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　　　名前も知らないあなたへ　　　キティ

名前も知らないあなたへ

　ソフィーは田舎へ帰っているので、替わりに私が答えるね。私は一緒のアパートに住んでいるマリアです。
　火星人が宇宙船の上によじ登って私のことをじっと見つめていたらどうするか、という質問があったよね。あなたは火星人と言われたら、どんな人を想像する？私は、二本の角を生やして、なぜかサングラスをかけている、小さくて赤い火星人を想像する。そんな火星人が私のことをじっと見つめたら、声をかけて握手をしたあと記念撮影をして、アメリカのブッシュ大統領より先に火星に連れて行ってもらうでしょう。火星人であろうが、地球人であろうが、同じ生き物だから私は友達になりたいと思う。それともあなたは火星人の体が赤いから避ける？（要約)

　自分を異星人みたいに感じたことはない？という質問もあったよね。あなたはあるの？私は自分が異星人だと思ったことはない。でも時々外国の人を異星人のように感じることがある。たとえば、靴を履いたまま畳に上がる人を見た時や、病気の時にコーラを飲む習慣に出会った時など。自分と違うことをされたらやはり異星人と感じてしまう。私の弟もわがままを言う時、本当に異星人のようになるんだ。もしかしたら私も友達や家族から異星人のように見える時もあるのかな？こんなこと考えてみたこともなかった。

　キッチンのテーブルの上を飛びまわるパパを見て、ママがどう反応すると思う？とソフィーに聞いていたよね。想像できないな。もし浮いているパパを見たら、ママは手に握っていた湯飲み茶碗を台に置き、そうじきのホースをパパに渡し、ほこりを拭いてもらうでしょう。その上私のパパはお相撲さんのように太っているので、パパも浮くんだと驚くでしょう。
　他にもどうしてトーマスとママの反応はこんなに違うのか、という質問もあったよね。トーマスは子供で、まだ想像力が豊かで、ファンタジーの世界に溢れているからだと思う。私もまだ小さかった頃、トイレに吸い込まれてしまうかも、と思うくらいファンタジーに満ち溢れていた。子供の頃は、あなたも言うように何でもありだと思っているんだよね。

　さぁ。色々な質問に答えてきたけどどうだった？私にとっては今まで考えたこともなかったような質問があったよ。自分が異星人だと普通思わないけれど、想像の世界に入ることができた。色々な経験をまた集めることができたので、本当によかったと思っているよ。ありがとう。ソフィーの意見ではなかったけど、私の答えで満足してね。元気でね。
マリアより

　　　講評　　　yuu


　マリアちゃん、こんにちは。作文がとても楽しくできましたね。詩のようです。散文詩かな。マリアちゃんはたくさん本を読んでいますね。「てん」や「まる」（句読点・くとうてん）にも、マリアちゃんの詩心が溢れていますね。そして文と文の間、行と行の間（段落）にも、読者の心に響くメッセージが託されているのだと思います……。
　誰でも自分の中に、自分だけのものさし（定規？）を持っていて、少し幅が合わなかったり長さが違うだけで違和感を感じるものです。同じ人間なのに「異性人！？」なんて思ってしまうものなのね。でも、だからこの世の中は驚きと楽しさで満ちているのだ思います。私もこうしてマリアちゃんの作文を毎週読んでいると「ん？」と思ったり、「え！」と思ったり、「へぇ〜♪」と思ったり。
　いつもながら実例に個性がたっぷりつまっていましたね。頻繁（ひんぱん）に登場してくださるお父様お母様はもちろん、家族の皆さんの雰囲気がとてもよく表現されていますね。○○たり△△たり〜の書き方もいつも上手です。並べていくつかの例を挙げるときにつかう「たり」ですね。（例：食べたり飲んだり（笑））
　最後に一つ「人は……」・「人間は……」の「『一般化の主題』ができたらよかったですね。