国語読解力は、あらゆる学力の基礎。問題集読書の復読と、読解検定の自主解説で確実に力がつく
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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   おそるべし!ケータイおばさんの巻♪   キティ

おそるべし!ケータイおばさんの巻♪
 「な〜にぃぃぃ!?あの人がまた会社に来ていない?まったく何考えているのかしら〜!昨日も来なかったし・・・もう、あの人とは会社で話すわ。ところで、あなたの仕事の方はどうなの?・・・えっ!まだ終わってないですって?何やっているのよ。・・・私はあと三十分でそちらに着きますから。それまでにできあがってなかったら、もう首にするわよ!!!いいわね!!首よっ!(ビッ!)・・・全くもうなんてだらしのない社員たちなのかしら!ブツブツブツ・・・」(書き出しの工夫)
 私はこの日、久しぶりにお母さんと街に遊びに行っていた。私たちが乗りこんだ地下鉄には、このように大声でどなりながら携帯電話で話している女の人がいた。髪の毛は金髪で、若いお姉さんみたいに結んでいた。服装も二十歳くらいの姉さんが着るようなシマシマのTシャツに、流行りのGパン、そしてジーンズのジャケット。それにピンピンの8cmハイヒール。後ろ姿しか見えなかった時は、きっと若い姉ちゃんだと思っていた。が、その人がくるっと振り向いて、私の目の前の席に座った時、びっくり仰天。なんとその人は三十〜四十歳くらいの老けたおばさんだった。そのおばさんは携帯電話をきると、一人で外を眺めなからブツブツ文句をいっていた。
 するとまた—————
♪♪ペンペケペンの〜ぺンぺン♪♪
携帯電話がまた鳴った。(変な呼び出し音だな〜。まるでお笑いの最後の締めくくりのような。)
(ピッ♪)「はい。・・・あら〜、セバスティアンちゃん!どうしたのぉ?・・・そんなことよりスキー大会どうだった?どのメダルもらえたの?・・・えっ?・・・銅メダル?すごいじゃない。・・・え?・・・違う?銀!!すっごーーいじゃないの!おめでとう!・・・うんうん。寒かったでしょ。・・・うん。おじいちゃんとおばあちゃんにもちゃんと言っておくわ!わ〜、でもスゴーイ。家に帰ってきたら、パーティーしましょうね♪仕事が終わって、家に帰ったら、シャンペンを冷やしておくからね。・・・はいはい。もっちろん高〜い高級な方よ。でも本当にすごい。I love you♪♪ブチュ♪・・・あっ、次の駅で降りなきゃいけないから、今切るね。うん、バイバイ♪・・・」
と言いながら電車から降りて行った。
 私はやっと静かになったと思った。(体験実例)
 私は、このおばさんが電車から降りるまで笑うのを必死にガマンした。電車から無事に降りたのを見届けて、お母さんと顔を見合わせて静かに大笑いをした。
「最初は機嫌がチョー悪くて、また次に電話がかかってきた時は機嫌がコロッと変わって、はぁ〜い、セバスティアンちゃん〜♪なんて言ってたよ。聞いた?」
 だがお母さんは全ての内容は私の通訳なしでは意味が分からなかったようだった。お母さんは私の説明を全部聞いて、初めてゲラゲラ腹を抱えて笑った。(道ばたで、どこでもかしこでもガハガハ笑うから、そばにいる私はいつも少し恥ずかしい。)
 私は電車の中で堂々と携帯電話で話せる人が信じられない。私は外で携帯電話に出る時はいつも回りの人に聞かれないように、小さな声でささやくように喋る。とても堂々と話すことなんてできない。それに『I love you♪』だなんて電車の中で絶対に言えない。それに『首にするわよ!』なんてもってのほかだ。それに『シャンペンを冷やしておくからね。』なんて恥ずかしくて言えない。
 それよりももっと驚いたことは、周りの人が一言も言わないで、笑わないでいるということだった。横に座っていた人はボーっとしていたし、隣りの列の人は、一人は本を読んでいて、もう一人はウォークマンで音楽を聞いていて、三人目は携帯電話でピコピコ遊んでいた。本当にだれも一言も言わないのにはビックリした。私が大人だったら・・・やはりきっとその人に対してはなにも言えないだろう。あの迫力だと、声をかけて注意でもしたら、逆にどなり返されたりするような気がする。その人のために周りがかなり迷惑していることを判らせることは大変だろう。あのおばさんの迷惑だった点は、周りを無視してまるで家にいるようなつもりで話していたことなのだ。だれもその人のプライベートなことなど知りたくないのだ。世の中にはいろんな人がいるということが分かった。
 大人はいつも、『携帯電話で話す時は、静かに、短く用件をまとめて。そしてできるだけ安く済ませること。』と言う。だが、大人も私たちと変わらずバンバン電話をかけている。うちのお母さんなどは、ちょっと悩み事があってね〜と言っては最低2時間かけている。(ユーモア)
 やっぱり電話料金の請求書を見ると半分は大人が使っている。そしてもう半分は私たち3人の子供が使っているのだ。
 日本では、携帯電話は電車の中では使用してはいけないと聞いている。オーストリアにも早くそうした決まり事ができればいいのにと思う。そうすればきっと周りの人も迷惑せずに済むだろう。マナーを守るということは、将来社会全体が豊かになるということなのだ。

   講評   yuu



カルチャーショックとでも言いましょうか、お国柄を感じる微笑ましいエピソードですね。いやいや、マリアちゃんは公共の場でのマナー(社会道徳)について真面目に取り組んでくれているのに、まずこんな感想を持ってしまいごめんなさい。
たくさんの人が集まる場所では、それぞれの都合もあり、人それぞれの事情もあるのでしょうね。一人で行動していると、つい電車もバスも自分のために動いてくれている(走ってくれている)ような気がしてきてしまうよね。毎日、同じ時刻の電車のそれも毎日同じ車両の同じドアから乗っていたりすると、自家用車と勘違いしてしまいそうになります。でも見渡してみると、性別も年齢も国籍も違う人々の共同の場所であることに気がつきますね。自分さえよければ……とか、みんなもやってるから……という自分への甘さがマナーを犯していく小さなきっかけなのかもしれません。一人一人が意識することによってマナーは初めて生かされてくるものなんだね。

最近の日本の電車では奇数号車は携帯電話の電源を入れておいてもOK.偶数号車では電源は切っておく、なんていう決まりのできた電車もあります。
マリアちゃんは恥ずかしい〜と表現していますが、「冷蔵庫の中のシャンペン(←それも高級品!)」とか「I Love You〜♪」とか、日本の満員電車の中ではありえない光景で、ちょっとうらやましい気持ちになったりして・・・笑

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