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作文の中にユーモアを入れる練習  2012年3月26日  No.1503
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 4月からの勉強で、小学校高学年以上の生徒には、ユーモア表現という項目が出てきます。小学校中学年は、作文の中にダジャレを入れる練習をしました。今度は、もっと幅広くユーモアを入れる練習です。

 そして、自分の書いたその部分がユーモア表現のつもりだということがわかるように、「笑」や「項目マーク」を入れて書きます。しかし、普通の作文のときは、特にテストで作文を書くようなときは、こういう書き方はしません。ユーモア表現は、あくまでも言葉の森の4月からの練習として書いていくということです。

 では、なぜユーモア表現を入れるのでしょうか。

 笑いのないスピーチは、聞いていて飽きてきます。同じように笑いのない文章は読んでいると飽きてきます。だから、読み手に対するサービス又は思いやりとして、作文の中に笑いを入れて書くということです。

 では、笑いの本質とは何でしょうか。

 笑いとは、予想したところからずれたことを面白く感じる感覚です。

 例えば、小さい子供に、「いない、いない、バア」とやると大抵の子は笑います。これが、「いない、いない、いない」だったら笑いはありません。同様に、「バア、バア、バア」でも笑いは起きにくいでしょう。「いない、いない」で、次も「いない」かと思っているところに、反対の「バア」が来るから笑いが起こるのです。

 つまり、笑いは、未来に対する予想が前提になっています。動物たちには、未来というものはなくすべてが今の現実です。だから、「いない」も現実、次の「いない」も現実、次の「バア」も現実なので、動物たちは笑わないのです。動物には、喜びというものはありますが笑いはありません。

 こう考えると、人間に笑いを感じてもらうには、ずれを意識的に作ることが大事だということがわかってきます。そこで、「急に下げる」という面白さが出てきます。

 人間が関心を持つものは、一般に進んでいるもの、強くなっていくもの、大きくなっていくもの、上昇していくものです。その反対の、遅くなっていくもの、弱くなっていくもの、小さくなっていくもの、下降していくのものはあまり関心を持ちません。そこで、人間は、進んでいるものや上昇しているものがあると、その延長をつい予測します。その予測をくつがえすような下降が急に生じると、笑いが生じることが多いのです。

 笑いにはもちろん上げる笑いもあります。しかし、その上げる笑いの面白さも、裏返せば下げる笑いに結びついています。昔、「日本沈没」という小松左京のSF小説を題材にした映画がありました。筒井康隆は、この小説をパロディ化して、「日本以外全部沈没」という短編小説を書きました。タイトルを見ただけで面白いのは、これが日本を上げる一方、日本以外を全部下げているからです。

 一般に、共通の第三者を下げる笑いは考えつきやすいのですが、文章はその場かぎりの会話と違って独立したものとして残ります。だから、他人を下げるよりも、自分を下げるような笑いの方が普遍性があります。

 笑いには、文化の要素もありますから、これから日本の社会が成熟するにつれて、より高度な笑いの型というようなものが形成されてくるでしょう。しかし、今はまず読み手に対するサービスのつもりで、笑いの練習をしていくといいと思います。

 そして、おかしいときに笑うことは誰でもできますが、おかしくないところに笑いを作り出すのは、パワーがないとできません。逆に、パワーがなくても出てくるのは、グチ、不平、不満、などです(笑)。笑いは、表現の工夫であるとともに、生きる姿勢でもあるのです。

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