総合選抜入試にも対応。探究学習を超えた、新しい創造発表学習。 ＡＩ時代には、知識の学力よりも、思考力、創造力、発表力の学力が重要になる。 ▶ 創造発表クラスのご案内

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　　　主張　　　Ａ.Ｌ

　日本語の否定は「質問」の文型あるいは質問者の意向に向けられているが、英語の否定は質問を受ける側の、現実の行為の有無に向けられている。だから英語では「ノー」とはっきりと言うことができ、むしろ、事実を事実としてはっきりと否定することが、相手の尊重にもつながるわけだ。しかし、日本語の返答では、否定が「質問」の方に向けられているために、微妙な心理がからんでくる。きっぱり否定したりすると、「いいえ」が事実の否定をとびこえて、相手の考え方や感じ方の批判にまで及ばないとも限らない。
　背水の陣で有名な韓信は、積極的に物事を言ったために、用いられるようになった人物だ。韓信ははじめ項梁のもとにいたが、項梁が死んだため項羽に仕えた。しかし、項羽が進言を聞き入れなかったため、項羽のもとを去り劉邦に仕えたが卑しい官を得ただけであった。それから、韓信はある罪に連坐して斬首を言い渡された。一味のものが斬られ、韓信の番がまわってきたときに、たまたま目にはいった夏侯嬰（位が高かった）に、「王（劉邦）は天下の大業を成すのを望まれず、なにをむざむざ壮士を斬られるのか。」と言った。すると、夏侯嬰は、韓信が気に入り罪を許し、劉邦に推挙した。しかし、韓信はわずかに位が上がっただけであった。しばらくすると、韓信は逃亡してしまった。すると、韓信を高く評価していた宰相の蕭何は追いかけて連れ戻し、劉邦に推挙し韓信を大将の位にしてしまった。
　しかし、物事を言い過ぎたために、失敗したというのもある。三国時代の魏の曹操と荀の話だ。曹操が魏公になる前に、荀は同じく曹操の部下であった董昭に、「太祖（曹操）の功績をたたえ、公にするべきではないか。」と言われた。しかし、荀は「太祖が義兵をおこしたのは、国を安定させるためであり、利益のためではない。」と主張した。曹操はこのことを知り、内心穏やかではなかった。また、荀が曹操暗殺計画のことを知りそれを黙っていたこともあった。そこで、曹操は荀に食物を送ったが箱には何も入れていなかった。そのため、荀は毒薬を飲んで自殺した。曹操の空っぽの箱は、「自殺しろ。」という暗示であった。また、荀は病死という説もある。また、これ以外にも暴君を諌めたために死んでいった名臣というのはたくさんいる。
　確かに、物事をはっきりと言うことが大事な時もあり、言うのを控えたりするのも大事な時もある。しかし、一番大事なのは、その二つをうまく使い分けられるようにし、相手に不快を与えないようにしながら、自分のいいたい事を言えるようにすることである。

　　　講評　　　kira