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本質教育、実力教育、創造教育、文化教育(その1)  2014年12月19日  No.2273
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「春は、あけぼの。やうやう白くなりゆく山ぎは少し明りて紫だちたる雲の細くたなびきたる。
 夏は、夜。月の頃はさらなり。……」(枕草子)

 「枕草子」のような文章は、これまでは、国語という教科の中の古典の勉強として、受験勉強の一部のようなものと考えられていました。しかし、これは、受験勉強としてではなく文化の勉強として行われていくものです。
 日本の古典の代表的な作品は、文系の人だけが勉強すればいいのではなく、日本人であれば、理系の人も含めて誰でも、日本文化の共通の教養として味わい身につけていくものです。

 そのようなことを、本質教育、実力教育、創造教育、文化教育という形で述べていきたいと思います。

 現在、勉強というものは、単線的にとらえられています。
 小学1年生で習う漢字の書き取りや算数の四則計算という初歩の教育の発展した延長に、難度の高い受験勉強があるように思われています。
 しかし、勉強の本質は、もっと複線的、多面的、重層的なものです。その重層性は、本質教育、実力教育、創造教育、文化教育という言葉で表されます。
 それを樹木になぞらえると、本質教育が幹や枝、実力教育が葉、創造教育が花、そして文化教育が実と言ってもよいでしょう。根の部分は、教育の前提になる体力や健康で、それを支えるのが周囲の安定した平和な環境です。

■本質教育

 本質教育とは、勉強の基礎です。かつて読み書き算盤と呼ばれていたような、その後の教育の土台を作る国語と算数の教育です。
 現在、この本質教育が、ひとつの危機に陥っています。かつての日本は、国民の経済格差が最も少ない国のひとつでした。しかし今、経済格差の拡大に伴う形で、教育の格差が広がっています。
 PISAの推移を見ると、昔は、点数の分布の傾斜が緩やかで、成績の低い子でも他国に比べればそれほど低くはないという状態でした。今は、低い子は途上国の低い子よりも低いという状態になっています。

 教育の現場では、少学校低学年で先生の言うことを聞けない子が増えているようです。先生の指示ができないということは、教育の前提が失われているということです。これは、先生の指導の力量の問題ではありません。ある集団に、言うことを聞けない人が何パーセントかを超えていると、その集団はもう誰によってもコントロールできないようになります。
 最近は、このように先生の指示がよく聞けない子を、学習障害などというレッテルを貼って済ませている面がありますが、これは障害ではなく教育の失敗としてとらえる必要があります。

 この本質教育の土台は、学校ではなく家庭にあります。家庭の教育が失敗しているのです。
 しかし、それを単に親のせいにすることはできません。家庭での教育は、どの家庭でも多かれ少なかれ欠点を持っています。それは、親がたったひとりで試行錯誤の中で子育てをしなければならないからです。
(つづく)

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