国語読解力は、あらゆる学力の基礎。問題集読書の復読と、読解検定の自主解説で確実に力がつく
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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   日本のアニミズムにおける物質的自我の構成   クラシック

 人間には、自我や、かつての経験からなるニューロンの結びつきを通して無意識とか超自我と呼ばれる無意識的道徳性が生まれるとされている。(自我の発生もかつての経験による無意識的な記憶の投影と融合によるとフロイトは語ったが、イドやスーパーエゴはそれよりさらに深く記憶と結びついている。)この自我があればこそ、人は個々の個人性、思想を持ち、さらには痛みを認識することができる。動物にとって痛みとは単なる瞬間的な危険信号として韋駄天のようにさっと駆け抜けるだけであるが、人間にとっては違う。いつまでも、少なくとも数時間は残留し人より何らかの感情を引き出すものである。漫画家にして哲学家たる手塚治虫は日本人の気質たる自然主義より端を発する物質信仰を背景に、ロボットと人に対しての相違観念を具体化していった。即ち、ロボットの感情について言及していったのだ。それは鉄腕アトムから始まり、火の鳥に終わる。彼はこれを終生のテーマの一つとし、既に感情のあるロボットはロボットでは無く、ただ鋼鉄の体で出来た人間に過ぎない。つまり、ロボットが自らの感覚を覚え、自我らしいものを形成した瞬間にロボット三原則さえその効力を失い、人を殺しうるし、自殺もしうる。具体的に言い換えれば、プログラムに則する認知的行動的手法(Cognitive Behavioral Methods)による拘束に縛られない限り、自らの自我に基づき、行動できるのだ。もし、遠くない未来、超高性能な、イドやスーパーエゴさえ形成しうるAIが誕生したとするならば、これが証明できる確信的事実だと言うことが分かるだろう。このとき、人間は、おそらくこのAI搭載の超高性能ロボットを、非人間とし弾劾する、あるいは昨日が完全に止まるまでペットとして扱うであろう。(これも確信的事実である。何故ならば、人の中には、歴史を重ね積み上げた無意識の高慢が存在するからである)だがしかし、何故かく簡単に彼らを否定することが出来ようか。人間さえ、自然が生んだスーパーコンピューターに過ぎないのだ。AIを生むことによって人は、自らと相変わらぬ人類を、母胎を介さず生むことが出来るということだ。さて、先ほど、確信的事実とした人間のロボットに対する差別だが私が推測するに、日本人程この問題に関してヒューマニズムを発揮する人種は居ないだろうと私は考える。これは、かつてよりの日本人の気質の成す特性とさえ言い換えられるものである。古来より、日本人程自然の多感性と密着していた民族は少ないだろう。日本には色とりどりの春が夏が秋が冬が存在するのだ。そして、この自然と溶け合ってきた人々は自然を擬人化し、神の死んだ明治以前まで奉ってきたのだ。百鬼夜行絵巻に、九十九神なるものが存在する。これは妖怪の一種で、物に手が生え足が生え、時には喋りさえするのだ。他にも日本の昔語りには、正体が下駄であったり、毎日有難く思って食べていた大根が恩返しをしたという話が非常に多く残っている。これが、日本人のアミニズムである。これに対して外国人の概念には、こういったアミニズムが、子供ならまだしも、大人の中に存在しないのである。そして、近年、日本人の概念から、このアミニズムが、少しづつであるが、排除されているのである。これは、一体如何なる原因で、またどういった利害を引き起こすだろうか?
 結論から言えば、アミニズムは、欧米より原始的と表されるが、決して原始的では無く、言うなれば強化され洗礼された日本文化の≪美徳≫とさえ言えよう。これは、むしろ反対に科学や生物学においても、多大なる貢献をしているのだ。日本からアミニズムの失われる原因に多くを占めるのは外国、特に日本の羨望を的に受けたアメリカの影響によると思われるが、欧米の思想に徐々に押しつぶされ、食い尽くされていく日本は何とも痛ましい。
 確かに大多数を占めるアミニズム侵食の基盤は欧米によるが、日本人の、特に高度経済成長期の日本の科学に対する憧れが、物質信仰主義を否定することになったという事実も否めないもので、社会やメディアのヴァーチャル化、即ちゲームや映画の精密化が、日本人の多感性を挫き、人の物化、つまり主観性を排除し、良い面での現実的な想像力を欠かせていってしまったのだ。
 確かに、欧米の客観主義的な考え方は必要なものではある。特性的に客観主義は、非常に科学とマッチしていた。客観主義的な考え方を主する外国文化であればこそ、今の先進国の強烈な文化的発展があるのである。しかし、酒も過ぎれば毒となる。欧米の客観主義には、早くも限界が見え始めてきた。日本のナチュラリズムに依存する想像力は、確かに、科学的爆発的発展を成しえ無かったし、水と油のように、正反対の性質を持ち、溶け込まないかのように見える。しかし、アミニズムは科学に確かな証明力を発揮したことになる。即ち、日本文化たる物を大切にし愛着を持つかの気質は水と油でありながら、互いに溶け合うことが可能だということだ。科学の限界を引き伸ばし、新たなる段階にと持っていくためにも、アミニズム的考えをもう一度考慮し、特に年寄りが堕落し切ったと嘆く若い世代に見せてやればいい。ここからは既に別の主題、即ち、そうである前に、バトンさえ作れればの話である。

   講評   nane

  さすがに最高点の文章だね。かなり重い書き方だったけど(笑)、論点はしっかり整理されている。
 ロボットは痛みを感じうるかという長文のテーマに対して、痛みを感じるような想像力こそ必要と問題提起したんだね。日本人のアニミズムは、文化の奥深くに根ざしているように思う。トトロにしても千と千尋にしても、あるいは水木しげるにしても、そういう日本人の感性とマッチしているところがあるから、人気が出たんだろうね。
 素材語彙の多さが圧倒的。強力語彙も高得点だし、重量語彙もかなり高い点だった。アニミズムという言葉をはじめとするカタカナ言葉が多かったので、重量語彙がやや少なめになっただけから、内容的には問題なし。
 九十九神などの例は効果的。堅いテーマのときはできるだけ柔らかい実例も入れていくと幅が広がる。
 更に読書を続けて、語彙力と実例の幅に磨きをかけていこう。

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