創造と発表の新しい学力
総合選抜入試にも対応。探究学習を超えた、新しい創造発表学習。
AI時代には、知識の学力よりも、思考力、創造力、発表力の学力が重要になる。

昨日4215 今日1281 合計61056
作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

小学1・2年生   小学3・4年生   小学5・6年生   中学1・2・3年生   高校1・2・3年生

   フレー♪フレー♪価・値・感!   キティ

フレー♪フレー♪価・値・感!
 食事にはそれぞれの国の習慣や食べ方がある。
西洋料理の場合、食事は一つ一つ順番に出てくる。まず最初にスープ、そして肉やいろいろなメインディッシュだ。そして最後にケーキなどのデザートが出る。西洋で全部いっぺんに食べ物がテーブルに並ぶなんてとんでもないことなのだ。確かに、一つ一つ食べることは、それぞれを味わって食べることができるし、落ち着いて食べ物に向き合うことができる。
 さて、日本の食べ方の習慣はどうだろう?日本では、あらゆるものが全部いっぺんに食卓に並べられる。私の家も全く同じだ。お母さんは通時的展開方式に従うなんて考えられないと言っている。お母さんはいつだって純和風が大好きなのだ。私は・・・もうどちらの習慣もなれている。
 私の場合、順番を間違えたり疑問に思ったことはないのだが、時々無意識のうちに日本式の並列的・同時的になってしまうことがある。
 スープは一回一回スプーンでお上品にすくって音をたてずに飲むのが正しいのだが、家でお味噌汁を豪快に飲みなれている私はついついスプーンをポーンと放り投げてズズズーッ!と飲んでしまうのだ。何度もオーストリアのおばあちゃんのしかられるのだがこれがおいしくてやめられない。また、メインディッシュの肉料理の後。お皿においしいソースが残っている時は、誰も見ていないスキにあの平べったいお皿を口につけてズズズーっと飲んだりしてしまう。時々汁が一気に顔に来て、うまく口でキャッチできずに口の両端からこぼれてバレたりする。何度も京太お兄ちゃんから、
「やめろよー、恥ずかしー!女じゃないね、マリアは。」
と冷たい目で見られるのだが、お行ぎが悪いと分かってもついつい日本式の食べ方が出てしまうのだ。お茶わんやおわんに直接口につけて食べるのはてっとり早いし、温かいままですぐ食べることができて良いと思う。ナイフとフォークでひとつひとつ口に入れるのは、これが意外と面倒くさい。それにあとになるともうお料理は半分冷めてしまう。
 私のお父さんが初めて日本のお母さんの実家に行った時、やはり日本の食事文化におどろいたらしい。さっそく自国の食事の価値感に従ってお味噌汁だけを全部飲んだ。あらあら、とビックリしたおばあちゃんはさっそくもう一杯ついできた。「えっ?スープを二回も飲まなければならないの?
」と思ったお父さん。しかし初めての訪問だったので何も文句を言えず日本人のようにニコニコしながらもう一杯おいしくいただいた。 (よっぽど私の作ったお味噌汁が気にいってくれたらしい)と気を良くしたおばあちゃんはもう一杯ついできた。・・・
 このような失敗は、お互い様であるということが分かった。私は自国の価値感にとともに食べることはお互い気持ち良く暮らせる第一歩だと思う。長年の食に対する価値感や食べ方は変えることはできないし、変える必要もない。旅行でたまたま目にする食べ方に従がうのは楽しいし大切なことである。しかしこれが長年異国に暮らすとなるとまた違う状況となる。相手の国の食文化に理解を示しつつ、自分がその中で受け入れられる部分はどれか、受け入れられないところは何か。もし無理なようならそれを相手国の人に説明して、理解を求め、自分流に食べていくことも大切なのだ。無理していると体をこわしてしまう。
 価値観の違いといえば、お母さんがこんな話しをしてくれた。
 西洋ではクリスマスとはキリストが生まれた特別な日なので、みんな静かに家族とともにすごす。だが、大晦日は新年を迎えるとあってみんなでお祭り騒ぎだ。日本とは全く正反対なのだ。
 受け入れ難かったのは、大晦日から新年にかけてのあのドンチャン騒ぎだったそうだ。日本では、ご〜〜ん・・と除夜の鐘とともに、静かに家族と過ごすのに、と空しい気持ちにおそわれたそうだ。
 お父さんに何度も今度のパーティーは断わって、家でゆっくりしようよ、と提案した。そして、今。
我が家では、十二月三一日は毎年日本語放送の『紅白歌合戦』と『ゆく年くる年』を楽しみに静かにすごしている。オーストリアの中の純和風家族、それが私の家族なのである。

   講評   yuu

考えさせられることの多い作品です。マリアちゃんという女の子のことを少しだけ知っている私ですが(^^*) マリアちゃんや、マリアママの背景にある環境や文化の相違をじっくりと思いながら読ませたいただきました。体験談とも経験談ともとらえられる作文の中の数々の出来事は、マリアちゃんという女の子の可愛らしさや、ちょっぴりお茶目な一面を伝えてくれました。また今回はお兄様やお父様、おばあ様まで登場してくれたので家族の温かい雰囲気を感じながら微笑ましく(大笑いしながら)読んでいます。何度も何度も、読んでいます!(笑っています!)

お父様のお話は本当に面白く楽しませてもらいました。文化の違いは、こんな些細(ささい)なところにも見られるのですね。言葉の文化の違いは比較的分かりやすいのですが、それ以外の文化の違いはよく観察してみないと表面化しないものなのかもしれないね。日常生活の中で「あれ?」と思うような場面で楽しい発見がまだまだたくさんありそうです。

どのような環境にあってもTPOを重んじながら、それでいて自分らしさを忘れないでいることも大事ですね。マリアちゃんのお食事風景はすごいのですね〜♪美味しいものを、美味しくいただくことが、おいしい食文化には一番大切!!だね。

「従がう」→「従う」 

毎月の学年別「森リン大賞」作品集森リンの丘 
 自動採点ソフト「森リン」で上位になった作文を掲載しています。
 しかし、子供たちの実力はそれぞれ個性的です。上手に書けている子の作文を見せて、自分の子供の作文と比較しないようにお願いします。

作文教室受講案内   無料体験学習   作文講師資格 
Online作文教室 言葉の森  「特定商取引に関する法律」に基づく表示」  「プライバシーポリシー」 
お電話によるお問合せは、0120-22-3987(平日9:00-19:30)