総合選抜入試にも対応。探究学習を超えた、新しい創造発表学習。 ＡＩ時代には、知識の学力よりも、思考力、創造力、発表力の学力が重要になる。 ▶ 創造発表クラスのご案内

昨日3224 今日2737 合計58297□

　　　使いよう　　　黒猫みー

　「情報」をほとんど受け売りにしているだけの人は、どんな話をしてもその人の人生経験に照らした上での「知恵」になっていない。知恵の有無は、ものを自分の頭の中でじっくり考えているかいないかである。一点から一点への最長距離を道草と考える人もいるかもしれないが、自分の頭で考えたり、感じたりしながら、長い長い距離を歩くことで人は自分らしい成長をとげるのだ。
　確かに、「情報」を素早く正確に集めるのは大切だ(意見)。情報社会といわれる現代ではなおのことそうであろう。わたしは、電車で通学する。去年のことだ。台風で木が倒れ電車が止まってしまったことがあった。なかなか復旧しない電車に痺れを切らすこと一時間。とうとう学校までの一駅分の距離を歩くことになってしまった。わたしが寒い駅のホームで過ごしたあの一時間はいったい？　その時ほど、もっと早くにこの情報が耳にはいらなかったことを悔やんだことはない。もし、そうであれば、わたしは一時間余計に家の中でコタツの中の猫のようにぬくぬくと過ごせたのに！　
　しかし、生きていく上では、「知恵」も欠かせぬものだ。知恵とは長年の経験、昔からの教えといった宝物のたっぷりつまった宝箱のようなものだ。猫と王様の話にもある。あるところに仲のよい王様とお妃様がいた。しかし、賢い王様はちょっとした疑問を発端にお妃様をかえりみず、世界のあらゆる知識を集め出した。王様の命で国民は仕事もそこそこに世界各地から知識を集める。そのため、国土は荒れてしまう。そんなある時、ふしぎな猫が現れて王様に三つのなぞなぞを出した。答えられなかった王様のかわりにそれに答えたのは年取った大臣とお妃さまと王様のインキつぼ係。あらゆる知識よりも大切なものに気づいた王様は、元のやさしい王様に戻ったのだ(昔話)。このように情報や知識だけでは人生に潤いがないのだ。
　確かに、人生には情報も知恵も欠かせないものだ。しかし、それをもっているだけでは宝の持ち腐れだ。いかに、それを生活の中で上手に使い、役立てていけるのか。それが人の人生の豊かさを決めるのだ。「道は近くても、行かなければ到達しない。」ということばもある。簡単なことのようだが、それを実行しようとしなければ何も変わらない。

　　　講評　　　jun

　情報は大切であるという一つ目の意見には、忘れられない自分の体験を書くことができました。正しい情報が早く伝わるということはとても大事なことです。黒猫みーさんは、このことを身をもって学んだのですね。寒い駅のホームと家の中のコタツを対照的に示すことで、黒猫みーさんの思いがより強く伝わってきます。
　第三段落では、猫と王様の昔話を実例として挙げることによって、情報や知識だけでは十分ではないという意見を裏付けることができました。「情報や知識だけでは人生に潤いがない」とはそのとおりだと思います。
　情報も知恵もただ持っているだけでは意味がありませんね。総合化もうまくまとめましたよ。