創造と発表の新しい学力
作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)
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自分らしさ あとえ
レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンというバンドがある。このバンドは、あらゆる権力、あらゆる制度に対して否定の行動を起こすことこそロックであるとし、メッセージとしている。十九世紀末、ヴァレリーは世界は方法に制覇されると予言した。方法は、誰にとっても反復不可能であり、いかなる人間でもその方法はさえ用いれば、同一の結果に到達する。このとき方法を用いる側の個体性も、破壊される。英雄と呼ぶに相応しい個人などいなくなり、均質化した個人だけがあらゆる領域を埋め尽くすような事態がおきる、と。レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンの語る、あらゆる機構の細部にまで浸透しきった機械こそが、私たちから個体性を剥奪する方法にほかならない。
私たちは自らの個体性を持つべきだ。
その方法として第一に、何をするにしてもマニュアルに頼らないことだ。数学の問題を解くとき、いつも先生が教えてくれたように、教科書通りに解くようにしていた。自分で考えて出した答えはいつも間違っているとみなして、解答通り解くように心がけていた。すると、「どおせ自分で解いても答え直すんだし、答えまる写しして覚えれば良いや」と思いだし、だんだん自分で解く気がなくなってしまった。中間や期末テストではそれでもなんとか解くことができた。しかし、校外模試では、ちょっと応用問題がでると、解き方がわからなくなってしまい、テストは悲惨なモノのなってしまった。というのも、私がいつも答えを丸暗記するだけで、どうしてこういう答えになるのかという事を理解していなかったからだ。私はこの体験から、何でもマニュアル通りにするのではなく、一度自分で考えて、自分なりの答えを出すべきで、そうすることによって自分を向上することができるということを学んだ。
第二には、社会全体が正しい結果だけを見るのではなく、過程をもっと重視するようにすべきだということだ。努力はしても、なかなか結果にはでないものである。勉強でも仕事でもそうである。いくら一生懸命勉強してもできない時は本当にできない。また、たくさん残業して努力しても業績がでない時はでない。しかし、テストの点が悪かったから、業績が思うように伸びなかったからダメなのであろうか?それは違う。調子の悪い時は誰にでもあるのだから、問題は結果ではなく、過程である。もし、結果だけを見る社会なのであったら計算の過程なんか必要ない。みんながみんな機械的に解けば良いだけだ。しかし、みんなそれぞれ違う考えを持っているのだから、みんな同じだなんてできるはずがない。だから私は、結果だけを見るのではなく、個人個人の考え方を見るべきだと思う。それでこそ、個性のある人間が生まれるのだ。
確かに、先人の知恵をいかすことも能率をあげるためには重要だ。しかし、「人は、みんな同じなのではなく、それぞれ個性があるから素晴らしいのである。」というように、もっと自分なりのやり方を大切にして自分らしさを大切にすべきだ。
講評 kira
由希子ちゃん、こんにちは。「方法に制覇される」というなんとも衝撃的な文章でしたね。たしかに、その兆しはあるような・・・。最近マニュアル人間が多い。大学に行ったのに、自分が何を勉強したらいいのか、聞かないとわからない人もいるそうです。みんなと同じにしてると落ち着くといった現象も同じだね。
解法を自分で見つけることの喜びを感じたことがある人は、幸せです。そして自分らしさを保っていける人なのでしょうね。由希子ちゃんは、大丈夫だね。
教育の問題点を力強く論じました。結果ばかりを見る、マイナス法の教え方も問題です。実例が挙げにくいときは「長文実例」を使おう。10.2週の「効力感」の話で途中経過を「ほめることの大切さ」をあげたり。10,3週の「大人になって」では「物語を大切に」つまり、過程を語ることが大事。といったふうにね。
世の中が物質的に豊かになった今、個性は得がたい魅力になりそうです。お金では買えないね。ひとまね、ものまねでは、決して手に入らない宝物です。
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しかし、子供たちの実力はそれぞれ個性的です。上手に書けている子の作文を見せて、自分の子供の作文と比較しないようにお願いします。
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