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暗唱の自習をどう進めるか  2011年6月2日  No.1278
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言葉の森が、暗唱の自習を始める前



 言葉の森が長文暗唱の自習を始める前、自習の内容は長文音読でした。(一時これに短文暗唱が加わっていた時期もありますが)

 長文音読の自習は、その後、学校などが始めるようになったため、学校の宿題と言葉の森の自習がぶつかるという問題が出てきました。

 また、長文音読は同じ文章を繰り返し読むことが大事なのですが、ただ声を出して読むことに意義があるような受け取られ方をするという問題も出てきました。

 そこで、長文音読よりも繰り返しの効果がはっきり表れ、達成感のある長文暗唱を自習の中心とするようにしました。



 この長文暗唱を始めるようになってから、子供たちが勉強を進める上で大きな変化がありました。いちばんの大きな変化は、作文力をつけるための努力の方向がわかるようになったことです。

 作文の実力というものは、一般になかなか上達しません。まだ、だれでもスランプというものがあります。

 従来の作文指導では、ただ書かせて添削するという形がほとんどだったので、子供たちが毎週いくらがんばって書いても、思ったようには上手にならないというジレンマがありました。

 ところが、この長文暗唱の自習を始めてから、作文は苦手だが毎日必ず自宅で暗唱を続けるという子が出てきました。その子供たちが、半年ほどたつと確実に作文力がついてきたのです。



家庭で暗唱の自習が続けにくいとき



 しかし、長文暗唱の自習は、長文音読の自習よりもずっとやりがいがあるにもかかわらず、やはり続けにくいものです。その理由は、ただひとつ、同じことを毎日繰り返すという勉強の仕方にあります。

 今の子供たちは、ビジュアルなメディアを利用した日々変化のある面白い教材や勉強法に慣れています。そういう子供たちにとって、毎日同じことを同じように続けるというのは、たとえそれが1日10分間であっても苦痛に感じることが多いのです。

 子供たちの実力を本当につけるのは、この同じことを繰り返すという勉強法です。目先の変わったものを次々とやっていく勉強では、確実なものはなかなか身につきません。これは、参考書や問題集の利用の仕方でも同じですが、高校入試や大学入試の勉強で実力をつける子は、例外なく同じ教材を何度も(普通は四回以上)繰り返してやっています。

 高校入試や大学入試の場合は、子供たち自身に勉強の自覚が出てくるので、この繰り返しの勉強も意義がわかれば無理なく取り組めます。しかし、小学生の場合は、この繰り返しを苦痛と感じてしまう子がほとんどなのです。



大事なのは、親の確信と忍耐



 ここで大事になってくるのは、親の確信と忍耐です。「毎日10分、暗唱の自習をしなさい」と、親や先生が何度か言うだけで、それを毎日しっかり続けられるような子はひとりもいません。人間は、創造性に富んだ生き物なので、同じことを繰り返すというのはすぐに飽きるのです。

 子供が毎日の自習に飽きて嫌がったときに、確信をもって続けさせられる親はあまり多くありません。というのは、暗唱の自習というのは、親自身もやったことがないので半分不安なところがあるからです。子供があまり嫌がると、これでいいのかと不安になってしまうのです。

 これと反対なのが九九です。九九を覚えることを子供がどれだけ嫌がっても、親は確信をもって続けさせることができます。九九は、親自身も子供のころに覚えた経験があり、やればだれでも例外なくできるようになることがわかっているので確信を持てるからです。

 暗唱の自習で、もうひとつ大変なのは、毎日、毎日親が口を酸っぱくして言わなければ続けられないということです。言葉の森の暗唱は、毎日10分間の練習でだれでも完璧に1ヶ月で1000字近くをよどみなく暗唱できるようになりますが、これが毎日ではなく、2日に1回とか、3日に1回ということになると、完璧とは言えない暗唱になってしまいます。そして、一応できたとしても、不完全な暗唱というのは、子供にとってはあまり達成感がありません。

 だから、暗唱の自習は毎日やることが大事なのですが、毎日できるかどうかの責任の半分以上は、親が毎日ひとこと声をかけてあげられるかどうかにあります。ここが、親の忍耐が必要なところです。

