国語読解力は、あらゆる学力の基礎。問題集読書の復読と、読解検定の自主解説で確実に力がつく
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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   ただ見るだけのもの   ひろりん

 視覚系というのは、非常に有効な感覚器である。たとえ目が見えなくても、触角器で物をさわり物の形を探ることはできるだろう。しかし、触ったとしても目が見るように一瞬でそのものの形はわからない。そういう意味では、なかなかすごいモノである。しかし、あまりに有効なので有効でない点に、あんがい気づかないことがある。それは、「物の大きさがわからない」ことだ。私たちの視覚系は物と物を相対的に比較して大きさを測る。そのために、見ただけでは大きさの絶対値がわからないのだ。
 私は、「絶対的な目」と「相対的な目」のどちらが良いか、と聞かれたら即「相対的な目」の方を選ぶ。たしかに、絶対的な目は便利だ。絶対的な目(以下ものさし目)が人間に備わっていたらものさしなんてものはこの世からなくなるし、建築現場ではらくらくと木材を切ることができる。だいたい目がものさしなのだから、工作にはうってつけである。しかし。そんな便利な目が人間に備わっていては夢も希望もなくなってしまうだろう。はるか12億光年のかなたで流れ星が流れた。16メートル先に円周41センチのボールが落ちている。あと263メートル37センチ90ミリ走ればゴールだ。2400メートル先の山に、1億4900万メートル離れた太陽がしずんでゆく。・・・・なんて夢がないのだろうか。
 また、私は、「とーおきーやーまにー、ひーはおーちて〜」という歌が好きだ。そのわけは、はるか遠い山にきれいな夕日が落ちていくシーンを想像するととてもきれいだからである。その場面を実際にものさし目でみたらどうだろう。「はるか遠い山」までの実際的な距離がわかってしまい、かえって遠いと言う感じがもてなくなる。それに、そこに数学的な数字が入ってくると夢もへったくれもないのだ。
 確かに絶対的な目にもよいところはある。しかし、実際的な距離や大きさがわからない方がいいこともあるのだ。例をとると、自然やきれいな景色などである。自然はなにもかもアバウトだから良いのだ。きれいな景色などはそのたくさんのアバウトが重なってきれいに見えるわけで、そこに「確かさ」や「大きさ」や「距離」なんてものは関係ないのだ。計算して作られた「きれいな景色」は、確かに表面上きれいに見えるが、そこに安心感や安らぎ感は本物の自然な景色ほどはない。モノをきれいだと思えるのは、視覚系が「ただ見るだけ」のものであるからだ。

   講評   yuka

相対的なものと、絶対的なもの。視覚、という題材は、結構難しかった
のではないかな、と思いましたが、よく読み取りました。

今回のポイントは、段落分けの流れをもう少し分かりやすくする、ということ。
例えば今回の作文なら、

第1段落 長文の要約(これは◎)

第2段落 文中7行目「たしかに」から始める
    ・『私は、「絶対的な目」と「相対的な目」のどちらが良いか、と聞かれたら即「相対的な目」の方を選ぶ。』
     の文は、結論部分に移動させよう。
     相対的なものの考察を一緒にしてしまうと分かりにくい
     ので、第2段落は絶対的なものについての考察として
     まとめたほうが構成としてすっきりする。
     
第3段落 文中9行目「しかし」の部分から始める
    ・第2段落についての考察と反論(本当に主張したい部分)
     をはっきりさせるためには、「しかし」を段落の冒頭に
     もって来た方が分かりやすい。そして、「また、私は」の
     部分は、第3段落の具体例として考えて1つの段落にまとめる。

第4段落 冒頭は◎。第2・第3段落で十分具体例をあげているので、
    結論でまで具体例を出さなくても大丈夫。もう少し簡潔に
    意見をまとめよう。

といった形、起承転結の流れをもっと明確にすれば、より無駄のない
読み手に意見がまっすぐに伝わる内容にまとまるね。


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