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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   課題_4-2   うるい

 アニメ映画「天空の城ラピュタ」の中で、かつて人類が造った空に浮かぶ王国を復活させようと企む相手に、ヒロインであるシータが言った「人間は土から離れては生きられないのよ」という台詞を思い出す。私は東京の港区で生まれ育った。小学生の頃、カブトムシを親に買ってもらったことがある。当時の東京は、すでにカブトムシが生息できる環境になかったのだ。また、サッカーや野球をする場合は広い土地がなかったので、病院などの敷地に忍び込んだりしたが、もちろん、そこは私有地であるので、守衛の人に見つかれば出て行くしかなかった。ビルの屋上で遊んだりもしたが、もちろんそこも立ち入り禁止で、今考えるとあそこから誰か転落して命を落とすものがいてもおかしくなかったと思う。現在、東京では六本木・汐留・品川など再開発が進み、高層ビルが続々と出現している。おそらく、カブトムシやウグイスにとっても、そこで暮らす子供たちにとっても、ますます暮らしにくい方へ向かっているのではないか。東京では人間と自然との距離がこれまで以上に広がっていっているのだと言える。しかし、東京を改めて都市開発をすることにどれほど意味があるのであろうか。
 日本は明治以降、中央集権体制によって、戦前は軍事力の強化に力を注いだが、終戦後は経済力の強化に力を注ぐことによって、欧米をモデルにした近代化による豊かな国づくりを目指してきた。企業や官庁は東京に集中し、地方から東京へ人が移動した。こうして、日本は目覚しい経済成長を遂げたのだが、同時に日本の政治経済の中心である東京は都市化が進み、東京から自然は急速に減少した。
 最近では、地球温暖化による環境問題への関心も高まっている。例えば、ビルの屋上を緑化するといったことが注目を浴びているようだが、いくら昆虫や鳥が空を飛べるからといって、そんな高いところにあるコンクリートの上に造った緑にどれだけ集まってくるのか疑問である。また子供達が気軽に遊べる場所だとも思えない。やはり、地面に根を張る木や草からなる自然が必要なのではないだろうか。現在でも東京には、地図で見ると、灰色のビルで埋め尽くされた中にわずかに緑の部分が残されている。民間企業が利用できなかった皇族関係の土地である。民間の企業は利益を優先させ、効率化に意識が集中しやすい。自然との共存をめざすためには、政府がリーダーシップを取り、規制による統制もある程度は必要があるであろう。
 たしかに、バブル時より下がったとはいえ、東京のまだまだ高い地価を考慮すれば、少ない面積で大きな収益を可能にする高層ビルの利便性は高い。しかし、これからは、地方の衰退を立て直すためにも、中央に集中した権限を地方に委譲していくことがひつようになる。また、インターネットなどの情報通信技術の発達により、お互いが距離的に離れた場所にいながら、共に働くということも可能になるはずだ。もう、今までのように東京に人を集める必要はなくなるのだ。そう考えれば、徐々に東京に自然を増やし、大きな公園などを造って子供たちがそこで走り回るような街になってもよいのではないか。自動ドアに子供が頭を挟まれて命を落とすような街を、私は望まない。

   講評   nane

 書き出しの工夫がいいですね。
 堅いテーマのときほど、やわらかく描写的に書くというのは大事です。
 書き出しに続く自分の体験も具体的。
 屋上緑化などに対する意見も明確です。緑化はしないよりもした方がもちろんいいでしょうが、孤立した緑化では生き物がそこで暮らすということは難しいでしょうね。
 反対理解の収益性は、よく考えています。インターネットの活用で都市の機能が変化するというのはいい着眼点。
 結びの表現もいい工夫です。
 森リンの点数が105点というのは、表現力がかなりあるということですから、がんばってください。

毎月の学年別「森リン大賞」作品集森リンの丘 
 自動採点ソフト「森リン」で上位になった作文を掲載しています。
 しかし、子供たちの実力はそれぞれ個性的です。上手に書けている子の作文を見せて、自分の子供の作文と比較しないようにお願いします。

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