低学年から学力の基礎を作る
作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)
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分析的手法の問題点 いほや
現在の医学がここまで進歩を遂げたのは言うまでもなく分析的手法のおかげだといえよう。素朴経験主義に基づく漢方医学に比べて、神経レベルまで入り込むこの方法は実に画期的であった。しかし、今その分析的手法が問題となっている。大きく分けて二つの問題が考えられる。
第一に医者が人間を見ずに病気を見てしまうとういことである。医者は分析をすればどこに問題があるかわかるという自信があるため、患者の不安や訴えを聞く前にどの臓器にどのような病気が巣食っているいるのかを知りたがる傾向があるようだ。これでは、患者は人間としてではなく臓器として見られていると同じことなのではないか。また、このような医者に対して良い印象を持てるだろうか。
第二に分析的手法があまりにも大きな成功をおさめたためにその方法の力を過信する者がでてきたことだ。分析れば病気の原因がわかると思っているものだから、物事の視野が狭くなってしまっているようである。ある本でこんな話を読んだことがある。ある患者が胸の調子がおかしいというので心臓科にいったところ何も異常は見られないという。しかし、それにも関らず状態が思わしくないため再び病院に行ってみると実は食道癌だったというのだ。これはまさに分析的手法がもたらした過ちである。
確かに分析的手法によって、近代から現代に至る医学が進歩し、今までのどの時代よりも健康で安全な生活が送れるようになった。しかし、その分析にも限界がおとずれているようである。最近では慢性病などの分析では解決できない病気が新たにでてきている。このような患者が増えている今、人を部分部分でみる医学ではなく全体でみる医学がより一層求められるべきなのである。
講評 nane
第一、第二段落がよくまとまっている。
第三段落の理由もいいのだけれど、その実例の書き方をもう少し工夫するといいかなあ。これはつまり、心臓科の医師は、自分の守備範囲の心臓の疾患の範囲でしか患者を診断しないということだよね。
展開そのものは、論理的でいいけれど、この分析主義批判を他人の問題としないで、自分自身の問題として考えていく姿勢が大事。第二、第三段落の話も、他人の批判としてではなく、自分も陥っている現代の批判という視点で書いていくと、更に深い書き方になる。
「人を部分で見る医学ではなく……」は、名言的な文。もうひとひねりして、更に格好よくまとめてみよう。(笑)例えば、「人間は部品を集めたものではなく、それ自体がひとつの……である」というような感じで。
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