創造と発表の新しい学力
総合選抜入試にも対応。探究学習を超えた、新しい創造発表学習。
AI時代には、知識の学力よりも、思考力、創造力、発表力の学力が重要になる。

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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   言葉と根拠   ゆん

 私は、たいてい受け答えがはっきりしない。はっきりしている人もいるのだが、その人達はとてもしっかりしていて気が強いのだ。
 確かに、受け答えがはっきりしていて、強調されているのが良いという意見もある。強調しないと、雰囲気に誤魔化されて、自分が損をしてしまうとも限らないのだ。私はこういう体験をした。友達と遊んだ時だった。ある駅で50円を拾った。私にとってはめったにない、珍しいことだったのでとても嬉しかった。ところがその時、友達が横から手を出してきて50円をひったくり、私に向って「これ、もらっていい?」と聞いてきたのだ。私は心の中で、「え!?なに言ってんだ。私がそれ拾ったんだろ?」と思った。だが友達は、私の心の中を知ることもなく、「ねぇ、もらっていいでしょ?だめなの?」とまで言ってきた。私は、「うん……。」と返答した。私は友達に、「そうだよ。だめなの。」という意味をこめて言ったつもりだったのだが、勘違いしただけなのか、聞こえなかったふりをしたのか、友達は「ごめんねー。」と言いながら、それを自分の財布の中に納めてしまったのだった。その時私は、「謝るんなら、最初からやめとけよ……。」と思った。まるで、ともだちの意外な一面を見てしまった人の様な気持ちにもなった。
 しかし、控えめにすることは、相手の気持ちをよく考えていることだ。という意見もある。イソップ童話に、「金の斧と銀の斧」という話がある。あるきこりが木を切っている最中、手がすべって斧が池に落ちてしまった。きこりが困っていると、池の中から神様が出てきた。神様はきこりに金の斧を見せ、「この斧を落としたのか。」と聞いた。きこりは、「ちがいます」と答えた。次に神様は銀の斧を持ってきて。「これか。」と聞いた。きこりは、「いいえ。」と答えた。次に神様はきこりの鉄の斧を持って出てきた。「それです。」ときこりは答えた。きこりの正直な心に感心した神様は、どちらもくれたのだった。この場合、相手が神様でなく普通の人だったら、鉄の斧しかくれなかっただろう。(笑)
確かに、相手の気持ちを考え、控えめにするのも良いが、しかし、はっきりと強調して自分の意見を言う方が、話が早く効率的だ。だが、大事なことは相手を尊重することである。自分の気持ちばかり一方的に押し通すのではなく、根拠をしっかり持つことだ。「間違っていながら、しかもそれを認めたがらないとき、人はついには怒り出す。」というトーマス・ハリヴァーンの名言にもあるのだ。はっきり答えるにしても、あやふやに答えるにしても、根拠が必要なのだ。

 

   講評   nara

この前の電話では、妙な方向で話を盛り上げてしまったね。日本人が英語のNOをきつく感じ、欧米人が日本人をあいまいだと考えるのは、普段の思考回路が異なるからだ。何を基準に考えるのかというのが違うのだね。
 ゆんちゃんが、奪い取られた50円玉を見つめている姿がかわいそうだし、ちょっとおかしくもある。(そもそも、警察に届けなくていいのか、という疑問はこの際置いておこう。笑)この友だちにとって、ゆんちゃんの「うん」は、自分の意見に対して了解してくれた、という答えだったわけだ。これは、いかにも日本的な受け止め方ということになるね。もし、電話で話したことを参考に答えるとすれば、ゆんちゃんは「いいえ、だめだよ。」と言うべきだったのかもね。
 イソップの話はもう一工夫したいかなぁ。これは、控えめにというよりも、正直の方に力点がある話だね。
 まとめは、うまく総合化できた。結局のところ、なぜNO(またはYES)なのか・なぜはっきり答えられないのかというフォローがないことから、気持ちのすれ違いや摩擦が起こるのだね。日本人は、くどくどと説明することをヤボだ・粋ではないととらえがちだけれど、少し意識を変えていくことも必要なのだろうな。この根拠とともに、相手が何を求めているのか・こちらが何を伝えたいのかを意識するのも大切なことだね。

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