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　　　季節感　　　クラシック

　枕草子に、夏の醍醐味は夜であると記されている。現在では、クーラーが日常的に出回り、夏でも快適温度で過ごせるので、感覚が麻痺しているやもしれないが、夏の暑さは尋常ではない。だからこそ、夏の夜というのは、涼しい天国のような刻に思えるのだ。
　社会行事にも、春夏秋冬は、深く結びついている。例えるならば、お月見を挙げよう。今でこそ、お月見と言うのは希少かもしれないが、一昔前まで、これは、どこの家でも行われていた風習なのだ。十五夜に人々は月の映し出す情景や、月そのものの美しさなどをたっぷりと堪能したのである。
　秋分や、七夕などもしかり。
確かにクーラーやヒーターは便利だ。だが家を冷やすクーラーなどの方法、手段などなくても、あるいは夏ならば暑さを楽しみ、あるいは冬ならば寒さを慈しむなど、季節感を受け入れて隆々とする生きかたも悪くは無い。いや、それこそが、今の日本人には忘れられた、日本独自の優れた生きかたなのではないだろうか。

　　　講評　　　jun