◆◆「アフターゾロリ問題」と子どもの読書の本質
小学生の読書で大事なことは、面白い本、楽しい本をたくさん読むことです。
真面目な本、つまらない本を、薬でも飲むかのように少しずつ読んでも読書力はつきません。
そういう子どもの読書の本質がわかっていないと、アフターゾロリ問題というようなことがあたかも重大な問題であるかのように思ってしまいます。
「アフターゾロリ問題」とは、ゾロリを卒業した後に読む本が見つからず、読書離れしてしまうという問題です。
先日、保護者向けの読書のアドバイスで「かいけつゾロリのような本がいいです」と話したら、保護者の方の中に、「ゾロリって読まない方がいいと思っていた」という方がいました。
確かに書かれている内容は面白いが、品のないものも多いので、そういう本ばかり読んでいては困るという感覚があったのかもしれません。
◆◆読書力につながる「質の高い文章」とは
しかし、大事なのは文章の質です。
「かいけつゾロリ」の文章は、説明的な部分がしっかりしているのです。
逆に、書名はあえて書きませんが、誰もがよい本だと思っている本の中に、会話中心で書かれているものがあります。
それは、結局ストーリーの面白さで読ませているということで、読者が立ち止まって考えたり、論理をたどったりする部分が少ないということです。
似たようなことは、近年の中学生の英語の教科書の英文についても感じたことがあります。
子どもの興味を引き、読みやすくするために会話を多く使っているのですが、身近なストーリーの面白さで読ませているので、文章を考えて読む要素が少ないと思ったのです。
文章には、内容の面白さとともに、表現の質の高さも必要です。
質の高い文章というのは、ストーリーの部分以外の説明的なことがしっかり書かれている文章です。
ストーリーで読むというのは、動画のスクリーンを見ることと似ています。
疑似的な体験としては面白いのですが、考える要素の少ない文章なのです。
小学生時代の読書は、読書力をつけることが第一の目的で、読書力をつけるためには多読が必要です。
だから、多読のために面白い本を何度も繰り返し読んでいく必要があるのです。
◆◆中高生の読書に必要な「考える力」と原典の価値
ところで、中学生や高校生になっても、物語文の本を中心に読む生徒もいます。
中学生、高校生の読書は、娯楽のために読むというよりも、考える力をつけるために読むと考える必要があります。
考える力をつけるためには、物語文の本だけでなく、説明文、意見文の本を読んでいく必要があります。
中でも、古典と呼ばれるような説明文の本は、単に知識を得るために読むのではなく、作者が格闘した考え方の跡も読むことになるので、考える力を育てることにつながります。
入門書や概論書というのは知識を得るための本ですが、そのもとになった著者の原典の本は、知識のために読むのではなく、考えるために読む本です。
中学生、高校生の人は、「○○入門」という本で終わらずに、もとの「○○」という本を読んでいくことが大事です。
さて、最初に書いた「アフターゾロリ問題」に戻ると、大事なことは、「ゾロリの次に何を読むか」ではなく、「楽しく読む子を、考えて読む人へどう育てるか」ということです。
◆◆電子書籍を活用した「推薦図書リスト」と「推薦図書検定」
言葉の森では、子供たちの読書の指針となるように、推薦図書リストを作りました。
https://www.mori7.com/tosyo/
(8/19現在382冊)
海外の生徒でも利用できるように、Kindle化された本を中心にした図書リストにしています。
「かいけつゾロリ」は、残念ながらまだKindle化されていませんでしたが(笑)。
言葉の森では、このリストのそれぞれの本について、推薦図書検定の問題を作っています。
○×問題が8問、記述問題が2問。解答送信後、200字の講評が表示されます。
問題は、まだ言葉の森の生徒しかできませんが、いずれ誰でもできるようにする予定です。
◆◆読書習慣を定着させる「推薦図書クラス」とオンライン自習室
ところで、推薦図書リストがあるだけでは、子供たちだけでこのリストを活用するのは難しいはずです。
そこで、言葉の森では、推薦図書クラスを開設します。
週に1回、オンラインの少人数クラスに参加して、それぞれ本を読み、互いに読書紹介をし、本を読み終えた人から順に推薦図書検定の試験に取り組むというオンライン教室です。
オンラインのクラスに参加するのは週に1回ですが、それ以外も毎日24時間自由に使えるオンラインの自習室があるので、そこで、気の合った友達と、またはひとりで、読書を進めていけます。
小学生のころから、推薦図書クラスで読書をし、中学生、高校生になっても、この図書リストを参考に読書を進めていくとしたら、それは、その生徒の読書力、思考力、人間性の成長に大きく貢献すると思います。