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家庭学習で余裕のある密度の濃い教育を――森の学校オンエア  2016年7月17日  No.2622
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●塾に行かなくても勉強の実力はつく

 今は塾に通って勉強している人がほとんどだと思いますが、その理由の第一は、みんなが塾に行っているのに自分も行かないと不安だからということだ思います。
 そして、塾や予備校は、家庭でひとりで試行錯誤して勉強するよりも効率のよい勉強方法を教えてくれます。また、友達と一緒に先生の授業を聞くことによって、友達との交流が楽しめるということもあります。
 また、塾に行かせればその時間否でも応でも勉強してくるので、家でテレビを見たりゲームをしたり、あるいはぼんやり勉強しているよりもいいと思うお母さんは多いと思います。

 しかし、塾で先生に教えてもらう勉強は、実は能率がかなり悪いのです。塾は、その能率の悪さをカバーするために、長時間勉強をさせたり、大量の宿題を出したりして成果を上げようとします。その結果、熱心な塾で真面目に勉強する子ほど、その詰め込み型の勉強に次第に飽きてきます。
 勉強は本来新しいことを学ぶという点で楽しいものであるはずですが、短期的な成果を上げるための詰め込み型の勉強を日常的に行っていると、勉強とは苦しいことに耐えることだという勉強観が形成されてくるのです。

 また、受験の点数を上げるための勉強は、考える勉強とはうたっていても実際には考え方を知識として教える勉強です。この知識中心の勉強を長期間行うと、そのときの点数は上がりますが、その後の学力、つまり本当の考える力は低下します。
 だから、受験勉強はある程度必要悪と割りきって、半年か1年集中して取り組むようにし、それまでは点数にこだわらない余裕のある学力を養っておくといいのです。

 余裕のある学力とは、毎日の学習習慣(短い時間でよいが毎日の自主的な勉強習慣)、毎日の読書(できれば学年相応よりやや高度な読書)、家族との対話(できれば知的な対話)、自分の好きなことに熱中できる時間、などによって構成される学力です。学校の成績の程度で言えば、教科書レベルの5段階でオール3.5~4でどこかにひとつ得意な5か5に近いものがあるというような学力です。
 こういう学力のついている子は、いざ受験勉強を始めると半年ぐらいの間にめきめき実力をつけます。そして、それまで早くから塾で勉強を始めて長時間の学習をしていた子を学力的に追い越してしまうのです。

●家庭学習で勉強を進める方法

 もちろん、家庭で複雑な受験情報を十分に集めることはできません。例えば、模擬試験のようなものを受けなければ、自分の位置がわかりませんから、勉強の軌道修正ができません。
 また、受験のための最後の半年間から一年間は、詰め込み型の集中勉強をする必要があります。実力をつけるための余裕のある勉強と、勝負に勝つための集中的な勉強は性格が違いますから、受験直前は勝つための勉強と割り切って長時間集中して行う必要があるのです。

 この集中的な勉強は、本人の自覚が必要ですから、中学3年の受験生であれば可能ですが、小学6年生の段階ではまだひとりで行うのは無理です。だから、短期間の塾通いは難度の高い中学受験では必要になることがあります。しかし、それは最後の仕上げであって、実力のほとんどはそれ以前の家庭学習の中でついているのです。

 では、そういう実力のつく家庭学習をどのように進めていったらよいのでしょうか。
 勉強とは、何をどのようにやるか、つまり教材と方法が車の両輪です。車の比喩で言うと、教えてくれる先生がその車を引っ張ってくれる人で、教えてくれる教室がその車の走る道路と言えます。教材と方法を本人と家庭がコントロールして、自分で走る方向を決めて運転していくのが家庭学習です。

 この自分でコントロールできる家庭学習が、塾で教えてもらう学習よりも能率がよいのは、自分に合った勉強ができるからです。
 例えば、自分の勉強の目的や志望校がはっきりしていれば、そこに合わせて勉強の方向を絞ることができます。また、自分の得意と苦手の分析に応じて、勉強の重点を決めることができます。
 教材選びは、市販の参考書や問題集を組み合わせて行います。現在は多くの情報が公開され、その情報についてのほかの人の評価も参考にできる時代ですから、それらの評価を参考にして広い範囲から教材を集め、それを勉強の過程で絞っていくのです。

