創造と発表の新しい学力
総合選抜入試にも対応。探究学習を超えた、新しい創造発表学習。
AI時代には、知識の学力よりも、思考力、創造力、発表力の学力が重要になる。

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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   衰弱したアイディンティティの   勘吉

 衰弱したアイディンティティのぎりぎりの補強、それを個人レベル、感覚レベルでみればたぶん「清潔願望」になる。自分が誰かということがよく分からなくなるとき、自分の中に本当の自分だけのもの、独自のものがあるのかどうか確信がもてなくなる時、わたし達は、自分になじみのないもの、異質のもの、それにちょっとでも接触することをすごく怖がる。わたし達には「他者の他者」としてはじめて自分を経験できるというところがある。他者という鏡がないと、わたし達は自分自身にすらなれないということだ。
 作者は、今回の課題文に「他者」という言葉を常に使っている。では、作者は一体何を言いたいのだろうか。他者がいないと自分の良い点、悪い点が分からないということだ。わたし達人間は、他者とあまりコミュニケーションをしない。しかも、わたしが見ているところでは、あまり目と目をあわせて話をしない。こういうことから、どうして大人は、はっきり「ここが良い点じゃないの」とか「ここが悪い点じゃないの」と言えないのだろうか。そこが不思議だ。わたしの担任の先生や友達は、みんな良い点や悪い点を素直に言ってくれる。そういう繰り返しによってわたしは生まれ変わっていく。
 こんな経験をしたことがある。小学校の時に良い点悪い点を発表する会があった。みんないっせいに書き始めたのだが、わたしだけ手が止まっていた。それは、自分って良いところってあるのかなあと考え込んでしまったからだ。そんな時、わたしの担任の先生が「他者にはないものを考えなさい」といってくださったおかげ、自分の悪い点より良い点がたくさんあった。
 作者は、「他者の他者」として初めて自分という存在が分かると書いてあったが、はっきり言ってうそだとわたしは思う。他者に良い点や悪い点を素直に言ってくれるのもいいけど一番大切なことは、自分自身で自分という存在を見つけるということだ。他者に頼りすぎてはいけない。自分から物事に当たって初めて自分という存在が分かると言ったほうが正しいのではないか。その存在を今後どういう風に生かしていくかが一番難しいと思った。

   講評   yue

勘吉くん、こんにちは。「アイデンティティ」という、少し難しいことについての文章でしたが、内容をよくまとめてありますね。この課題文で取り上げられている「アイデンティティ」は、高校・大学で深く学ぶことでもあるので、今からしっかり、その意味をとらえておくといいと思います。

☆冒頭部分の要約は、じょうずに書けていますね。筆者の主張のポイントをきちんと押さえることができています。
☆筆者は課題文の最初の段落で、「じぶんの同一性」という言葉を使っています。「同一性」とは、なんでしょうか?あんまり聞いたことがない言葉だと思います。同一性について考えるとき、「人間は、いろいろな顔をもっている」ということが大事になります。たとえば、勘吉くんは、「日本人」ですね。そして、両親にとっては「息子」で、きょうだいから見ると「兄」「弟」、先生にとっては「生徒」、同級生たちからは「クラスメイト」としての顔がありますね。家で両親と話しているときの勘吉くんと、学校で先生と話しているときの勘吉くんは、同じ人だけど、態度はきっと少し、違っていると思います。そして同級生と話すときも、男の子どうしで話すときと、女の子と話すときの勘吉くんも少し違っているはず。男の子どうしでも、とても仲のいい人と話すとき、それほど仲のよくない人と話すとき、少し違う顔をしているはずです。それでは、このいろんな顔のうち、どれが本当の勘吉くんの顔ですか?勘吉くんには、答えがわかりますね。全部、本当の勘吉くんです。勘吉くんは、相手によって「息子」「生徒」「仲のいい友達」「ただのクラスメイト」といった、いろいろな仮面を無意識に使い分けているのです。そして、「全部、自分だ」ということを知っているでしょう。これが、「自己同一性(アイデンティティ)」です。「私は、いろんな顔をもっているけど、全部私自身に間違いないんだ」ということをしっかり知っていることを、「アイデンティティが確立している」といいます。少し、難しいかな?
☆この作文の真ん中で、勘吉くんは「わたしの担任の先生や友達は、みんな良い点や悪い点を素直に言ってくれる。そういう繰り返しによってわたしは生まれ変わっていく。 」と書いていますね。他人との係わり合いによって、自分が変化し、成長する、といくことではなく、「相手にとって」自分はいい息子の顔をしているか、「親友」なのか「ただのクラスメイト」なのか、「いい生徒」なのか「困った生徒」なのか、それがわからなくなってしまうのはなぜなのか、ということについて、課題文の作者は述べています。「他者の他者としてのじぶんの存在が欠損しているとき、ぼくらは、他者にとって意味のあるものとしてのじぶんを経験できない」という部分をもう一度よく考えながら読んで、結論を少し変化させてみてください。きっと、勘吉くんらしい意見が出てくると思いますよ。

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