創造と発表の新しい学力
総合選抜入試にも対応。探究学習を超えた、新しい創造発表学習。
AI時代には、知識の学力よりも、思考力、創造力、発表力の学力が重要になる。

昨日3224 今日3743 合計59303
作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

小学1・2年生   小学3・4年生   小学5・6年生   中学1・2・3年生   高校1・2・3年生

   道の歴史と人類の歴史   延麒六太

   道の歴史と人類の歴史
                                   延麒 六太
 自然発生的な細いやさしい人間のふみならした道は、ゆたかな気持ちでものみなすべてにいとしみを感じながら歩ける。無味乾燥なアスファルト道路、車が通るだけのための舗装された道には、手にとりたいようなものは何もないのだ。道が一番道らしいのは、人間のくらしをあたたかに支え、いろいろなものを発見することのできるふみしめられた道である。                               (要約)
 人間と道とにはどんな関係があるのだろう。いきなりこう聞かれて、え?と思わない者などいるだろうか。みんな一瞬はて?とおもうことだろう。これから、道とわれわれ人類の関係を語りたいと思う。                    (書き出しの工夫)
 人間と道とには大昔から深いかかわりがあった。今から二千年以上前旧石器時代とも呼ばれているこの時代に、わたしたち人間は獣を追って移住生活をしていた。獣の足跡を追ってあえて密林に踏み込んだ。道には獣の足跡の隣に仲良く人間の足跡が残る。そんな時代が縄文時代まで続いた。そして、縄文時代のなかごろ人間たちは海岸に移り住んだ。海の恵みを受けるために。魚を獲り、貝も食べバランスのよい食事をしていた。海岸に移り住んだときも人間たちは道を通って行った。
 渡来人によって米作りが伝えられたのは、紀元前三世紀のこと。そのころから人間たちは、定住生活を始めた。しかし、それでも人間は道と関係なくなったわけではない。道は覚えている。身分の高そうな者が自分のうえを通った後、その付近にいた農民がその場に平伏した。(はて、何があったのやら。)おそらく道はそう思っただろうね。やけにちゃんちゃらと飾りをつけている者がいる。ひれ伏せた者たちの身なりはとても質素だな、と。弥生時代が終わるころ、道にも分かった。この世に、身分が生まれたのだ、って。
 時代はどんどんさかのぼり鎌倉時代の話。ぱっか、ぱっかと歯切れのよい音が聞こえる。
何かと思ったらいきなりけられた。(いたたた。なんて乱暴な。)全くだね。これからは、武士の時代。
なんかにぎやかだな。ここは江戸の町。この間まで活気がなかったのによくまあこうも明るく栄えたものだなあ。お、農民が学問に励んでいるぞ。あ、農民の子どもではないか。なになに、これから寺子屋に行って来まーす、だって。寺子屋って何だ?まあ、いいか学に励むことには多いに結構結構。道は、その後も町人の観察を怠らなかった。が、大きな変化が起こったのは武士の時代が始まってからに二百六十年ほどたった年のことである。
町人が海岸でぎゃーぎゃー騒いでいる。何だろうか、全く喧しい。そう思って何気なく町人たちの集まっているほうを見てぎょっとした。道も今まで見たこともない人種、そう
天狗に近い鼻が高くて色が白くわけの分からないことをしゃべっている。道が今まで見たことがないのは、その者たちばかりではない。天狗が乗ってきた戦艦や大砲、それに洋服までが奇妙だった。はあ、この世も変わったものだな−。なんてのんきなことでも言っていたのかな。
 その後、日本は大きく変わっていった。ちょんまげを散切り頭にしたり、下駄から靴に変わったり、着物からドレスになったり。ぜんぜん似合わないのに無理をしていた。
そんな時もいつも道は人間の隣にいた。昔から人間と道とはくっついていた。おそらくこれからも離すことはできない。二人が離れるのは人間が滅んだときだけである。そんなことがない限り、人間と道とは隣同士である。今も、これからも、ずっと。  (体験実例)
 わたしは、学校へ行く道々でけりやすそうな石を見つける。学校までの道は、コンクリートで舗装されているけれどそれでも良い石がちらほらと見つかる。たいてい登下校時は3,4人の友だちが一緒だからみんなでミニサッカーをするのだ。石が道路に飛び出てもあまり飛んでいないのなら取りに戻る。少し離れすぎていたなら、仕方がないからあきらめる。そんなふうにするのも色々とわけがある。
 前に石蹴りをしていたら、背後から車の来る音が聞こえてきた。考え事をしていて石が変な方向に飛んでしまった。わたしは車には気付いてはいたもののその時何を考えていたのか、石を追いかけていってしまった。プップウー、とクラクションがなっているのが分かった。背筋がぞくぞくした。はたと、我に返り背後を振り返ると大型車の運転手がたこのように怒っているではないか。とっさに顔が赤くなった。真っ赤に腫れ上がったみたいに。あ、すみません。無論こんなことでは済まされませんよね?言いそうになって、あわてて口をつぐんだ。そのたこ運転手は早くどけといいたいのだとその顔から察せられた。
 ま、そんなことがあって今では十分用心しているのだ。     (似た話、前の話)
 よく「浅からぬ縁」というが人間と道とはまさにそのとおりだ。前にも述べたように人間と道とは二千年以上のそれはそれは語りだしたらきりがないほどの長い長い縁があり歴史があったのだ。だからこれも前に言ったが二人は離せない。離れるのは、人類が滅びたときだけ。それ以外は、絶対ありはしない。            (ことわざの引用) 
 人間と道とはこのような関係があった。そして今もいつもお世話になっている。これからも人間は膨大な借りを作ることとなるであろう。人類にとって道とは古くからの恩人といっても言い過ぎてはいない。(一般化)
 もし道がなかったのなら、わたしたちの祖先はどうしただろうか。いや、それよりもわたしたちは今この地球にいることができただろうか。わたしの考えでは、前者に対する答えは食糧不足に陥り飢え死にする。
後者に対する考えは存在しないである。それだけ道は人間にとって大切なものなのだ。それをこれからも心に留め、この長々しい道の歴史と人類の歴史を終わらさせて頂くことにする。      (書き出しの結び)
                              

