国語読解力は、あらゆる学力の基礎。問題集読書の復読と、読解検定の自主解説で確実に力がつく
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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   人の幸福に対する価値観   はるる

 貧困は、金銭をもたないことにあるのではない。金銭を必要とする生活の形式の中で、金銭をもたないことにある。それにもかかわらず、先進国は「所得」が多いか少ないかでその国の豊かさを測定しようとする。巴馬瑶族の人たちもアマゾンの多くの原住民も、所得が少ないグループに入っているが、彼らの「所得」を多くするにちがいない政策によって、幸福のいくつもの次元を失い、不幸を増大する可能性の方が現実にははるかに大きい。私はこのような豊かさの基準を他国に押し付けるべきではないと思う。
 そのための第一の方法は、貨幣だけがすべてだという考えを見直すことである。現代の日本では、貨幣がある程度ないと生きていけない。移動するのにもお金がかかるし、食事をするのにも、住居をかまえるにもお金が必要だ。だから、お金が大切だと考えることはとても自然なことだ。第一お金がないとなにもできないのだから。私も最近、それを痛感したことがある。その日、私は一日中テニスの練習をしていたので、とても喉が渇いていた。当然何か飲み物が欲しくなったので、コンビニへ寄って行くことにした。さあ、何を買おうかと商品を眺めながら、ふと自分の財布の中を覗いてみると、自分が思っていたよりもお金が入っていなかったのだ。ここから自宅の最寄りの駅へ行くためには、二百四十円かかる。しかし私のお財布の中に入っているお金はたったの三百円。電車賃のことを考えると、飲み物が買えないことが、その時はじめてわかった。当然、東京のど真ん中に湧き水があるはずもない。仕方なく、私は喉の渇きを我慢して、電車に乗った。(体験実例)このように、水が欲しかったらお金を出して買うしかない。しかし、もしそこに人が飲める湧き水、もしくは川の水があったのなら、また状況は変わったのではないだろうか。私たちが貨幣を必要だと思うもともとの理由は、貨幣を払うことで自分の欲求を満たせるからである。私がその時欲しかったのは、金属の塊ではなくて、喉の渇きを潤すことのできる水である。つまり、もし貨幣を持っていなかったとしても、そこにその人が欲する飲み水、食料が存在したとすれば、それでその人は幸福なのである。なにもわざわざ貨幣を通して獲得しなくとも良いのだ。それに、もし貨幣を持っていたとしても、そこに水という商品がなかったなら、意味がない。
 第二の方法は、自分の価値観を相手に押し付けないことである。人間の考えというものは、十人十色だ。人によって違うことが普通であって、皆同じということはむしろ異常である。しかし、人は自分を理解してもらいたいがために、自分の価値観までも人にわからせようとしてしまう。私はこうすればあなたが幸せになると思う、だから私に従え、という理屈はあまりに自己中心的だ。人によって価値観が違うように、人によって幸せの基準は違って当たり前なのだ。人に自分の価値観を押し付けないこと、これは人と接する時のマナーでもあると思う。
 私たちの国では、幸せを得るために貨幣が必要なだけであって、他の国は必ずしもそうとはかぎらない。しかし、人が望む幸せの根本は、ひょっとしたら似通っているものかもしれない。必要なのは、貨幣そのものではなくて、自分が幸せになるための行動である。そのために私たちには貨幣が必要なだけなのだ。私はもっと、個々の幸せに対する価値観が尊重されるべきだと思う。

   講評   sugi

 休み宿題も真面目に期限を守って提出できたね。しかも、すばらしい大作になりました。きちんとしたペースで作品を仕上げていくと、毎週さまざまなテーマについてじっくり考えることができるので、とてもいい勉強になるよ。この調子でね!

 今回は、「貧困とは」という問題。日本に住んでいる私たちは、貨幣に対して同じような価値観を持っているけれど、まったく別の価値観があるということを勉強できたね。東京の真ん中で、あらゆるものに囲まれていながら、飲み水に困るという事態。このような分かりやすく具体的な例を挙げるのが、最近のはるるさんは得意になったね。「お金がなければ、喉の渇きを我慢するのが当たり前」と思うのではなく、なぜこのようなことになるのかを、長文の内容と重ね合わせて、分析することができました。

 毎回、二つの方法のそれぞれの特色を出していくのが難しいね。個人の内面の問題と、社会的な問題というように考えるのも一つのやり方です。結びの段落は、「反対意見への理解」を入れたほうが主張がより強くなりますよ。

 夏休みも後半にさしかかったね。充実した日々を過ごしてくださいね。

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