元の記事:言葉の森新聞2026年8月4週号 通算第1912号 (5733字)
言葉の森事務局(jun)
2026/08/22 13:58:36 19533
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言葉の森新聞2026年8月4週号 通算第1912号
文責 中根克明(森川林)
■■8月29日(土)・30日(日)・31日(月)は休み
8月29日(土)・30日(日)・31日(月)は、第5週のため通年クラスの授業はありません。
■■第4週は清書。幼稚園生は作文(作文クラス)
幼稚園年中と年長の生徒は、第4週も普通の作文を書く練習です。自由な題名で作文を書いてください。
小学1年生以上の生徒は、清書を行います。
■ 清書の意義と方法
清書とは、これまでに書いた作文の中で内容がよかったものを書き直すことです。
内容がよいとは、個性、感動、共感などがあるということです。
書き直すときは、次の点に留意してください。
(1)漢字で書けるところは漢字で書く。
(2)たとえや自作名言を工夫できるところがあれば工夫する。
(3)似た話や続きの話を書くことによって字数を増やす。
(4)作文用紙の空いているところに絵などをかいてもよい。
■清書の投稿
清書した作文は、小学生新聞や一般紙などに投稿してみましょう。
手書きの清書の原本を、新聞社に投稿したり、コンクールに応募したりする場合は、清書のコピーの方を先生に送ってください。
新聞社に投稿する際は、作文用紙の欄外又は別紙に次の事項を記載してください。
(1)本名とふりがな(2)学年(3)自宅の住所(4)自宅の電話番号(5)学校名(市区町村名から)(6)メールアドレス。
投稿する際は、ペンネームを本名に訂正しておいてください。作文の中に友達の名前が固有名詞で入っている場合は、イニシアルなどに直しておいてください。投稿する作文の内容は、保護者がチェックしてあげてください。
同じものを複数の新聞社やコンクールに送らないようにしてください。これは二重投稿といって、もし両方に掲載されてしまった場合、掲載先に迷惑をかけることになります。
●小学生新聞の投稿先
■104-8433 東京都中央区築地3-5-4 朝日小学生新聞「ぼくとわたしの作品」係
■100-8051 東京都千代田区一ツ橋1-1-1 毎日小学生新聞「さくひん」係
●新聞社に送る清書は市販の原稿用紙に
新聞社に送る清書は、市販の原稿用紙に書いてください。
その理由は、清書は個人で送るものなので、自分で用意した原稿用紙に書くのが、社会的なルールとなるからです。
※清書した作文を投稿しない場合でも、額などに入れて家の中に飾っておきましょう。
■■アフターゾロリ問題を考える――新しいオンライン読書教育としての推薦図書クラス
◆◆「アフターゾロリ問題」と子どもの読書の本質
小学生の読書で大事なことは、面白い本、楽しい本をたくさん読むことです。
真面目な本、つまらない本を、薬でも飲むかのように少しずつ読んでも読書力はつきません。
そういう子どもの読書の本質がわかっていないと、アフターゾロリ問題というようなことがあたかも重大な問題であるかのように思ってしまいます。
「アフターゾロリ問題」とは、ゾロリを卒業した後に読む本が見つからず、読書離れしてしまうという問題です。
先日、保護者向けの読書のアドバイスで「かいけつゾロリのような本がいいです」と話したら、保護者の方の中に、「ゾロリって読まない方がいいと思っていた」という方がいました。
確かに書かれている内容は面白いが、品のないものも多いので、そういう本ばかり読んでいては困るという感覚があったのかもしれません。
◆◆読書力につながる「質の高い文章」とは
しかし、大事なのは文章の質です。
「かいけつゾロリ」の文章は、説明的な部分がしっかりしているのです。
逆に、書名はあえて書きませんが、誰もがよい本だと思っている本の中に、会話中心で書かれているものがあります。
それは、結局ストーリーの面白さで読ませているということで、読者が立ち止まって考えたり、論理をたどったりする部分が少ないということです。
似たようなことは、近年の中学生の英語の教科書の英文についても感じたことがあります。
子どもの興味を引き、読みやすくするために会話を多く使っているのですが、身近なストーリーの面白さで読ませているので、文章を考えて読む要素が少ないと思ったのです。
文章には、内容の面白さとともに、表現の質の高さも必要です。
質の高い文章というのは、ストーリーの部分以外の説明的なことがしっかり書かれている文章です。
