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暗唱力があれば、作文や国語ばかりでなく数学も英語も思いのまま(5.5)  2016年11月4日  No.2736
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 暗唱力のある子は、理科も社会も得意になります。
 教科書を何度か読んでいるうちに、内容が自然に自分のものになるからです。
 特に社会の勉強は、教科書を読んでそれが頭の中に入ればいいだけですから、わざわざ勉強して覚えようとしなくても、教科書を読んでいるだけで自然に成績がよくなるのです。

 この暗唱力は、作文にも生きてきます。文章を暗唱していると、作文の課題によって使えそうな文章や表現や単語が自然に頭の中に浮かんできます。それをそのまま生かして作文を書いていけばいいのです。

 しかし、小学校二年生のころまでよく暗唱できていた生徒が、学年が上がるにつれて、だんだん暗唱できなくなってくることがあります。それは、暗唱を覚えるための勉強と考えていたからです。
 覚えればいいということで暗唱をしていると、低学年のころはすぐに覚えられるので、繰り返し音読するということをしなくなります。子供から「もう覚えたからいいでしょう」と言われると、親の方もそれでいいことにしてしまうのです。
 すると、学年が上がり、覚えるのに時間がかかるようになると、「難しいから覚えられない」と簡単に諦めるようになります。
 これは、大人も同じで、なかなか覚えられないと、大人はすぐに、「もう年だから」などと言います。
 それらはすべて、暗唱を覚えるための勉強と考えているからです。暗唱は、繰り返し音読するという勉強で、文章を覚えるというのはその結果にすぎません。覚えるのが目的なのではなく、繰り返し音読することが目的なのです。

 これは、九九の覚え方を振り返ってみるとわかります。
 小学二年生で九九を覚えるとき、子供は九九を決められた言い方で音読して覚えます。この方法でどの子もすぐに九九を言えるようになります。

 これが、もし、九九の一覧表を見てその表を覚えるとか、掛け算の理屈を理解して覚えるとか、決められた順番でなくランダムに出される問題として覚えるとか、決められた言い方ではなく自分の好きな言い方で覚えるとか、声に出さないで目で見るだけで覚えるとかいう形にすると、短期間で覚えられる生徒はぐんと少なくなるはずです。そして、覚えられないという子も出てくるのです。
 日本ではほとんどすべての子が九九を間違いなく言えるのは、決められた言い方で、決められた順番で、しかも音読する形で九九を覚えるという方法があるからなのです。

 同じやり方で音読を繰り返すというのが、暗唱の基本的な方法です。だから、暗唱に使う教材も一種類に限定した方がいいのです。
 最初に1枚のプリントで暗唱を始めたとしたら、そのプリント以外のものは使わないようにします。そのプリントを分割してカード式にして覚えようとしたり、プリントを拡大コピーして覚えようとしたり、難しい漢字にルビをふったり、あるいはひらがなに書き直したり、そのプリントに書いてある文章を手書きで書き直したりなどということは、一切しない方がいいのです。
 同じものを同じ順番で音読するというのは、暗唱の勉強では最も大事な原則なのです。

 このような形で暗唱していると、その暗唱した文章が、単なる知識の記憶ではなく、自分の身体に血肉化された形で定着するようになります。
 暗唱した文章が、自分の手足の一部であるかのように、特に意識しなくても必要なときに自由に使えるようになるのです。

 ここで出てくる暗唱の効果が、文化の教育としての暗唱です。
 暗唱は、単に記憶力を高めたり、数学や英語や理科や社会の成績を上げたり、作文を上手に書けるようにしたりするためだけでなく、もっと重要な効果として、文化力を高めるという要素があるのです。(つづく)

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暗唱(121) 

 コメント欄

森川林 20161104 1 
 暗唱は、一応覚えたというぐらいでは効果はよくわかりません。
 無意識のうちに自然に口をついて出るくらいまでになると、その暗唱した文章が自分の手足のように自由に使えるものになります。
 すると、その暗唱力を勉強にも生かすことができるようになります。
 しかし、もっと大事なのは、その暗唱を自分の文化力に生かしていくことです。


nane 20161104 1 
 ちょっと間隔が空いてしまいましたが、暗唱の話の第五弾。
 暗唱の持つ文化力形成の一面です。
 例えば、思いやり、勇気、正直さ、忍耐などの人間的な徳性は、理屈では教えられません。
 道徳教育が不毛なのは、徳目を知識として教えようとするからです。
 道徳は、文化として伝えていくものです。その方法の一つが体験、もう一つが暗唱です。


namura 20161106 10 
ドリルで勉強することが多々ありますが、教科書一冊暗唱できれば、最大の学習効果が期待できそうですね。
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