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作文小論文入試のコツその2(言葉の森新聞の記事より)  2010年1月15日  No.738
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 これは、言葉の森新聞に掲載した記事を編集したものです。


 作文のコツの第三は、難語を自然に書くことです。(「その1」に書いたコツの第一は字数の枠内で書く、第二は誤字をなくす、でした)

 「でも、公園にゴミ箱があると、ゴミを減らすという気持ちがなくなる」という文と、「しかし、公園にゴミ箱が設置してあると、ゴミを減らすという自覚が生まれにくくなる」という文では、どちらが知的に感じるかというと、やはり「設置」や「自覚」などの難しい言葉を使ってある文の方です。中学生で、これらの言葉を読めない人はまずいません。しかし、文章の中に自然に使える人は少ないのです。なぜ読めるのに使えないかというと、こういう言葉の入った文章を読む量が不足しているからです。

 文章に使う言葉には、自分がふだん読んでいる文章の質が自ずから出てきます。中学生や高校生の文章で、話し言葉とあまり変わらない文章を書いている場合は、その人がふだんあまり本を読んでいないことを示しています。

 未消化の難語を使うのはかえってマイナスですが、少し背伸びをした文章語を使うのは、いい文章を書くためのコツです。

 第四は、光る表現を入れることです。

 文章の結びの5行は、文章全体の印象を左右する部分です。ここに光る表現があると、全体の印象がよくなります。書くことが好きな生徒は、自然にこういうことを知っているのでしょう。結びに一工夫してまとめてある文章をときどき見ますが、例外なく上手な文章です。


 光る表現となる要素は二つあります。一つは、「○○はAでなくBである」のような形で、逆説的な真理を述べていることです。もう一つは、結びの意見を書き出しのキーワードと結びつけてまとめていることです。いずれも、考える力がないとなかなか書けません。

 第五は、感動のある体験実例を書くことです。

 意見は、だれが書いてもほとんど差がありません。人間が考えることにそれほど大きな差はないからです。差があるのは、前に書いた表現の部分とこの実例の部分です。

 体験実例に、「友達がこんなことをした」と他人の体験を書いても、印象は強くなりません。また、自分の体験であっても、平凡な体験では印象に残る実例にはなりません。自分の体験であって、しかも、挑戦、感動、個性、共感などの感じられる実例がよい実例です。

 文章を読むのは人間ですから、体験実例の印象がよければ、それによって文章全体の印象が上がるのです。例えば、「私は、三年間ひとりで公園のゴミ拾いをしていたが」などという体験がさらりと書いてあれば、読み手はそれだけで文章以前に書いている人間に好印象を持つのです。

 しかし、もちろんウソを書いてはいけません。本当のことを書くというのは、文章を書く上での当然の前提だからです。たまに、文章指導と称して、うまく見せるためにウソでも何でも書けという人もいるようですが、こういう発想をすると、目に見える小さな利益のために、目に見えない大きな利益を失うことになります。

 いい文章を書くためには、日常生活で挑戦や感動や個性や共感のあるいい行動をすることです。

(つづく)

 次回の予定は、第六に知性を感じさせる社会実例を書くこと、第七に構成がわかるように書くこと、です。

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