国語読解力は、あらゆる学力の基礎。問題集読書の復読と、読解検定の自主解説で確実に力がつく
作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)
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故郷忘じ難し ええり
「ああ、疲れた。このかばん重いよ。早く。」
「もう少しだから。」
「博美ちゃんたちは。」
「あっ。いたいた。久しぶり!」そう言って母は従兄弟たちの方へ走っていった。
私も後から付いていき、半年ぶりに会った従兄弟たちと一緒にご飯を食べる、ホテルのレストランへ向かった。
ゴールデンウィークに私は両親の故郷である広島へ祖父母、また従兄弟たちに会いに帰った。母と二人で行った私は電車から降りて尾道駅を出て、従兄弟たちと約束していたグリーンヒル・ホテルへと向かった。駅を出てすぐの所にあるエスカレーターを上って少し歩いた所にホテルはあった。しかし、田舎だからなのか、そのホテルは駅前のものだとは思えない程小さく、一番びっくりしたのは入り口が自動ドアでなかった事だった。「えっ。自動ドアじゃないの。」と言いながらドアを開けると従兄弟と叔母が立っていて皆でお食事をしに行った。レストランに入り、注文を済ませると私達は少し話し始めた。しかし、話好きな家族である私達は学校の先生の事や身近な出来事などの話をしていくうちにどんどん盛り上がっていき、レストラン中聞こえるのではないか、と思った程大きな声で大笑いをした時もあった。従兄弟たちはとてもしゃべるのが好きなだけでなく、好きな分とても話すのが上手なため、母と私はずっと爆笑していた。
中でも本当に笑いがとまらなくなってしまったのは従兄弟の学校の先生の話だった。今年高3になった、完全な広島弁の従兄弟がこう言った。
「うちの担任の先生が、変な人なんよ。女の子が遅刻したけぇね、先生がその子に注意したんよぉ。『遅刻はいけんよ。こりゃあもう、ポンじゃ。』ってね。」と言って、先生が出席簿で頭を「ポンッ」とたたくのを真似した。私は広島弁と、この先生の独特な注意の仕方が面白すぎてずっと爆笑していた。
私も母も皆とずっとおしゃべりをして、リラックスする事ができ、楽しいゴールデンウィークを過ごせた。
人間はどんなにストレスがたまっていたり疲れていたりしていても大笑いをする事によって幸せになれるはずだ。自分が生まれ育った環境で、一緒に育った人たちと楽しい時間を過ごすというのは必要であり、とても大切である。また、家族や友達と一緒にお話をしたりする事によって、リラックスすると同時に相手をよりよく理解する事ができ、日頃から感じていた事を伝えることができる。故郷に帰るという事は「素」の自分に戻る、という事なのかもしれない。「故郷忘じ難し」というように、人はどんなに都会が好きでも、やはり自分の故郷はなかなか忘れられないのでしょう。
講評 siro
「故郷忘じ難し」という言葉を見て、先生もはっとさせられました。実は先生は福島県で生まれたのですが、田舎暮らしが嫌で東京に出てきたのです。福島に住んでいた頃、東京は憧れの場所でした。東京に行けば田舎では有り得ない何かが起こるような気がして、希望と不安を胸に抱き、十八歳で上京しました。結果、特に何があったいうわけではなかったのですが(笑)、親から離れた開放感に味をしめてしまいそのまま田舎に帰ることはありませんでした。けれども、あれほど嫌だと思っていた田舎を懐かしいと感じるのですから不思議なものです。
構成:電話でお話したとおり、カギカッコからのスタートで書いてくれましたね。従兄弟たちとの再会から書いたところが上手ですね。
題材:従兄弟たちと過ごした楽しいひと時を書いてくれましたね。久しぶりに会って、大いに盛り上がったことでしょうね。
表現:先生にも広島出身の友達がいますが、言葉が独特でおもしろいですよね。東北弁を聞いて育った先生にとって、西日本の言葉は早口で何だか叱られているように聞こえることもあります。(笑)
主題:匠子さんが書いているように、人間は笑いによってストレスを吹き飛ばすことができますよね。どんなに嫌なことがあっても鏡に笑顔を向けると、がんばろう! という気持ちになれますものね。
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