創造と発表の新しい学力
作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)
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文化の相違 しっぽ
日本人は他人からなにかを聞かれたときに否定するのがとても苦手である。どうも声が小さくなってしまったり、下を向いてしまったりする。逆に、外国人は、自分の考えに責任を持つという考えから、例え否定しなければならなくても、はっきり「No」といえるのだ。
どんな意見でもはっきりと自信を持って言えることは良いことだ。私はなんでも遠慮がちにぼそぼそっと言うので、いつも損してしまう。昔から、嫌な仕事も嫌と言えずに、なんとなくやってしまうこともよくあった。この間、友達が私のほうを見てこそこそ喋っていた(ような気がした)。小学生の頃はこういうことがよくあったので、『あー。めんどくさ。』と思い、いつも放っておいた。ところが、それは中学になってから初めてだったので、その日の寝不足の苛立ちも重なって、ついカーっとしてしまった。そして、ボールを持ってその子たちのところへ走っていった(笑)。当然その子たちはとてもびっくりした。そして弁解をしはじめた。本当はボールを投げつけてやろうと思ったのだが、その子たちが全く違う話をしていたと言うので、我に返ったのだ。私はいつもこんなんふうに意見もはっきり言わず、勝手な思い込みをして一人で落ち込んでいたりしたのかな、と思い、とても悲しくなった。もっと自分の言いたいことを色々な人に伝えても良いと思う。
しかし、日本人は、おくゆかしいことがイイトコロである。それ自体が日本の文化のようなものであり、また、もしそれがなくなれば、失われる日本独特の文化も少なくないだろうと思う。外国人と違って、繊細な心を持っているので、少々のことで簡単に傷ついてしまう。だから、なにか言うにしても相手の心を優先したり、否定するのを怖がってしまう。それは日本にしかないと思う。その証拠に、日本の昔話にはそういった感情がたくさん見える。『はなさかじいさん』では、物語の始めのほうで、隣のいじわるじいさんがはなさかじいさんの犬をいじめていた。おじいさんは現場もしっかり見ていたのに、結局言い出せず、その犬は隣のいじわるじいさんに殺されてしまった。けれど、その犬が死んだことで、おじいさんははなさかじいさんになれたようなものである。意見を言い辛い日本人の性質が物語の重要な鍵を握っているようで、とても日本的な感じがする。
確かに、外国のように意見をはっきりと言おうという姿勢も、日本のようにおくゆかしくしようという考えも大切だが、一番重要なのは、この全く違った文化を理解することである。もし日本人が外国に行ったら、こいつははっきりしない奴だと思われてしまうかもしれないし、逆に外国人が日本に来たら、なんでもズバズバ言い過ぎだと感じてしまうこともあると思う。どちらもそれぞれの国では正しい考えだし、実際どちらかが間違っているとか、いけないというわけでもない。自分たちと全く違ったその文化に戸惑ったりしてしまうこともあるかもしれないが、相手の文化と自分の文化の違いをそれぞれ受け止めて、お互いに気持ちよく接していけたら良いと思う。
講評 jun
今回も力作だね。複数の意見はどちらもいボリュームたっぷり。結びもわかりやすくまとめることができました。
一つ目の意見には自らの体験実例を入れることができたね。志帆ちゃんの知られざる一面が現れているようなエピソードだけれど、志帆ちゃんに限らず、誰でもこういうことは経験していると思います。常に自分に自信を持ち、毅然とした態度を取っていれば後悔することも少ないのでしょうが、それはなかなかむずかしいことだよね。
二つ目の意見には、昔話の実例を挙げることができました。ヒントにあったものより、この方がずっと説得力があるね(笑)。なるほどと感心しました。「花さかじいさん」が外国の話だったら、自分の犬をいじめられたところでけんかになっていたでしょう。
結びは、国による文化の違いという観点からまとめることができたね。自分たちとは異なる文化を否定するのではなく、積極的に理解していこうとする寛大な気持ちを忘れてはいけないね。
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