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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   言葉の働き   FULLMOON

 具体的な情報伝達を目的としない、したがって内容があまり重要でないタイプの言語活動は、一般には無意味で無駄な時間つぶしと考えられているものに見られる。このような場合、ことばを交わし合うことそれ自体が、互いの心を通わせ、一体感を高める働きをするのである。 多くの人が仕事の話や用件に入る前に、お天気の話や当たり障りのない短い会話を交わすのも、これがお互いの警戒心や敵意を弱め反対に安心感を高める効用があるからである。
 あまり意味のない言葉を使うことによって、人と人との間の潤滑油の働きをする、という考え方がある。ブスーっと黙っているだけじゃ始まらないという経験は誰でもしたことがあると思う。たとえば私は、中学入学の面接のときに名前を言った後で何を言っていいか考えてなかったので、2分ぐらい詰まってしまったまま、マネキンのようになったことがある(たとえ)(経験)。そのとき、自己紹介をすると、いろいろ言葉を出せるような気持ちになれた。逆に、言葉を発することなくいたら、その日の関係は最悪である。
 でも、意味のない言葉は場合によってきちんと働かないことも考えられる。学校でよくあるのだが、話ばかりで大切なことができなくなることがある。最近クラスも学校全体も私語が多い。だから朝や帰りのホームルームでも先生からの連絡が通らなくなっている。逆に先生の連絡のように重要なことを伝えることこそ、言葉の本当の大切さなのではないか。昔話にこぶとりじいさんという話がある。この場合は、おじいさんが踊ったことが潤滑油の働きをした。しかし、鬼がこぶを取ることができるという、中身があったことを忘れてはいけない。
 言葉の働きは、潤滑油の働きとしても、内容を伝えるためにも使える。でも、それはどちらかではなく、一緒に使うからこそ効果を発揮するのではないか(総合化)。確かに世のオバサンたちは潤滑油だけでお話しているし、「踊る大走査線」の室井さんたちを見てわかるように、偉い人は言葉を、伝えることだけに使っている。でも、「出口のないトンネルはない」という言葉のとおり、トンネルにおいての入り口と出口の組み合わせと同じで、言葉も、潤滑油の働きと伝える働きの組み合わせで成り立っているのだと思う。

   講評   kamono

 あたり障りのない話をすることの効用を、それがどんな役目を果たすか、潤滑油という言葉を使って、この文の筆者、鈴木孝夫は説明している。実は、例題に出されている文章はそこまででとどまっている。その先、筆者がどのようなことを書いているのか知らないが、村上君は、感想文を書くに当たって、言葉の本当の大切さという肝心なところにまで言及して、自分の考えたことを述べている。
 ここが村上君のこの文章の、とても良いところだ。先生の連絡のように重要なことを伝えることこそ、言葉の本当の大切さなのではないか……内容を伝えるためにも使える(ではなく「使う」の方が適切)ことこそ、本当の大切さ、潤滑油と一緒に使うからこそ効果を発揮する、潤滑油の働きと伝える組み合わせで成り立っている、こういうところまで記述を踏み込んでいるところに、これまでの村上君の文章を読解し、書くという蓄積がうかがわれて、とても感心しています。「、」の使い方もうまい。
 キーワード(約束)もちゃんとできています。面接のマネキンも、ホームルームの私語をもってきたのもいい。来週も楽しみです。

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