 また、小学校高学年や中高生の場合は、毎日一定の時間を確保するということ自体が難しくなるので、これは子供の生活状況の問題としてまた別に考える必要が出てきます。



無理なく毎日続けさせられればそれが家庭の文化になる



 勉強のさせ方の上手な親は、

1、子供に苦痛を感じさせず、
2、親もほとんど負担にならず、
3、毎日同じことを同じように続けさせて、
4、それを明るく楽しく褒めるだけ

という勉強のさせ方ができます。

 ちょうど、こんな感じです。

親「あ、今日の暗唱の時間よ」
子「はあい」
子(素直に暗唱の自習をする)
親「わあ、すごい。よく上手に読めるね」



 反対の場合は、こんな感じになると思います。

親「あ、まだ暗唱やっていないでしょう」
子「えー、やりたくない」
親「やらなきゃだめでしょ」(と、小言を言ったり、叱ったりする)
子(しぶしぶ暗唱の自習をする)
親「もっとちゃんと読みなさい」(などと注意するか、読み終えたあとも褒めない)



 こういう家庭での学習スタイルは、一種の家庭の文化ですから、一朝一夕にできるものではありません。そして、いったんできた文化を作りかえるというのは、とても大変なことなのです。

 だから、小学校1、2年生のころに、親が、子供にほとんど強制と感じさせない形で毎日の自習をする習慣をつけることができれば、その後の家庭学習はすべてうまくいきます。

 逆に、子供に強制を感じさせたり、毎日ということが徹底できない場合は、その後の家庭学習はなかなかうまく進みません。

 では、既に、子供に毎日の自習を続けさせることに困難を感じている家庭の場合はどうしたらいいのでしょうか。



暗唱が難しい場合は、読書の自習に切り替える



 小学校低中学年の勉強でいちばん大事なことは、何を勉強するかということではなく、どう勉強するかということです。

 毎日同じことを同じようにやるという勉強の仕方を定着させることが大事で、何をするかということはそのあとに出てくる問題です。

 そして、何をするかということについて、最も大事なのは、解く勉強をするのではなく、読む勉強をするということです。特に、国語の勉強については、読む時間を確保することが最優先です。

 暗唱の自習も読む勉強ですが、暗唱を毎日続けるというのは難度が高い勉強ですから、暗唱を続けにくい場合は、暗唱はやめて、読書という勉強に切り替えていくのです。

 子供が嫌がったり、親が毎日叱ったりしながら続けるような勉強は、どのような勉強であっても、プラスの面よりもマイナスの面の方が大きくなります。叱ってやらせるぐらいなら、やらない方がやはりいいのです。

 そのかわり、毎日の読書であれば、難度はずっと低くなるので、毎日続けさせることももっと簡単にできるようになります。

 これは、毎日一定の時間を確保しにくくなった小学校高学年や中高生の場合も同じです。また、小学校高学年以上の場合は、ただの読書のかわりに問題集読書に取り組むという自習に切り替えることもできます。



毎日の読書の続けさせ方



 読書や問題集読書の方が自習として簡単だと言っても、やはり毎日続けさせるには、親の確信と忍耐が必要になってきます。

 確信というのは、読む時間を確保することが、国語力、思考力、表現力をつける最も確実な土台になるという確信です。

 忍耐というのは、やはり毎日同じように、本を読ませるためにひとこと声をかけるということです。

 ここで大事なのは、毎日欠かさずにということです。ときどき読むとか、読みたいときに読むとか、忙しいときは読まないというのでは、家庭の文化にはなりません。

 読む本は、絵のスペースの方が字のスペースよりも多くないということを基準にするといいでしょう。具体的には、絵本でないこと、漫画でないこと、学習漫画でないこと、図鑑や雑誌でないことです。

 しかし、それは、絵本や漫画や学習漫画を読まないということではありません。どんなものでも読んでいいのですが、毎日の読書の自習として読むのは普通の本だということです。

 本の内容で、親のほとんどだれもが共通して陥りやすい失敗は、難しいものや有名なものを読ませようとすることです。

 読書で大事なことは、何を読むかということよりも、毎日読むということですから、子供が興味を持って読めるものを読ませることが大事です。

 そして、ときどき、「よく本を読むね」とか「読書が好きなんだね」などと声をかけてあげ、子供自身が自分は読書好きなのだという自覚を自然に持たせていくのです。



facebookで相談を



 トルストイの「アンナ・カレーニナ」の冒頭に、「幸せな家庭はみんな似通っているが、 不幸な家庭はそれぞれに不幸である」という言葉があります。同じように、「勉強のうまくできる家庭は、どこも似通っているが、勉強のうまくできない家庭は、それぞれにできない事情がある」ということが言えるようです。

 このときに大事なのが、個別の相談です。一般論としての自習の意義や方法はだれでもわかります。しかし、自分のうちの子にはできないというとき、そこにはその家庭の独特の事情ががあります。

 言葉の森では、現在facebookでさまざまなグループを作っています。自習のさせ方だけに限らず、読書のさせ方、読解問題の解き方、小論文試験の取り組み方など、多くのグループがあります。

 グループ参加には、何も制約がありませんので、ご希望の方はぜひ見学においでください。

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