ストーリーで読むというのは、動画のスクリーンを見ることと似ています。
疑似的な体験としては面白いのですが、考える要素の少ない文章なのです。
小学生時代の読書は、読書力をつけることが第一の目的で、読書力をつけるためには多読が必要です。
だから、多読のために面白い本を何度も繰り返し読んでいく必要があるのです。
◆◆中高生の読書に必要な「考える力」と原典の価値
ところで、中学生や高校生になっても、物語文の本を中心に読む生徒もいます。
中学生、高校生の読書は、娯楽のために読むというよりも、考える力をつけるために読むと考える必要があります。
考える力をつけるためには、物語文の本だけでなく、説明文、意見文の本を読んでいく必要があります。
中でも、古典と呼ばれるような説明文の本は、単に知識を得るために読むのではなく、作者が格闘した考え方の跡も読むことになるので、考える力を育てることにつながります。
入門書や概論書というのは知識を得るための本ですが、そのもとになった著者の原典の本は、知識のために読むのではなく、考えるために読む本です。
中学生、高校生の人は、「○○入門」という本で終わらずに、もとの「○○」という本を読んでいくことが大事です。
さて、最初に書いた「アフターゾロリ問題」に戻ると、大事なことは、「ゾロリの次に何を読むか」ではなく、「楽しく読む子を、考えて読む人へどう育てるか」ということです。
◆◆電子書籍を活用した「推薦図書リスト」と「推薦図書検定」
言葉の森では、子供たちの読書の指針となるように、推薦図書リストを作りました。
https://www.mori7.com/tosyo/
(8/19現在382冊)
海外の生徒でも利用できるように、Kindle化された本を中心にした図書リストにしています。
「かいけつゾロリ」は、残念ながらまだKindle化されていませんでしたが(笑)。
言葉の森では、このリストのそれぞれの本について、推薦図書検定の問題を作っています。
○×問題が8問、記述問題が2問。解答送信後、200字の講評が表示されます。
問題は、まだ言葉の森の生徒しかできませんが、いずれ誰でもできるようにする予定です。
◆◆読書習慣を定着させる「推薦図書クラス」とオンライン自習室
ところで、推薦図書リストがあるだけでは、子供たちだけでこのリストを活用するのは難しいはずです。
そこで、言葉の森では、推薦図書クラスを開設します。
週に1回、オンラインの少人数クラスに参加して、それぞれ本を読み、互いに読書紹介をし、本を読み終えた人から順に推薦図書検定の試験に取り組むというオンライン教室です。
オンラインのクラスに参加するのは週に1回ですが、それ以外も毎日24時間自由に使えるオンラインの自習室があるので、そこで、気の合った友達と、またはひとりで、読書を進めていけます。
小学生のころから、推薦図書クラスで読書をし、中学生、高校生になっても、この図書リストを参考に読書を進めていくとしたら、それは、その生徒の読書力、思考力、人間性の成長に大きく貢献すると思います。
■■中学生の英語の基本的な勉強法
大学入試の英語は理解する勉強という面が強いのですが、高校入試までの英語は慣れる勉強という面が強いです。
考えて答える面よりも、条件反射的に答える勉強と言ってもよいでしょう。
そのためには、英語の勉強に時間をかける必要があります。
英語の成績が良い人は、英語の勉強に時間をかけた生徒で、英語の成績が悪い人は英語の勉強にまだ時間をかけていないということです。
では、どういうところに時間をかけるかというと、それは3つあります。
第一は英語の問題集を5回読むということです。
特に大事なのは文法的な説明のところです。
問題については頭の中で考えて、その後答えを見て、その答えを覚えるという勉強法です。
答えを見る勉強法なら、ノートに答えを書く勉強よりも5倍から10倍早くできます。
書く勉強法でなく、読む勉強法を中心にすることが大事です。
問題集は一種類に絞ることです。
その一種類の問題集を5回読むという勉強の仕方です。
第二は、英語の音読暗唱に慣れることです。
全科学力クラスの英語の授業で行っているのは「英会話・ぜったい・音読 【入門編】」という本です。
國弘 正雄さんが監修しているので、信頼できる本です。
この1冊を毎ページ20回音読し、暗唱できるようにします。
第三は、長文読解です。
受験が迫っている場合は長文読解に慣れる必要があるので、「全国高校入試問題正解英語」(旺文社)という問題集の長文のところだけを素早く読んで理解する勉強をしていきます。
英語の勉強は、始めてから成果が出るまでに長い時間がかかります。
