低学年から学力の基礎を作る
作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)
小学1・2年生
小学3・4年生
小学5・6年生
中学1・2・3年生
高校1・2・3年生
From another viewpoint E34
ニュートンが集大成したようなテクノロジー科学はたんに思想上の成果として学者たちの規範になっただけではなかった。それは政治的・社会的にも支持を獲得することができた。というより、政治的・社会的に同様のエートスがすでに生成され定着しつつあったために支持を得ることができたのである。近代政治哲学の伝統は、イタリアのニッコロ・マキアヴェッリによって始められたと言われる。彼の政治哲学は、政治の目的や理想をほとんど問題にしない。それは、与えられた状況下で君主がいかにして他の有力なライヴァルたちの詐術(さじゅつ)にかかって敗北することなく、人民にほどよく信頼され、すなわち恐れられすぎもせず、かといってあなどられもせず、統治できるかの技法について論ずる。
現在、社会を一つの個体として考えるか、一つ一つ別々の部品から成る“集合体”として考えるべきか、これについては論ずればきりがないだろう。みなさんはどちらであろう? 今の世界は後者なのである。例えば会社がある。そこには社長を筆頭に、何人もの社員が所属(?)している。しかし、そこにいる人々は自分の仕事が終わればすぐに帰宅してしまい、他の社員には目もくれないというのも現実である。こうなってきてしまった原因として「行き過ぎた“個人主義”」がある。言わば、前者は“完成したジグソーパズルの集まり”であり、後者は“未完成状態のジグソーパズルの集まり”なのである。今の社会はジグソーパズルで言う一ピースではなく、二百ピースなら二百ピースの完成された状態のパズルの集合体でしかないのだ。
これの対策として考えられるのは、欧米文化を見直すことではないだろうか? そもそも“個人主義”というのは欧米の考え方であり、それが“国際化”によって日本に流入してきたに過ぎないのだ。本来の日本の姿であれば、田んぼで仕事をしているAさんがいるとして、夕方になっても仕事が終わらない。しかし、ジグソーパズルの一ピース一ピースが集合しあい、団結して終わらせてしまうのだ。なんと素晴らしいお話だろう!! 泣けてくる(笑)!! このように、個人主義の見直しが必要である。
確かに個人の意見も大切である。しかし、個人の意見を尊重しすぎるが故に、本当に大切なものを見失っている。人間は、魅力あるものを目にしたときにそれしか見えなくなってしまう。言わば“虫めがね”を覗いている状態に陥っているのだ。今、みなさんは“虫めがね”を覗いているに違いない。この“虫めがね”という名のフィルターを外した時に見える本来の社会は、今まで見ていたものよりも遥かに美しいものに違いない。みなさんも、今つけている“虫めがね”を外し、一度深呼吸をして本来の日本の社会を見直してみると良いだろう。大切なことは、“虫めがね”を使って一つの点を見るのではなく、“広角レンズ”を使って世界を広く見ることである。
講評 jun
これもまた大作となったね。現代の社会は、完成されたジグソーパズルの集まりだとは、うまいたとえ。個人個人が完成した存在であることは、決して悪いことではありませんが、個人が一人歩きを始めると全体の統制が取れなくなるという問題が生じます。E34君が対策として書いてくれたように、本来の日本の姿に目を向け、個人主義の見直しすることが必要ですね。もちろん、全体主義に傾き過ぎるのも問題ですが、虫めがねと広角レンズを臨機応変に使い分けることが大切だと言えるでしょう。
★ジグソーパズルのたとえもうまいけれど、虫めがねと広角レンズのたとえを使った自作名言もうまい!
■「前者」「後者」という言葉は、誤解を招く恐れがあるので、避けましょう。「前者」「後者」で代用せず、同じ言葉の繰り返しになっても構いませんから、誤解のないように説明しましょう。
毎月の学年別「森リン大賞」作品集森リンの丘
自動採点ソフト「森リン」で上位になった作文を掲載しています。
しかし、子供たちの実力はそれぞれ個性的です。上手に書けている子の作文を見せて、自分の子供の作文と比較しないようにお願いします。
|
お電話によるお問合せは、0120-22-3987(平日9:00-19:30)
| |