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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   個人の利益と全体の利益   ベッカム

 一人一人の話が、みなそれぞれに違っているからこそ面白いのだが、その一人一人の違う話を聞いているうちに、「宇宙飛行士たちは、やはりみんな、宇宙で、ある共通の体験をしているな。」と私は確信するようになった。 ただ、たぶんその共通体験は、ほとんど無意識のうちに、直観的になされるものだから、必ずしも彼ら自身が認識しているとは限らない。地球に戻ってから宇宙体験の話をするとなると、どうしてもそこに、宇宙飛行士一人一人の、この地球での個人的な歴史や価値観、現在の環境などが関わってくる。だから、話の表面のディテールが違ってくる。しかし、その表面的な違いにとらわれず、その話の奥に秘めたものを注意深く探ってみると、そこに共通体験が見えてくるのだ。
 自分の利益を考えることはもちろん大切だ。たとえば、野球やサッカーにしても、相手に勝ちたいという気持ちがあるから互いに力をつけていくことが出来る。僕も試合に勝つためにテニスを練習して自分の力をつけている。勉強でもテストで良い点数を取るために家で勉強して、力をつけている。
 しかし、全体の利益を考えることも大切だ。例えば、昔話の「桃太郎」でも桃太郎が個人のことだけを考えずに、村全体のことを考えたから鬼退治に行こうとしたのだと思う。家来になった犬、猿、キジも、たぶん、自分ひとりのことだけを考えていたら、キビ団子一つだけで鬼が島に行こうとは思わなかったと思う。織田信長などの有名な武将も、全体のことを考えて戦をしたのでたくさんの戦に勝つことが出来たのだと思う。
 確かに、自分の利益を考えることも、全体の利益を考えることもどちらも大切だが、一番大切なことは「政治は、軍隊と警察を必要とするが、軍隊と警察しか味方でない政府は、民衆の支持を得られない」という名言があるようにどちらの方がたくさんの支持を得られ、本当の意味で自分に有利になるかを考えることである。

   講評   nara

 要約の段落のキーワード「共通体験」とは何だろう? ここは、この長文の主題に大きく関わるところだから、共通体験の具体的な内容を示している部分を要約に入れておくとよかったね。
 前に「アイディンティティ」についての課題長文があったけれど、私たちは、自分と違う他者を意識することで、自分自身が何者であるかを認知していく。そういう流れから、自分と他者との境界線を引くということに意識が向きやすいのかもしれないね。そして、境界線を引く作業から、競うというところにつながっていくわけだ。
 ただ、その境界線自体は非常にあいまいなものだ。国境について考えてみよう。地球の上に国境線が引かれているわけではないよね。宇宙飛行士が地球を宇宙から見たときには、国境線など関係なく、ひとつの大きな共同体として感じられるはずだ。この感覚がうすれぎみで、境界線の主張を強く押し出しているのが「現代」なのかもしれないなぁ。
 今回も『桃太郎』ネタだね。うまいなぁ。同じ物語も、いろいろな解釈ができるのだね。(また、このようにさまざまな解釈に耐え得るからこそ、昔話は現代に引き継がれているとも言えるわけだ。)このような題材のいかし方には、センスのよさを感じるよ。
 まとめもいいね。昨今の状況は、「一番大切なこと」の反対、つまり、多くの人から反発を受け、かつ、本質的な自己の利益にもなりえない方向へ進んでいるのかもね。だからこそ、長文のような提言が生まれてくるのだろうね。

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 しかし、子供たちの実力はそれぞれ個性的です。上手に書けている子の作文を見せて、自分の子供の作文と比較しないようにお願いします。

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