私の感覚では、1生懸命勉強を始めて6ヶ月後ぐらいになると成果が見えるようになるという感です。
すぐに成績に結びつかなくても、毎日気長にやっていくことが大切です。
■■AGI、ASIにおける自己言及という考え方に欠けているもの――人間の学習における読書、作文の意義
◆◆人工知能は、与えられた課題には強い
人工知能は、与えられた課題については、人間よりも早く正しい答えを出すことができます。
人工知能は、人間が蓄積してきた膨大な情報や知識を学習しているので、与えられた問題に関しては、最も正しい答えに近い答えを出すことができます。
しかし、人工知能には、与えられた課題そのものの意味を、自らの生存や経験に照らして問い直すという点で限界があります。
▽参考記事
「ASI「人間の1万倍」は本当か…孫正義・アルトマンが語らない、AI進化“締切2030年”」
https://www.sbbit.jp/article/cont1/186195
「ビジネス+IT」
◆◆「そもそも、この課題に意味があるのか」と考える力
これが自己言及と言われるもので、例えば人間は何か課題が与えられた場合でも、「果たしてその課題はどういう意義があるのか」というところに遡って考えることができるので、異なる課題に切り替えて考えることもできます。
現在、人工知能にこの自己言及の能力をつけようという試みがなされています。
しかし、このことについて、私は人工知能が話題になった当初から、人工知能は人間を超えることができないと考えていました。
その理由はただ1つ。
人間は身体を持っているが、人工知能は身体を持っていないからです。
◆◆自己言及の根底にある身体性
この身体性というものが、知能の本質的な性格を決めています。
人間が自己言及という能力を持っているのは、与えられた課題よりも先に自分の身体があるからです。
だから、与えられた課題について、「こんなかったるいことはやっていられないから、そもそもこういうことをやる意味があるかどうか考えよう」というような発想が自然に浮かび上がるのです。
人間には身体があります。
身体があるから欲求があります。
欲求があるから価値判断が生まれます。
価値判断があるから「そもそも何のために」という自己言及が生まれるのです。
つまり、人工知能に分かち難く結びつく身体があり、その身体が気持ち良さを感じたり、痛みを感じたり、転んで怪我をしたり、成長したり、年を取って動けなくなったり、というようなことができれば、人工知能が自己言及を始める可能性は高まるでしょう。
それは人工知能というよりも、鉄腕アトムのような賢く強く優しいロボットのようなものになるかもしれません。
◆◆当面は、人間の身体と人工知能を組み合わせる
この人工知能の身体化という研究は、これから進んでいくでしょうが、当面は人間が人間の身体を生かして人工知能を活用するというやり方が最も現実的です。
そのために大事なことは、人間が高度な人工知能に匹敵するだけの高度な自己言及の能力を持つことです。
それは何かというと、物事を根本から考える力を持つことです。
その力とは、ひとことで言えば哲学です。
◆◆答えのない問題には哲学が必要になる
これからの人類が直面する課題は、かつてのような牧歌的なものではありません。
例えば、自然災害をどう防ぐかということなどに関しては、自己言及の必要性はあまりありません。
それは、課題の目指す方向が決まっているからです。
そもそも「自然災害を克服することにどういう意味があるのか」というような自己言及をする人はまずいません。
しかし、政治選択の問題や、臓器移植の問題や、将来予想されるかもしれない宇宙人との遭遇などについては、課題の前に高度な自己言及が必要になるのです。
◆◆AI時代に必要になる読書、作文、対話、実践
ここで言葉の森の仕事に結び付けると、哲学、つまり高度な自己言及の力を育てるものは、読書と作文と対話と実践だと思います。
これまでの学校教育は、人工知能でできることを人間がやろうとするものでした。
これからは、知識や情報に関しては人工知能を利用し、人間はその根本にある哲学を自分自身の身体性をもとに生かしていくことになります。
AI時代の教育は、答えを出す力を育てる教育から、何を問うべきかを考える力を育てる教育へ変わるのです。
※用語の補足(「自己言及」について)
論理学や認知科学で使われる「自己言及(Self-reference)」よりも、引用した「ビジネス+IT」の記事の文脈としては「メタ認知(問いそのものをメタ視点から問い直す力)」「前提の疑い・脱構築」に近い意味合いで使われています。