 勉強の方法の大原則は、1冊を完璧にです。完璧というのは、その教材を5回以上読むことと、解けない問題が一問もなくなるまで解くことです。だから、教材は、最初は幅広いところから集めていても、勉強の初期の段階で少数に絞っていくことが大事です。

 1冊に絞った教材を完璧にできるというのが、家庭学習の最大の利点です。
 逆に言うと、学習塾の教材は、量が多すぎることと完璧にできないことが弱点です。その弱点を補うために、塾は長時間の勉強をさせ、大量の宿題を出すのです。その結果、勉強以外の読書や経験の時間が減り、本当の学力がかえってつかなくなってしまうのです。

●家庭学習の不利な面をどう克服するか

 しかし、家庭でひとりで勉強していると、いくつかの不利な点が出てきます。
 その第一は、全体との比較ができなくなることです。だから、受験の場合は、ときどき模擬試験を受け、志望校の過去問に戻り、自分の勉強の軌道修正を行っていく必要があります。

 第二は、自分で時間管理をすることが難しくなることです。塾に行けば強制的に勉強の時間が決められます。しかし、自宅で勉強をしていると、うまくできる日とうまくできない日の差が出てきます。
 ところが、これが自己コントロールの練習になります。ひとりで自分を叱咤激励しながら苦しいことに取り組むという経験は、その後の人生で何度も出てきます。家庭学習は、この自分で時間管理をして取り組むという貴重な練習になるのです。

 第三は、ひとりで勉強をしていてわからないところが出てきたとき、そのわからないことを自分で解決することができない場合があるということです。

 これらの家庭学習の不利な点を克服するために考えられるのが、新しい形の教育の場です。
 現在の学習塾中心の勉強は、塾と子供が勉強の主体で、家庭はその補助という役割になっています。すると、親の仕事は、与えられた宿題をこなす手助けをすることぐらいになり、やがて勉強の内容ではなく塾の点数を通してしか子供の勉強の実態を把握できないようになってきます。
 いったんこういう関係ができてしまうと、塾の方が勉強の教え方は上手なので、親が再び勉強の内容に関わったり、子供が自分ひとりで勉強に取り組むようになったりすることはできなくなります。いったん塾に頼ると、塾に頼る以外の勉強の方法ができなくなってしまうことが多いのです。

 これに対して、新しい勉強の仕方は、子供と親、つまり家庭が中心になります。しかし、家庭中心の勉強の弱点である、全体把握の難しさ、自己管理の難しさ、疑問解決の難しさを克服する場として、第三者の教育機関が必要になります。

 この第三者の教育機関として言葉の森が考えているのが、「寺子屋オンエア」と「森の学校オンエア」です。
 寺子屋オンエアは、家庭での自主学習を少人数のオンエアのグループの中で先生がチェックするという形の教育の場です。小中学生の場合は、ひとりで孤独に勉強するよりも、グループの中で先生と一緒に勉強する方が勉強が進みやすいという面があります。しかも、この場合の勉強の中心は自分のペースでできる家庭学習ですから、グループの中で能率のよい勉強ができるのです。
 寺子屋オンエアは自主学習ですから、教科書レベルより少し上の基本的な勉強を自分のペースで進めていきます。

 一方、森の学校オンエアは、先生が勉強内容をリードする勉強です。
 森の学校オンエアのオンエア講座は、教科書レベルよりも更に先に進んだ勉強や、教科書とは異なる価値ある学力をつける勉強を先生がリードする形で進めていきます。
 しかし、その場合でも中心になるのは家庭です。家庭だけで進めていくのが難しい、通常よりも進んだ高度な勉強を、先生が手助けする形で進めていくのです。

 このオンエア講座の本講座は、3つあります。1~小3対象の読書実験クラブ、小4~小6対象の思考国算講座、中1~中3対象の先行学習講座です。
 読書実験クラブは、主に説明文の読書と、家庭での実験や家族とのい対話を生かすオンエア講座です。
 思考国算講座は、公立中高一貫校受験に対応した、考える国語と考える算数の学力を育てるオンエア講座です。
 先行学習講座は、中学生の定期テスト計画をアドバイスし、高度な国語読解と、先取りした数学と英語の学習を進めるオンエア講座です。

