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暗唱でなぜ頭がよくなるか  2009年1月23日  No.366
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 暗唱でなぜ頭がよくなるのかということについて、理論と実例を述べてみたいと思います。
 まず、理論の世界では二つのことが考えられます。
 第一は、日本語を繰り返し音読すると脳波がΘ波になるということです。これは、私(森川林)も実験をして確かめたことがあります。大阪大学の政木氏は、昔パラメモリーという装置を作っていました。これもやはり、脳波をΘ波化するもので、頭をよくするという効果があるということでした。現在、残像訓練でも脳波がΘ波になりやすいということが科学的に確かめられています。これは既に、スポーツの分野で利用されているようです。
 日本語を音読することによって脳波が変化するというのは、私は母音言語の特徴なのではないかと思っています。母音言語は世界の中で日本とポリネシア地域にしかないと言われています(ポリネシアというのは、ハワイ、ニュージーランド、イースター島を結んだ三角形の中の地域です)。そういう背景があるので、日本には念仏を唱えるという文化があるのではないかとも考えられます。しかし、以上の話はまだはっきりとは検証できていないものですから、今後更に研究する必要があります。
 第二は、もっと根本的な理論です。人間の思考力のほとんどは言語的な思考力だと思います。このほかに、数学的な思考力というものもありますが、これもその仕組みは同じです。言語による思考力があると、物事を平面的、羅列的に見るのではなく、構造的にとらえることができるようになります。この構造的なとらえ方を、その場限りの単なる知識的な理解に終わらせず、手足の一部のように自由に使えるようになるところに暗唱の意味があります。つまり、物事を構造化する能力が、確実に自分のものになっているということです。
 これは数学の勉強を考えるとわかりやすいと思います。数学の得意な人は、反復練習によって数学的な考え方が自分の身体の一部のように自由に使えるようになっています。そこで、苦手な人からみると、数学の得意な人は理解しがたいひらめきがあるように見えるのです。
 次に、具体例を三つあげたいと思います。
 第一は、湯川秀樹の例です。湯川秀樹は、「旅人」という自伝の中で、自分の子供のころの勉強の様子を書いています。それによると、小学1年生のころ、祖父から論語の素読をさせられたそうです。それが後年、自分が本を読むときに大いにプラスになったと述懐しています。
 第二は、貝原益軒です。益軒は、江戸時代に80代という高齢で「養生訓」や「和俗童子訓」という著書を著しました。それだけにこの書物は、人生経験の裏づけを持つ説得力のある内容となっています。益軒の思想は、当時の日本のかなり田舎の方にまで広まっていたそうです。たぶん、このことが、教育を重視する日本の国民性の土台の一つになったと思います。彼は、その著書の中で、四書五経などを毎日100字分100回暗唱することをすすめています。そして、これは子供の勉強に限らず、大人にとっても大きな効果があると述べています。
 第三は、現代の例です。言葉の森では、昔、長文音読のほかに短文暗唱もしていました。この短文暗唱を小学校低学年のころから真面目にやっていた子は、確かに頭がよくなりました。ただし、頭のよさと学校の成績は、普段は一致しない面もあります。学校の勉強は、その場でその場で真面目にやっている子の方が成績がよくなるからです。ところが、受験勉強などを本格的に始めると、頭のよい子は、すぐに成績が上がってきます。例えば普段のクラスの成績は40人中10番ぐらいだとします。ところが、受験の時期に入り本格的に勉強しだすと、半年か1年ぐらいで学年のトップクラスなってしまうのです。
 今、暗唱を始めた子は、これからだんだん大きな成果が出てくると思います。ただし、家庭での学習で、暗唱のほかに大事なこともいくつかあります。それらは、読書、対話、愛情のある生活です。(つづく)
(この文章は、構成図をもとに音声入力した原稿をamivoiceでテキスト化したものです)

マインドマップ風構成図
 記事のもととなった構成図です。

(急いで書いたのでうまくありません)

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