唱した言葉は、日常生活のほかの場面でふと思い出すようになることがあるからです。
 覚えたものをただ再現できるというだけであれば、それは「覚えた」という衣服を着たようなものですから、時間がたてば衣服を脱ぐように忘れてしまいます。ところが、覚えた以上に更に繰り返した暗唱は、日常生活の場面でふと口をついて出ることがあります。このときに、暗唱した文章は、脱ぎ着できる衣服ではなく、その人の身体の一部のようになっています。

 これは、読書でも同じです。いろいろな本をたくさん読むのはよいことですが、それはいろいろな衣服を次々に着てみたというような読み方です。たくさん読んだわりに、自分の身についているものは少ないのです。
 それとは反対に、自分の好きな数冊の本を何度も読むような読み方をすると、その本は衣服ではなく身体の一部のようになります。だから、子供時代に、同じ本を何度も読んだという経験のある子は、読む力や書く力がつくのです。

 繰り返した言葉は、ただ理解するための言葉ではなく、表現するための言葉になります。その表現できる言葉が、その人の思考力のもとになる言葉になるのです。


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