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記憶力仮説(その2)  2009年2月27日  No.401
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 一般に、人間は短期記憶で同時に7つぐらいの記憶しかできないと言われています。例えば、10桁の電話番号を言われたら、メモでもしないかぎりしばらくたつと忘れてしまいます。
 ところが、複数の記憶をチャンク化(まとめること)することによって、短期記憶の容量を広げていくことができます。例えば、0120−22−3987を「まるいにわ、ふたつさくはな」と覚えるような具合です。語呂合わせやイメージ化によって、個々ばらばらの数字をいくつかのまとまったイメージとして覚えるということです。このように本来記憶しきれない多数の素材であっても、それらをまとめると、たくさんの事柄が一度に覚えられます。
 この、ひとまとまりの記憶単位を拡大するというのが、記憶力をふやす基本なのではないかと思います。
 例えば、英語の単語を単語帳で覚える場合です。日本語と英語を一つずつ対応させる形で単語を覚えていくと、始めに覚えた単語と、次に覚えた単語との間で干渉作用が起こり、最初に覚えた単語は忘れていきます。ところが、単語を一つずつを覚えるのではなく、1ページまるごと覚えるような覚え方をしていくと干渉作用は起こりにくくなります。このため、単語は単語帳でばらばらに覚えるよりも、文章を読む中で覚えた方がよいと言われるのです。
 記憶術は、こういうやり方ではありません。日本語と英語の一つずつの対応を、ほかの単語との干渉作用が起こらないような狭い引き出しに入れて覚えるという覚え方になります。その狭い引き出しになるのが、その単語に割り振られた独特のイメージや語呂合わせになるのです。
 塙保己一は、16歳のころ、300字以上ある般若心経を毎日100回暗唱することを自分に課したそうです。そして、盲目でありながら、多数の書物を暗記し、全530巻の「群書類従(ぐんしょるいじゅう)」を編纂しました。
 似たような例が、シュリーマン、本多静六、貝原益軒などにも見られます。
 これらの例から考えられることは、数百字の文章を暗唱し、暗唱できるようになったあとも更に反復して暗唱することによって、人間の脳にその数百字の文章がひとまとまりの記憶単位として定着するのではないか、ということです。
 これは例えば、社会科などの教科書で何かの知識を覚える場合でも、その知識を覚えるだけではなく、いつのまにか、その知識がどのぐらいのページのどのぐらいの位置に書いてあったのかをうっすらと覚えているのと似ています。
 記憶術を使わずに記憶力を伸ばすとどういう利点があるかというと、その記憶が思考力に生かせるということです。言葉の森の暗唱の勉強も、このような記憶力の土台となる暗唱力をつけるという方向で発展させて行きたいと思ってます。

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