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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   人の心   はるる

 今日では、道徳的共同体をつぶしてきた法的社会がふつうの社会となり、国家となっている。しかし、共同体意識は今も人々の間にしぶとく生き続けている。共同体の本質は感覚であるから、理屈、理論、すなわち知よりも情が尊ばれる。共同体社会と法的社会の間をゆれているのが、現代の人間である。私は道徳的共同体を重んじる社会に生きたい。
 そのための第一の方法は、何もかも外国の真似をしようとしないことである。日本は外国を意識しすぎていると思う。例えば、外国人から日本人の言葉使いがあいまいでおかしいと言われれば、日本人はすぐにそれを直そうとする。道徳的共同体だって、こてこての法的社会の国から見れば全くおかしいものだと思うかもしれないが、この道徳的共同体の良さはその国、文化を知る人でないとなかなか分からないものなのではないだろうか。あまりに外を意識しすぎて本来日本にあった良さを頭ごなしに否定してしまうのはもったいないような気がする。
 第二の方法は、相手を思いやる心を皆が持つことである。現代の社会では、相手を思いやるという心構えが希薄になってきているのではないだろうか。道徳的共同体の本質は情だといわれる。「情」を辞書で引いてみると、「何かを見たり 聞いたり して起こる、心の動き。感情。」「人間関係が深まるにつれて、高まってくる(ことが期待される)暖かい感情。情愛。」という説明が出てきた。すなわち情とは、人から人に対する思いやりの感情であり、それは人が生きていく上でなくてはならないものなのだと私は思う。最近、国語の古典の授業で孔子について学んだ。当時はまだ法よりも道徳的共同体が尊重されていた時代だった。その孔子と、孔子の弟子との問答がまとめられているものが論語なのだが、読んでみると、やはりところどころに道徳的な考えのもととなるものがあってなかなか面白い。(伝記実例?)それに、読んでいると、どこか心が温かくなってくる。もしかすると、その文章の中には相手に対する情が濃縮されているのかもしれない。
 確かに現代社会には、法はなくてはならないものだと思う。けれども、私たちは莫大な法の枠に無理やり押し込まれようとされてはいないか。本来法とは、私たちの生活をより良くしていくものだったはずだ。それに、この前テレビでみた法に関する討論会では「なぜ人を殺してはいけないのか」ということが討論されていた。その中で「法で人を殺すなと決められているから殺してはいけない。そのような法がなかったら私は確実に人を殺している。」と発言した人がいた。かつては他人を殺してはいけないということは、周知の事実だった。誰からか教えてもらうものでもなかった。社会で生活している人間の、暗黙の了解だったのだ。それがなぜ今崩れ始めてきているのか。それはおそらく、法という規則ばかりを尊重し、初めに人が持っていた情・思いやりを忘れてしまったからだと思う。「理想に到達するための手段はまた、理想への到達を阻む障害でもある。」という言葉がある。法があれば、私たちは幸福になると信じられてきた。けれども、法が発達しすぎてしまった現代では、最も大切だった「人の心」が不安定なものとしてないがしろにされている。しかし、私たちはそのまちがいに気づきつつあるのではないだろうか。

   講評   sugi

 期待通りのすばらしい作品が書けました。目標字数を余裕でクリアできたし、その長さを感じさせず一気に読ませる力もあるよ。項目すべて◎がついて、進級テストは合格です。おめでとう!
 お電話のときには、「法的社会がの欠点が思いつかない」というようなことを言っていたね。でも、最後の段落のまとめかたを見て、じっくり考えを深めることができたのだなと感心しました。特に、テレビの討論会の話は考えさせらるね。社会道徳を守るために法ができたはずなのに、気づいたら法だけが一人歩きしてしまった…。これは恐ろしい現象だ。いい例が出せたね。
 第一の方法は、もう少し説明を補足しておくといいかもしれないよ。ここで書いた「外国」というのは、たぶん欧米を指しているのだね。たとえば、共同体的意識が強い日本と法的意識が強いアメリカという説明が最初にあると、「外国の真似をしない」という方法が生きてくるよ。

 このごろ、めきめきと力を発揮できるようになってきたね。またはるるさんの力作を楽しみにしていますよ!

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