国語読解力は、あらゆる学力の基礎。問題集読書の復読と、読解検定の自主解説で確実に力がつく
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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   時   あとえ

 時は、あるいは時間は、われわれの人生がその上に展開する座標ではない。時は『もの』である。手で捕まえることのできる『もの』、眼で見、耳で聞くことのできる『もの』である。日本の時間とボルネオの時間とは違うし、現代の時間と古代の時間は違う。私の時とあなたの時は違う。時間は決して一つになってはいないのだ。
 現代の社会では、時を座標としてしか見ていない人が多い。学校の時間割などが良い例である。私は、時を単なる目安にしてしまっている現代の社会は問題であると思う。
 その原因として第一に、目安があると便利だからである。私はお菓子がとても好きである。だから、いつもスーパーとかコンビニとかでお菓子を買い占める。しかし、たまには自分でも作ってみることがある。料理本を買ってきて、「小麦粉二百グラムに、卵2個??それからそれから...」独り言をブツブツ言いながら(はたから見るとかなり怖いかも知れないが。笑)作っていく。そして、お菓子作りの最大の難関である『焼く』にたどりつく。私は、『焼く』作業は本当に難しいと思う。焦がしすぎず、少し焦がして...ちょうどいいくらいにするのが結構難しい。しかし、そんな私にも強い味方がいる。それは『レシピ』である。レシピには焼き時間の目安が載っていて、ずっとオーブンを見つめていなくてもすむ。料理がど下手で毎日忙しい私には、とっても強い味方である。お菓子作りをしている時「時間の目安って本当に便利だなぁ」とつくづく思う。
 第二には、高度経済による環境破壊である。昔の人は、月や太陽や植物を見て、今がいつなのかを感じ取っていた。桜が咲くと、四月の始め頃かなと感じる事ができた。蝉の声が聞こえなくなると、あぁ夏も終わるんだなぁと思った。雪が降ってくるとうわ〜冬だぁ!とおしくらまんじゅうをし始めた。時間なんていう単位がなくても、昔の人は時を知ることができた。しかし、現在では温暖化やビル建設などによる環境破壊により、季節があやふやになってきた。今年の春は、寒かったり暖かかったりしたため、桜はきれいに咲き誇ることなく散ってしまった。蝉が自由に飛び回れるような空や、羽根を休める木も切り倒されて、町中から蝉の姿が消えた。これでは、時を知ることなんてとうてい不可能だ。だから、私たちにはきちんとした単位が必要だった。そして、できた単位が環境から時を感じるより、正確で便利だったため、私たちはそれに依存してしまったのだ。
 確かに、時間という生活の単位のおかげで、随分と暮らしやすくなった。しかし、時は暦からではなく、肌で感じるものだから、時を座標としてしかとらえない現代社会は問題である。

   講評   kira

 由希子ちゃん、こんにちは。ちょうど今頃はオーストラリアの美しい風景の中にいるのでしょうね。旅立つ前に、きちんとテストの課題をクリアしていった由希子ちゃんはすばらしい。「時」に縛られ依存することのない生き方が出来ていますね。
 構成力、論理的な進め方の力がいちだんとつきましたね。しかもユーモアもたっぷり。
 社会問題を「時を単なる目安にしてしまっている」ことにおいたのですね。つまり、時と言う単位にすっかり依存して振り回されていることを批判していく立場でしょうか。時とは本来もっと感じる主体側にあったと思ったのですね。
 一つ目の原因は「時間」というものがじつに便利だったということに求めました。時間は計算できる。つまり足したり引いたりできるようになってしまった。人間の時間はほんとうならまっすぐな流れで取り戻したりできないのに、まるで貯金が出来るかのように錯覚した。「モモ」という物語には時間銀行に時間を貯金する大人たちが出てくるね。お菓子づくりやちょっとしたドリル的な学習には時間の単位はとっても便利なのにね。
 もうひとつは「時」をつたえてくれるはずだった「自然」の破壊をあげました。そうですね。日本の古典には自然によりそった美しい「時のことば」がたくさんあります。「朝月夜・夕月夜」「あけぼの」「たそがれ」情趣たっぷりです。蛍光灯が照らし出す明るい夜には、眠ることも惜しむ人がいっぱいいる現代とは大違いですね。
 「肌で感じる時」というのはすてきな言葉ですね。先生も「おはだに年輪を感じています。」(ちょっと意味がちがった?)
 立派な作品。みごと合格です。おめでとう!
             

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