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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   バルカンの歴史は繰り返してはならない   サンサン

「微差のナルシズム」。二人種間の違いが小さければ小さいほど、その差は想像の中で不気味に増幅されていくというフロイトが示した、私たちが気付かずにもっている恐ろしい性質。それはセルビアとクロアチアにおいて50年続いた平和な民族共生の時代を、憎しみに満ちた民族主義の時代へと変えてしまうほどのものであった。私たちはこのバルカン半島で微差のナルシズムが生み出した双方の誤解と紛争という悲劇を教訓に、それらを二度と繰り返してはならないのである。そのためにも私たちは普段から自分たちで微差のナルシズムをコントロールすべきである。いかにその具体的方法としての「対話」と「多面的な視点」を持つことの重要性について述べていく。
方法の第一として「対話」を重んじることである。「大人はわかってくれない。」または「今時の若者は・・・」と嘆く人々。社会環境や、青春期を過してきた時期が離れているという違いはあれど、同じ日本人。文化、習慣、思考が互いに理解しあえないほどの溝があるわけではない。しかし互いに今までの自分の価値観と異なる相手に対して、ありもしない想像を膨らませ、決定的に異なった存在として認識してしまいがちではないだろうか。最近同じ下宿に推定40歳代のおじさんが引っ越してきた。初めて顔を会わせたときは、やたら左翼的な発言や小難しい会話に違和感を感じ、その理由も「年の差だな」、で片付けていた。しかし話しかけられる回数も増え次第に会話を重ねるにしたがいとてもおもしろみのある人だとわかってくると、より親しくなり、相手を理解しがたい40歳(男)ではなく一人の人間として認識するようになった。つまり自分とおじさんの間に欠けていたのは「対話」だったのである。
方法の二つ目として「多面的な視点」を持つことである。韓国と日本、この二国の関係はクロアチアとセルビアの関係と完全には一致しないまでも似ている。韓国においては「微差のナルシズム」を利用し、体制の正当化と国民意識の統一を図るために政府主導による嫌悪的な対日感情が作り出されている。一方日本においては韓国の理不尽な嫌悪感に対して嫌悪を感じる。一度生まれた嫌悪感にまみれた主観を取り除くのは容易ではなく、戦後50年が過ぎても未だに状況はあまり変わっていない。そんな日韓に突然やってきたワールドカップ共催。ここで自分が注目するのはサッカーのすばらしさ、一生スポーツといったものではなく、いわば第三者的立場であるFIFAによって過去の歴史、政治や両国感情、お構いなしで行われたWORLDCUP ™ という大イベントがマスコミ、政治や歴史によって作り上げられてきた両国民の色眼鏡をとり、互いの違った一面を見ることができ、新たな視点を与えた。
日常の生活で自ら微差のナルシズムを理解し、それを防ぐ方法を普段から心がける。確かに自らの固定観念や性質を打ち砕くのはとても難しいのかもしれない。しかし「意識」をするだけでも暴走した民族主義者や扇動者から自らを守れるのではないだろうか。
 
 

   講評   nane

 冒頭の要約はうまくまとめた。第一段落の早めの段階で、このように「……べき」のようなはっきりした意見を提示していくことは大事。意見が早めにしぼられていると、その後の展開もしやすくなる。
 対話を重んじるというのは、いい方法。近所のおじさんとの話は、共感できる実例になっている。社会的な問題で、このように身近な話を例にするのは大事なポイント。
 第二の方法も、よく考えた。ワールドカップという時事的な例をうまく結びつけた。
 反対理解は、「自らの固定観念を打ち砕くのは難しい」でもいいが、更に進めて、「微差のナルシズムには、こういうよい面もあるが」というところまで書いていこう。反対理解が強いほど、意見が深まる。
 1250字120分は、内容が充実していることを考えると普通のスピード。しかし、これは慣れれば更にスピードアップできる。
 文章力は既に充分にあるので、今後、表現の工夫(情景描写、ユーモア表現、自作名言など)に力を入れていくといいと思う。

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