国語読解力は、あらゆる学力の基礎。問題集読書の復読と、読解検定の自主解説で確実に力がつく
作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)
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スキー大スキー 2! キティ
スキー大スキー 2!
「うわぁ〜!高い!このリフトの上から見るとスキーをしている人がまるでアリみたいだ!」
私は学校のスキー旅行に参加した。私たちはなんとあの有名なザルツブルクに行ったのだ。私は一年前もこのスキー旅行に参加した。一年前は全く滑れなかったスキーも、今年は簡単にできると思っていた。
リフトに乗って頂上へ向かった。気温はマイナス10度。とても寒くて、もう指先が凍っている。髪の毛まで凍るほど寒い。リフトは時々止まってしまうこともある。そうするとすぐ体中がカチカチに凍ってしまう。まるで北極のようだ。頂上にみんなそろったぞ!いよいよ一年ぶりのスキーだ!一年間したかったスキーが今滑れると思ったら涙が出るぐらい嬉しかった。先生は、
「ゆっくり滑ってくださいね。スキーは簡単そうだけど、実際は難しい時もあるからね!それでは気をつけて滑ってください!」
と言っている。私のいたグループは順調にゲレンデを滑り降りた。みんな一人ずつ十回は転んだと思う。時々年下のガキに笑われてしまった。
雪があまり降らなかったため、たくさんのゲレンデを滑ることができなかった。その上全部凍っていてツルツルまるでスケートのようにすべった。
最初は簡単だったのでスイスイと滑れたが最後の険しい森は難しかった。私も何度も転んでしまった。中には足をつってしまった友達もいた。そういう時でも先生はいつも冷静で、誰かが転んだらすぐ止まってくれた。なんだか指の先も寒くなくなった。難しい所にくると緊張して汗をかくから、指先が温かくなるということが分かった。私たちはどんどんうまく滑れるようになっていった。
二日目★
五回しか転ばなかった。ゲレンデを六回も滑ることができた。
三日目♪
二回しか転ばなかった。先生にもついていけるようになった。もうたくさんのリフトにも乗った。
四日目★
一回も転ばずみんな先生についていけるようになった。年下のガキも簡単に追い越せるようになり、今度は逆にこっちが笑えるようになった。全部のリフトに乗ることができた。
五日目♪
スキーレースの日。みんないつもより緊張していた。リフトであらゆる場所に行き、出発地点からスラロームで、立っているスティックを全て抜かさずに滑り降りなければならない。練習したことを全てみんなに見せる日だ。私は緊張していて、心臓がドキドキした。ただのスキーレースなのに、なんだかいやな予感もした。あっという間に順番がまわってきて、レースはあっという間に終わってしまった。
その夜、私たちはホテルの宴会場に集まった。そしてレースの結果が発表された。みんなの心臓はドキドキだ。まず一番年下の小学四年生から結果発表が始まった。
「十一番ベローニカちゃん、十番へレナちゃん、九番シュテファニーちゃん、八番エリザベスちゃん惜しかったね。あと何秒かで、七番だったのにね。七番ヴァネッサちゃんそして六番は・・・」
ドキドキしながら聞いていると、私の担任の先生がやって来た。
「ねぇ、マリアちゃん、レースの途中で間違えてスティックを通り過ぎちゃったでしょ。」
グサッ!いやな予感とはこれだったのか!?
「えっ!?私、全部ちゃんと通ったと思いますけど。」
「そう?審査員の人がね、スティックを一本通り過ぎたって言ってるの。」
(そんな!メガネが曇ってたんじゃないの!?)
と言いたかったが、
「そうですか。しょうがないですね。」
と言った。
「ということで、マリアちゃんだけ結果が出ないの。ごめんね。」
グサッ!グサッ!グサ、グサ、グサ何本もの針が心に刺さった。
そんな。一番になりたかったのに!と叫びたかった。が、その後もなにもなかったように静かにみんなの結果を聞いた。
人の結果発表だったので、ぜんぜん楽しくも面白くもなかった。三番以内に入れた子供たちの喜ぶ顔がすぐそばにある。私は銅メダルをもらった京太お兄ちゃんがとっても羨ましかった。メダルをもらったみんなはずっとメダルを幸せそうに首につけていた。私は早くこんな結果発表なんて終わって欲しいとばかり考えていた。
部屋に戻ったら、お友達がいばりながらメダルを見せびらかしていた。私は、
「へー、すごいね。」
と笑顔をつくって、パジャマにきがえてすぐ寝た。明日はもう家に帰る日だ。三番以内に入れなかったどころか全く順位をもらえなかったことがとてもくやしかった。ふとんを顔までかぶってはじめて泣いた。
翌朝私たちはカバンに洋服を詰めた。他の部屋を覗いて見ると、みんなてきぱき準備をしていた。中にはカバンの上に乗る人や、メダルを首にかけている友達がいた。私はそれを見るとまた悲しくなりそうだったので、すぐ他の楽しいことを考えるようにした。帰り道は来る時よりずっと時間がかかったような気がする。みんな楽しそうに歌っていた。とくにメダルを持っている人は楽しそうだった。家に帰るとみんな優しくしてくれた。弟はひそかにお土産を狙っているようだった。お母さんは、
「いいのよ、三番以内に入らなくたって。来年またがんばればいいんだから。ヘルマン・マイヤー(有名なオーストリアのスキー選手)のようにならなくてもいいんだからさ。」
と言いながら励ましてくれた。でもやっぱりメダルを持って家に帰りたかったな。
いつも誰にも負けたくないと思っている私。今回は負けた人のくやしさがしみじみ分かった。でも来年スキー(書き出しの結び)レースは絶対一番になるぞ!金メダルをもらっている姿を思いながら自分のベッドでぐっすり眠った。
講評 yuu
そうか。今年のスキー旅行ではいろいろあったのね。画面にくぎ付けになって作文を読んだ私はじーんときてしまいました。やる気まんまん♪で臨んだレースでの意外な結果には大きなショックがあったのですね。なんだかそのときのマリアちゃんの気持ちを考えると、うまく言葉にならない気持ちになりましたよ。
最後の段落は作文を総括(そうかつ)する大事なものになりましたね。出来事だけの作文ではなく、また、くやしい思いをした経験談だけで終ってしまうのではなく、マリアちゃんなりに消化(しょうか)できた一つの思いがこのまとめの段落に表現されていますよね。
「伝えたいこと」のある作文こそ、良い作文と言えるのだと思います。
出来事によって書き手の経験や感情に共感するのではなく、その経験を通して書き手が「学んだこと」「分かったこと」「発見したこと」に共感できることがすばらしいことなのだと改めて思います。(←ややこしいですが、分かるかな!?)
くやしさをバネに何かをがんばることも、ときには必要ですが、それ以上に自分らしく新しい気持ちでチャレンジしてくことも大事です。スキーレースでは望んでいた結果が得られませんでしたが、次のチャンス(←スキーだけではないよね!)では、予想以上の実力が発揮されることもあるはずですよ。可能性はいつも自分の気持ちしだいでプラスにもマイナスにも増えていくものなんだね!!凍ってしまいそうだった指先もしっかり温めて次のチャンスに向かってガンバレ!!
毎月の学年別「森リン大賞」作品集森リンの丘
自動採点ソフト「森リン」で上位になった作文を掲載しています。
しかし、子供たちの実力はそれぞれ個性的です。上手に書けている子の作文を見せて、自分の子供の作文と比較しないようにお願いします。
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