創造と発表の新しい学力
総合選抜入試にも対応。探究学習を超えた、新しい創造発表学習。
AI時代には、知識の学力よりも、思考力、創造力、発表力の学力が重要になる。

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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   集団におけるユダ発生論   クラシック

 キリストと13人の使徒と言えば、有名と一口で語れない程、著名である。さて、キリストの奇跡については、数え切れないほど多くの話が残っている(これは全て歴史と関係あるかは怪しいものであるが)。その奇跡を目の当たりにした13人の聖者が、キリストに従った。これが、キリストに従う使徒、つまり、キリスト教の誕生である。さて、イエス・キリストと聞けば、私達が奇妙にも結び付けてしまう一人の有名な人物がいる。キリストの使徒でありながらキリストを裏切った、背信者のユダである。ユダの裏切りによってキリストはエルサレムで十字架にかけられ、また銅貨50枚でキリストを売ったユダもその行いを恥じ、首をくくり自害したという。とまあ、ここまでがキリストの物語である。ここには、キリスト教という1つの集団が書かれている。キリスト教は、おそらく人間集団の原点である。これは、現在、いや、過去から現在まで続いてきた集団的特徴が良く表されている。ユダの例にしてもそうだろう。集団的バイオリズムというものは、始めのうちこそ活気があるが、例外無くそのうちだんだんと衰退していく。そこで重要になるのが、裏切り者、つまりユダの存在である。基本的に生物は、自分と敵対するものを定めれば、それを排除しようと活発になる性質がある。集団として長続きし、いまでなお活発に布教するキリスト教の裏には、やはりお世辞にも綺麗とは言えない黒歴史があるわけである。ユダの裏切りから始まり、これの活力が薄くなった頃、やはり敵対する勢力が現れている。これがイスラム教であり、クルセイダ—ズ進行のきっかけである。このように、キリスト教は、活力を失うたびに、敵対する勢力を作り上げ、あるいは裏切り者を作り上げてきたわけである。プロテスタントとカトリックの対立もこの例に含まれる。無論、こういった性質はキリスト教に限らず、やはり仏教や政治などにも、いや、私達の現代社会におけるごく普通の集団でさえ、例外無く反映されている。我々は、これを改善していく必要があるだろう。既に、十分身をもって体験させられているであろうから。
 その方法として挙げる故に、欠点として特筆すべきは、やはり集団自体が持つ脆さというものだろう。その根本には、人間の気持ちの移り変わりと言った人間的弱さがあるわけであるわけだが、これは後々問題にするとして、集団的強さを身につけることが大切なのではなかろうか。具体的に言えば、活気をつかせる要因として、敵対者、あるいは背信者を持ってくることが、そもそもの間違いなのである。もっと、違った何らかの方法を用いる必要がある。確かに敵対するものを祭り上げるというものは、簡単かつ手軽で、その上に一番活気を盛り上げられるだろうから、それが今でも使われがちなわけである。だが、それではいけない。何か、共通の趣味を集団内で生みだし、それをベースに活力を生んでいくなど、工夫が必要なのだ。
 さて、先ほど後に回させてもらった問題だが、ここでは人間的弱さという観点から私の意見を述べたい。集団だけではなく、集団が弱体化するもう1つの要因、いや、根にまで喰い込む大きな根源に、個々の人の脆さというものが挙げられる。始めは、いくら意欲があろうと、時が経つにつれ、やがてそれはだんだんと萎んでいく。これは、精神的生物である限り仕方の無いことと言われてきたが、果たしてそうであろうか? 絶対に解決方法の無いものであろうか? 私はそうは思わない。現に、いつまでも、年老いてなお、初心と何事にも接する意欲を忘れず持ちつづける人々も多々いるのである。こればかりは、心の持ちようとしか言いようがないが、基本的に彼方の未来を見つめている人々にこれらの傾向がある。集団の有益や発展を望み、その未来を個々が見つめているならば、こういった問題もかなり少なくなるのではなかろうか?
 意欲の減少によって仕方なくなどという方便はただの言い訳である。本当に未来を見つめている人は、このようなさかしい手など使わずとも道を切り開いていけるのである。

   講評   jun

 時間はかかりましたが、1600字をこえるところまでよくがんばりましたね。内容的にもすばらしいものに仕上がりました。
 まず、長文でも触れられている裏切り者ユダの話を導入部にたっぷりと書くことができたね。
 内部に敵を作ることで集団を活気づけることは容易にできます。でも、敵を作らなくても集団を維持していくためには、クラシック君が挙げているように共通の趣味を集団内で生み出し、それをベースに活力を生んでいくような工夫が必要だと言えますね。また、個々の人間の脆さを克服することは難しいけれど、不可能ではないという点もそのとおりだと思います。具体的な方法を挙げられていませんが、未来に向けて意欲を持ち続けるということは確かに大事なことでしょう。ヒントを参考に、ここに具体的な方法を挙げることができるとよかったね。
 最後は力強い意見でしめくくることができました。

   

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