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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   真の「言葉の理解」   ええり

ある日、枝を離れた花びらが地面に達するまでのあいだの状態をぴたりと表す言葉がない事に気づいた。こういうのは、自然が言葉では表せないほどのものだという事なのか、それとも日本語にそういう言葉がないだけなのだろうか。もしそうならば、それは日本語の語彙の貧弱を意味するのだと思う。
私の学校には不思議な先生がたくさんいる。しかし、中でも最も中三の生徒に人気なのは地学の先生だ。「異常」だという事が人気の元となっている先生は、三十四歳であり、独身で一人暮らしをしている。寂しかったので何年か前にインコを飼い始めたそうだ。そのインコの名前はみくちゃんといい、その先生は初めての授業の時に私たちにみくちゃんの話や真似をして見せた。普段は全然授業に聞いていない人でさえ、まるで魔法にかかったように、先生の話に魅了されていた。皆特にその先生が好きだというわけではなく、とにかくあまりに風変わりな先生を見て驚嘆していたのだと思う。「ぼく、みくちゃん。みくちゃん大好き!」などと、先生は先生特有のしゃべり方で言っていた。動作なども加えたり、急に声のトーンを低くしたりするので、私達は大爆笑だった。しかし、それがどんなに面白いことであったかを誰かに伝えるとなったらそれがなかなか難しい事だということに気づいたのである。この文章のように、自然を表す言葉のことではないが、その先生の喋り方を説明するとなると、うまく言う事ができなくて困った。先生の話し方の特徴や言い方、雰囲気、そういうものすべてが組み合わさる事で私達は「笑い」というものを体験できたのだと思った。
違う話になるが、私は美容院に行くときによく戸惑う。髪を切ってもらう時に「こういうカットがいい」というのをうまく伝えられないからである。友達のような髪型がほしいと思うときに、美容師さんはその子を知らないので説明する必要がある。しかし、髪型を伝えるのはとても難しいのである。「私の好みの髪型だ」と言っても私の好みがどういうものなのかが分からないので無駄であり、「サラサラストレート」と言っても色々なストレートの髪型があると言われてしまう。かといって、美容院の雑誌で「これ」という髪型があるわけでもない。自分の中ではもうすでにイメージができているために、それにぴったりと合うものでないと満足でない、という風になっているのかもしれない。とにかく、そういう「微妙」なことを表す言葉がないのは結構大変なのである。そういう風に、自然を表す言葉だけでなく、日常生活を表す時に使う言葉の中にも日本語の語彙の貧弱は感じられるのである。
言語というのは人間が作ったものであるために、言葉では言い表せないものが自然界や日常生活に生じるのだ。それを補うために人は「五感」をもって生まれたのではないかと思う。たとえぴったりとその動作や物体などを表す言葉がないとしても、それを言葉で説明したりその特徴を述べたりする事で相手に伝えることができるという事が本当の「言語の理解」なのかもしれない。

   講評   siro


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