 いずれも、家庭だけで行うには負担があるので、先生がリードする形で家庭学習を進めていきます。
 言い換えれば、こういう高度で個性的な学習以外の、教科書レベルか教科書よりやや上のレベルの学習は、家庭だけで中学3年生まで十分に進めていけるのです。

●勉強の本当の目的は自分らしい人生

 子供が小学校低中学年のころは、家庭学習の弱点はほとんど出てきません。親が勉強の全体を把握でき、子供の時間を管理でき、子供の持つ疑問点もすぐに解決することができるからです。
 しかし、子供が小学校中高学年になると、家庭学習の弱点が次第に表面に出てきます。それは、親が勉強の全体を把握しにくくなり、子供の時間管理をしにくくなり、子供の疑問点を解決しにくくなるからです。

 また、小学校低学年のときに、親が子供にしっかり勉強させすぎると、中高学年になったときに子供が親に反発するようになります。
 しっかり勉強させすぎるというのは、長時間妥協なく勉強させることです。長時間というのは、子供が飽きてくるぐらいまで勉強させることです。妥協なくというのは、何かの都合で勉強時間が短くなった場合、それを別の日に例外なく補うような原則的すぎる勉強をさせることです。
 この原則性というのは、子供の生活習慣としては大事なことですが、親が絶対的な権限を持っていると、ほどほどの原則性ではなく、妥協のない原則性を発揮してしまうことが多いのです。
 嫌なことにも耐える力というのは子供には必要ですが、嫌なことに耐えさせすぎると、成長したときにそこから反発するようになります。

 小学校中高学年から塾に行くようになる子が多いのは、親も子も家庭学習がうまく続けられなくなるからという面もあります。
 ところが、本当は、子供が中学3年生になるまで、つまり義務教育の期間までは、子供と親が家庭中心に勉強する方が、勉強の能率としても、子供の生き方としてもずっとよいのです。
 小学校中高学年でいったん塾に行かせて勉強させ、その塾での勉強が中心になると、中学生になってから家庭学習に戻すというのはかなり難しくなります。
 だから、小学校低学年のころに無理のない家庭学習を行い、高学年になってもその家庭学習を続け、中学生になってからも家庭学習を基本に勉強を続けるというのが理想の勉強サイクルです。

 家庭学習の補助となる第三者の教育機関としてのオンエア講座は、子供が小学校低中学年のときには教科の勉強だけでない幅広い学力をつけることを手助けします。
 子供が中高学年のときには、学校で教わるよりも少し高度な勉強を家庭で進めることを手助けします。公立中高一貫校の受験を家庭中心に行う場合の手助けもします。
 子供が中学生のときには、学校での定期テスト対策と学校での勉強よりも先に進んだ勉強をすることを手助けします。

 こういう家庭学習中心の勉強をしてきた子供が高校生になると、親から離れても、塾や予備校に任せきりにせずに、自分ひとりで工夫して勉強できるようになります。この自分で工夫する勉強法が、大学生になっても社会人になっても必要な本当の勉強方法なのです。

 では、この勉強は何のために行うのでしょうか。勉強はそれ自体が目的ではありません。もっと大きな目的のための土台を作るのが勉強です。
 その目的とは、人生を幸福に生き、日々自分を向上させ、新しいものを創造し、社会に貢献することだと思います。この幸福、向上、創造、貢献の要になるものが創造です。その創造性を育てるのが作文だと思います。
 学力という幅広い裾野の上に、創造性という高い山頂を作るのが作文の勉強の役割です。学力の裾野が狭ければ低い山頂しかできません。広い裾野があるから、高い山頂も可能になります。
 しかし、この山頂を作る作文の勉強は、学力をつける勉強とは別に独自に取り組んでいく必要があるのです。

 言葉の森の勉強は、寺子屋オンエアで基礎学力をつけ、オンエア講座で高度な学力を伸ばし、作文で創造性を育てるという形で進めていきたいと思っています。

●新しい教育を支える新しいツール

 昔は、というのは昭和の初期のころの話ですが、基礎学力は小学校や中学校で十分につきました。高度な学力は高等学校や大学でつきました。そして、創造しようという意欲は、日本が欧米にキャッチアップしなければならないという状況の中で自然に生まれていました。だから、国民全体の自然な努力で日本は高度な工業国になっっていったのです。