   講評   yuta

長い作品を四部構成でうまくまとめ上げましたね。
◆第一部:『要約』。簡潔にわかりやすくまとめたね。
◆第二部:道の歴史を道から見た人間というおもしろい視点で描いてくれました。個性的です。道を擬人化してみると、いろいろな声が聞こえてくるね。鎌倉時代の書き出しで『時代はどんどんさかのぼり』とありますが、さかのぼると過去に戻ってしまうので、「時代は進み」などの言葉で表そう。日本の歴史を振り返ると激動といってもいいくらいさまざまな変化をとげてきたのですね。そのいつの時代にも道はありました。
◆第三部:さて、現在。今の道はどんなことを思っているのでしょうね。石けりも十分注意しなければできない時代。人よりも自動車のための道みたいです。ハッと思わせる現代の危険を表現豊かに描写することで身近な問題を示せました。第二段落との対比がいいですね。
◆第四部:「浅からぬ縁」『人類にとって道とは古くからの恩人と言っても言い過ぎではない』道とのかかわりがうすくなっている現代。今こそ、道の声を聞くべきなのかもしれませんね。
       

毎月の学年別「森リン大賞」作品集森リンの丘 
 自動採点ソフト「森リン」で上位になった作文を掲載しています。
 しかし、子供たちの実力はそれぞれ個性的です。上手に書けている子の作文を見せて、自分の子供の作文と比較しないようにお願いします。

作文教室受講案内   無料体験学習   作文講師資格 
Online作文教室 言葉の森  「特定商取引に関する法律」に基づく表示」  「プライバシーポリシー」 
お電話によるお問合せは、0120-22-3987(平日9:00-19:30)