国語読解力は、あらゆる学力の基礎。問題集読書の復読と、読解検定の自主解説で確実に力がつく
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知能を高める教育(その9)  2007年10月11日  No.188
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 知能を高めるためには、(1)パラダイムのある本を読む、(2)本をパラダイム的に読む、の二つが大切だと書きました。
 パラダイムのある本とは、いわゆる昔から読みつがれている古典です。
 本をパラダイム的に読むとは、大人と子供が共通に読んでいる本をもとに、大人がパラダイム的な読み方を生活の中で実践することです。
 例えば、大人にも子供にもよく知られている本「桃太郎」を例として説明しましょう。
子:「ぼくのところのサッカーチーム、A君は足が速いけどパワーがないし、B君はうまいけど自分ひとりでやっているし、C君は明るいけどスピードがないし……、何とかならないかなあ」
父:「うーん、そうだね。『桃太郎』は、犬や猿やキジの欠点を直して戦ったのではなく、それぞれが自分の持ち味を出して戦ったんだろう。そう考えれば、何か別の見方ができるんじゃないかなあ」
子:「あ、そうか。A君はかみつき、B君はひっかき、C君は相手の目をつつけばいいんだ」
父:「違うだろ」
 一度、こういう読み方に気づいた子供にとって、「桃太郎」という本は、単なる表面的な物語ではなく、現実を読み取る道具となります。
 パラダイム的に読むための前提は、大人と子供に共通に読める本があることです。そういう本がたくさんあることがその国の読書文化の豊かさです。決して新しい本が次々と出版されることではありません。
 しかし、親が昔読んだ本をそのままの形で出版しても、子供は読みたがりません。そこで、日本の伝統である換骨奪胎や本歌取りが生きてくるのです。
 日本の長い歴史的伝統の中には、きわめて優れた書物があります。しかし、それらの古典の多くは、岩波文庫などで博物館的に保存されていることが多く、現代に活用される形にはなっていません。それらの本を現代の言葉で復活させることが今後の読書文化の大きな柱になると思います。
 歴史的な伝統を受け継いでいないという点では、現代の親の世代もまた、日本の読書文化の伝統から切り離された浮き草のような読書を続けてきた世代です。欧米に匹敵するかそれ以上に深い伝統を持つ日本の文化を現代に生かすことが、これからの私たちの課題になると思います。

 以上、頭をよくする方法をまとめると、
1、親が昔読んだ本を子供にも読ませること
2、親子の共通の読書文化を背景に親と子が対話をすること
3、子供に、日本や世界の古典を読ませること
4、親自身も、日本の古典を新たに読むこと
となると思います。

 試験で他の人よりもよい点数を取って、成績を上げたりどこかに合格したりすることは、もちろん重要なことですが、単なる手段です。この手段を達成するために必要なことは、二次元的で量的な勉強です。
 しかし、勉強の本当の目的は、三次元的で質的な頭のよさを育てることです。そのためには読書が必要で、その読書は、小学校低学年のころはたくさん読む多読、学年が上がるにつれて、親の世代が読んだものと同じような古典を読む古読と、親子の対話で読書を生かす対読、更に、パラダイムの創造に役立つ難読、やがてもっと成長したら自分の未知の分野を広げるための新読、という方向で進めていく必要があると思います。(おわり)

233-0015 233-0015 横浜市港南区日限山4-4-9言葉の森オンラインスクール 電話045-353-9063
 
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