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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   生産的人間   こめ

 今や死は新しい「資材」を分泌する生産的な死、人間自身の規定する「人間的な死」となった。だが、もたらしたのは、人間のまったく「非人間的」な可能性なのだ。「人間的」態度を保つには、今の状況を欺瞞なしに受けとめ、そこに身を開きながらありうべき関係を探ってゆくほかはない。移植治療によって人が生きられるのは、人間が身体的存在だからである。身体的生命はそれ自身の論理を貫いており、不老長寿とは別の「不死性」のきらめきさえのぞかせている。
 最近、日本でもドナー登録をした脳死者から心臓や肝臓などの臓器を摘出して他の患者に移植をするということが始まった。また、2年くらい前に、嘘か誠かはわからないが、外国のどこかでクローン人間が生まれたというニュースが放映されたのは記憶に新しい。そのようなことからもわかるように、人間は、次第に「生産される」ものに変わり始めている。私は、このことが進んでしまっては絶対にいけないと思う。なぜなら、本当に人間が生産されるようになれば昔のアメリカのように、生産された人間が奴隷売買によって売り買いされて買った人の家で酷使されてしまうなどの恐れがあるからだ。それに、体格や顔等が皆同じになってしまうのも気味が悪い。だから、人間を「生産的」なものにはしないべきだと思う。そのためには、どうすればよいか。
 第一の方法としては、クローン技術を見直すということが考えられる。クローンは、生物のコピーのようなもので、コピーする生物の遺伝子がそのままの生物が生まれる。既に、羊や牛などで実験が成功している。しかし、「これらの家畜が本来の家畜と一緒に世に出回ることを考えると気味が悪い」とか「本当にクローンは安全なのか?」と考える人もいて、研究程度にしか世に出回っていない。クローン人間を作ることは禁じられているが、どこかの団体がひそかに行っているということもないとは言えない。このようなことをする団体が存在したならば、やがて人間が「生産的」になってしまうのは間違いない。だから、このようなことをしている又はしようとしている団体は厳しく処罰すべきだ。
 第二の方法としては、脳死者からの臓器移植について考え直すということだ。脳死は、一般的に死と同じと考えられているが、そうではない。確かに死と同じ状態であるが、まだ心臓が動いているし、体が硬直してもいない。回復する見込みはないものの、生きてはいるのだ。だから、そんな体から心臓や肝臓、腎臓といった重要な臓器を皆摘出して他者に移植することは、脳死になった人を殺してしまっているのと同じだ。だから、脳死移植について、一度考え直してみるべきだ。
 確かに、クローン技術はとても便利なものだし、脳死移植で多くの命が助かっている。しかし、それは人間を「身体的」ではなく「生産的」にしてしまうきっかけとなってしまう。人間は、自ら現実から離れていっている。だから、現実に連れ戻すためにも人間を「生産的」なものにはしないべきだ。

   講評   kamono

脳死および脳死移植についての、難解なテーマに対し、しっかりした考察ができました。脳死を人の死と割り切ってしまうことに、まだ議論のあるところです。脳死移植法が成立して何年も経過したにもかかわらず、脳死移植が日本ではあまり進んでいません。そこに、ことのむつかしさを見るような気がします。
要約、これは読んでいてちょっと、むつかしく感じました。最近、日本でも……以下、人間を「生産」させるような状態には、絶対なってはならないという、しっかりした意見が言えました。 クローン技術が人間にも応用されて「生産」されるようなことにでもなれば、まさに、奴隷制度を思わせる悪夢ですね。クローン技術が、仮に動物に応用されることになっても、遺伝子組み換え食物と同じで、果たして食用にして問題はないのか、大いに懸念のあるところですね。現に、日本では遺伝子組み換え食物が敬遠されていますから。
防ぐには、そのような団体を厳罰にする、確かにそうですね。
第二の方法以下、脳死移植には賛成できない、これは理由をはっきり述べて、意見として言うことができました。結び、人間を「生産的」にするべきではない、その通りですね。
人間は、どんどん進む科学技術をコントロールできなければならない、コントロールできるのは科学者ではなく、文科系で学んだ人間だ、そういう意味のことを、ノーベル賞受賞者、野依良治教授から聞いたことがあります。
人間は科学技術をコントロールしなければ……ということに触れられたら、なお、良かったですね。

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