創造と発表の新しい学力
作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)
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道ばた こと座
「二十一個、二十二個。ああ、これは、ひどいなあ。」
私は、ドイツに来てからというもの、ずっと足元を見ながら歩いています。なぜかというと、そうしなければならない理由があるからです。
「らいら、気をつけて、ふまないでね。」
お母さんが、あわててさけびました。
「なんで、道の真ん中にどうどうとあるんだろう。」
私もお母さんもドイツの落し物には、ほとほといや気がさしています。
私は学校まで毎日市バスで通学していますが、このバス停までの行き帰りが問題なのです。
特に朝はまだ真っ暗のうちに家を出るのでたいへんです。
落し物というのは、犬の落し物のことです。ドイツの人は、犬が好きで、家族の一員としてとても大切にしています。ドイツではバスや電車の中でも犬をよく見かけます。それなのに、どうしてでしょう。袋を持って、犬の散歩をしている人を私は見たことがありません。お母さんは、落とし物をみつけるたびに、きまってこう言います。
「これがもしもアメリカだったら、らいら、どう?家の前の道に置いていったら、うったえられるわよ。」
前にアメリカにいたときに聞いた話によると、うっかり、ふくろを持たずに、散歩に出たお母さんの友だちは、アパートの三階の窓から、大きな声で注意をされたそうです。そういえば、クリスマスに行ったフランスもドイツの道と同じで、あちこち落し物が多くてびっくりしました。
「フランスでは、朝一番に放水車が出て、道路のはしっこにとばしてかたづけるんだよ。」
お父さんが笑いながら教えてくれました。フランスもドイツも美しい国なのに、本当に不思議です。
犬の落し物は飼い主の落し物です。私は将来、ねこを飼いたいのですが、トイレの場所はきちんと教えてあげます。気持ちよくいっしょにくらしたいからです。
講評 ao
こんにちは、らいらちゃん。いい作文ですね。最初の書き出しがなぞかけみたいになっているのもおもしろいです。二十二個もあったのは犬の落し物なのね。こんなにあったら本当にいやですねえ。ドイツの人たちがフンの始末をしないなんて本当に不思議です。犬の飼い主でさえ迷惑をこうむっているはずなのにね。もしかして、“そんなきたないもの触れるかい!”っていうのが飼い主の本音なのかもしれませんね(そんな無責任な)。
お母さんのセリフがいいね。アメリカだったら訴えられるというのが、犬の落し物の始末が徹底(てってい)していることと、なんでも訴えるというお国柄の両方を表してますね。犬の落し物をめぐってドイツ、アメリカ、フランスと国際的視野にたって比較できるらいらちゃんの視点も愉快です。
“犬の落し物は飼い主の落し物です”の主張もいいですね。そんなコピーのポスターができそうです。
とても楽しい作文なので、新聞投稿してみたらどうですか? 学習のてびきの“投稿ラベルの使い方”というところに投稿の仕方が書いてありますよ。投稿するなら、“落し物とは犬のフンのことです”の方が分かりやすいと思います。フンという言葉を避けたい気持ちは分かりますが(~_~)
毎月の学年別「森リン大賞」作品集森リンの丘
自動採点ソフト「森リン」で上位になった作文を掲載しています。
しかし、子供たちの実力はそれぞれ個性的です。上手に書けている子の作文を見せて、自分の子供の作文と比較しないようにお願いします。
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