低学年から学力の基礎を作る
作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)
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「無用の用」 さるっち
噴水は飲むことも、浴びることも出来ない水である。しかも、その水は何ものも潤さない。言ってみれば、なんの役にも立たないものなのだ。夏の日照りが続き、都市によっては噴水の水を停めてしまうところがあるが、それは噴水の役割を否定するものだ。噴水に見ているものを楽しませようとする工夫をるのもよくない。噴水は、ただ水を噴き上げていればいいのである。
似た話が僕にはある。僕の学校の中庭に田んぼ(?)がある。しかし水がにごっているので田んぼとはいえない感じだ。その田んぼには小さなザリガニがいて、ザリガニをとって遊んでいる子がいた。けれどもザリガニをとろうとして田んぼに落ちた子がいたから田んぼの中にいるザリガニをとってはいけなくなった。僕は、
「ほとんど役にたたない、田んぼなんて壊してしまえばいいのに、どうしてほったらかしのままなんだろう……」
とその池を見るたびに思う。
ことわざで
「角を矯めて牛を殺す」
というように、一部の欠点を直そうとして度をすごし、全体をだめにしてしまうことがある。だから、役にたたないからといって切り捨ててしまうと、一番大切なものを見失うことになりかねない。
またことわざで
というように、世の中で役にたたないと思われているものが、かえって非常な働きをすることもあるのだ。人間にとって噴水とはほとんど役にたたないかもしれないが、それはそれでいいのではないかと思う。そこから、いろいろな発想や想像が生まれるのかもしれない。
講評 jun
第一段落では長文中からポイントとなる文をぬき出してまとめることができたね。
似た話は、さるっち君の学校にある田んぼのことが書けたね。そこでお米を育てているわけではなさそうですね。ザリガニもとってはいけないことになってしまったし。では、一体何のためにあるのでしょうか? たぶん昔は本当にお米を育てていたのでしょう。今はただ存在しているだけの田んぼ。でも、その田んぼがなくなってしまったら何かものたいりない感じがするのでは?
結びはことわざを引用しながらうまくまとめたね。この結びは立派。ただ、二つ目のことわざが消えてしまっているのですが……。ここに題名となっている「無用の用」を入れるはずだったのですね。
一見役に立たないものにもそれなりの意味がある。むだなものをすべて省こうとしないで、味わうくらいの余裕がほしいよね。
★長文を読んだときはむずかしいと言っていましたが、字数もよくがんばったよ。
キーワードも入れることができたね。
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