国語読解力は、あらゆる学力の基礎。問題集読書の復読と、読解検定の自主解説で確実に力がつく
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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   今、私達が求める世界。   うちら

産業革命以来、なによりも頼りになる確かなよりどころは、工学的なものの考え方であったし、またそう信ずるのが当然のなりゆきでもあった。そして数量的に証明できるものにこそ真理があり、それのみが正しいとする考え方が、広く行きわたっていった。だがいまやその行きすぎがいろいろな面で見直されようとしている。それを補うための最も有効な方法の一つとしてあげられるのは、生物学的な発想であろう。「二〇世紀は機械文明の時代であったが、二一世紀は生物文明の時代になる」というような言葉が使われている。人は人間であるよりもさきに、まず生物で、生物は本来もっと泥臭いものだということが、いつの間にか忘れられていた。それに気がついたわけである。やはりこれからは生物学の時代だと思う。
第一の理由は、私達人間にとって、生物的な考え方の方が馴染みやすく、雑念の方が落ち着くからである。私の部屋ははっきり言って汚い。教科書は積み上げられすぎて崩れ、床の上、机の上、ありとあらゆる場所に散乱している。着ようか着まいか迷った服は、洋服ダンスから飛び出て、床にまで広がってきている。これはあまりに汚すぎて問題だが、やはりある程度生活のにおいがする方がいいのではないかと思う。少しぐらい洋服が置いてあったり、教科書が落ちていたり。そういう人間臭さも大切なのではないか。昔、猫を飼っていたのだが、猫も同じ考えのようだった。きれいに見た目良く作られた小さな小屋の中に、きれいに毛布を引いてあげる。しかし猫は、すぐに毛布をぐちゃぐちゃにして、部屋の隅に持っていってしまう。やはり、雑念の方が落ちつくのだろう。この、人間にも猫にも共通する考え方。これこそが動物の本能なのだと思う。
第二の理由は、整然としていて、合理的だと、人間は落ち着かないものだからである。もし自分の部屋がモデルルームのようにきれいで、合理的で、整然としていたら、あなたはどう感じるだろう。私だったら落ち着かないと思う。きれいに整理された空間には、何だか自分の居場所がないような気持ちになるのだ。筑波大学が中心となって作った、つくば学園都市というものがある。学生や研究者のために作られた人工的な都市だ。道路はまっすぐにコンクリートで舗装され、番地が一目でわかるようにきれいな長方形になっている。まさに絵に書くような道のりだ。建物は高く、ひたすらまっすぐ建っている。どこかアトムが住んでるロボットの町のようなを感じ雰囲気がある、昔の人が夢見た「未来」そのものの形だ。しかし、ここにはあまり人が住み着かないそうだ。自殺者も年々増えつづけている。それはなぜだろう、と考えてみると、やはりそこには人間臭さというものが欠けているように思える。橋の下の赤ちょうちんや縄のれん、ちょっとした道のくねりでもいい。そういう私達人間の本来の姿を感じさせるようなものが無いと、落ち着かないのではないか。もらってうれしい年賀状の第一位は、オリジナルの手書き年賀状だという。こんな所からも人間が合理的で整然なものよりも、手のこんだ人間らしいものを望んでいることがわかるだろう。
確かに昔人々が夢見た、機械文明や、四角、直線でデザインされた空間、合理的さを第一とした考え方というものも必要で、大切なだと思う。しかし今、人はそのことにばかりこだわり過ぎてしまっているのではないか。「経験は、最良の教師である。」今まで私達人間が生きてきた道のりをもう一度振り返り、生活に役立てるべきなのではないか。人は人間であるよりもさきに、まず生物で、生物は本来もっと泥臭いものなのだ。現代に生きる私達がふと夢見る未来は、昔の人が夢見たデジタルで機械的な世界ではなく、本能という人間の本質をもっと尊重した、人間味のある、暖かい世界なのではないか、と私は思う。

   講評   jun


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