 しかし、今は、基礎学力も、高度な学力も、創造性も、既存の学校と社会の中では不十分にしかつきません。しかも、その一方で早期からの長時間の受験的な勉強によって、受験勉強という狭い範囲の成績は上がっても、高度な学力や創造性はかえって低下しています。また、受験的な勉強に乗り切れない子供たちは、基礎学力さえも途上国並みに低下しているのです。

 しかし、この低下する教育環境に反比例するかのように、新しい教育のビジョンが生まれているのが現代の特徴です。
 そのひとつは、言葉の森が今考えているような、寺子屋オンエア、森の学校オンエア、オンライン作文というようなトータルな教育システムを多くの人が考え始めていることです。
 もうひとつは、そのビジョンを可能にするネット上のツールが急速に進化していることです。

 ネット上のツールの第一は、googleハングアウト、youtube、skypeなどの、ウェブ会議とその記録と個別対応のサービスが無料で利用できるようになっていることです。
 第二は、MOOC、スタディサプリなどの、ネット授業が無料又は低価格で利用できるようになっていることです。
 第三は、google+やFacebookなどの、勉強の質問や相談の場として使えるソーシャルサービスが広く利用できるようになっていることです。
 第四は、ほとんどの家庭でパソコンやスマホを利用できるようになっていることです。

 基礎学力の充実は、市販の教材と寺子屋オンエアでシステム化できます。
 高度な先取り学力は、やはり市販の教材とスタディサプリのようなネット授業とオンエア講座でシステム化できます。
 創造性を育てる作文は、オンライン作文という形で言葉の森がシステム化しています。
 そして、これらを統合した長期的で全体的な教育のビジョンが生まれています。
 更に、今後、深層学習を利用した人工知能による自動翻訳が進化すれば、この教育システムを世界中で共有することができるようになります。
 そして、更に大事なことは、この教育界の進歩によって、新しい個性的な教育を作り出す人がぞくぞくと生まれてくることが考えられることです。

●多様な文化が創造される未来の日本

 今の教育分野は、国語、数学、英語などの主要三教科や五教科や九教科に絞られています。これらの基礎的な教科はもちろん大事ですが、人間の能力の無限性から考えると、学ぶことのできる教科はこれから無限に生まれてきます。
 これは、スポーツでも音楽でも同様です。今のスポーツは、オリンピックの種目に見られるように、少数のメジャーなものに過剰に多くの人が参加する形になっています。しかし、人間の身体の無限性から考えると、スポーツとして楽しめる分野はこれからずっと多様になります。
 音楽も、今はまだ楽器の種類などがメジャーなものに限られていますが、音の楽しみ方の無限性から考えると、楽器の種類も音楽の種類もずっと多様になります。
 そして、同じように文化のあらゆる面が、これからますます多様になり、その多様性を創造する人が次々に生まれてくるようになるのです。

 作文の創造性の発展したものが、この新しい文化を作るという実行の創造性です。
 将来の社会は、多くの人が自分の創造性を楽しみ、基礎学力の充実した、余裕のある遊びの生活を過ごすようになると考えられるのです。

 未来の教育の理想を持っている人は数多くいます。
 しかし、実際には、子供たちは学年が上がるにつれて、他人との競争に勝つための受験勉強に追われ、自由な勉強から枠組みを与えられた勉強を強制されるようになります。
 この強制に適応する教育が子供たちの可能性を狭めています。

 この状況を克服し、教育の本来の理想を追求するためには、子供たち体の成長に関心を持つ大人が情報を交換し経験を交流していく必要があります。
 そのために必要なツールは、既にインターネットに用意されています。
 言葉の森は、ホームページ以外に、Facebookに言葉の森作文ネットワークというページを開設しています。また、google+にも言葉の森寺子屋オンエアというページを開設しています。
 子供たちの未来の教育に関心を持つ方は、ぜひこれらのページを見ていただき、一緒によりよい日本の教育を作っていきましょう。

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