国語読解力は、あらゆる学力の基礎。問題集読書の復読と、読解検定の自主解説で確実に力がつく
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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   僕の痛かった思い出   えかれ

 僕は生まれてたったの12年間で何度も手術をしたことがある。それは生まれたときから胸の中央が普通の子供よりへこんでいて、大人になったときに心臓への大きな負担が心配されたからだ。この胸のことを“ろ斗胸”とお医者さんに教えられた。走ったり日常の生活には影響がなかったけれど、水泳のときにクラスの友達から胸のことをいつも指摘され、嫌な思いをした。ロンドンの病院で見てもらっても手術をする必要がないと言われたが、僕の両親はこれを心配して日本の大学病院に問い合わせをした。すると東京女子医大がこの整形手術が得意で夏休みを利用して僕は手術を受けることになった。手術は胸に金属のバーを入れて骨を矯正するものだった。そしてそのバーは約2年間、僕の体の中に入っている必要があった。
 手術後、麻酔がきれると両腕の脇の下の傷口が、がまんできないぐらい痛みだした。寝たきりで自分で起き上がることもできない。3日間が過ぎお医者さんからベットの上で起き上がるように指示された。お腹に力がまったくはいらない。傷口が痛くて手を使えない。呼吸も自由にできない。こんな経験は初めてだった。約1ヶ月の入院後何とか一人で歩けるまでになったのでロンドンに戻った。
 でも僕の体の中に入っている金属バーが僕の体にとっては異物で、手術の傷口が化のうしだした。触れるだけで痛みが走りガーゼで傷口を保護する毎日が続いた。毎週土曜日はロンドンに在る日本人のための病院に行った。そのときの治療は傷口をメスで切り、中に溜まっているうみを取り出してもらうことだった。メスで傷口を切る瞬間は、まるで体の中に電気が走るような痛さだった。こんな状態が半年間続いて見かねた両親が日本の手術をしてくれたお医者さんに相談をし、僕はまた日本へ行くことになった。
 日本で体の中に入っている金属バーの消毒と化のうを防ぐ手術をした。手術後は前と同じ様にとても傷口が痛かった。そしてロンドンに戻って半年はだいじょうぶだったけれども、その後また傷口が化のうし始めて、ついには金属バーの一部が傷口を破り抜けて目で見えるようになってしまった。あわてて僕と母は日本に戻り、金属バーを体内からはずす手術を受けた。
 今も覚えているのは手術後の痛みと点てきのための注射が若いお医者さんだったのでうまく血管に入らず何度もやり直したときのことだ。胸のへこみはバーのおかげで今は普通の形になったけれども、これと引き換えに僕はたくさんの痛みを感じた。

   講評   nakahi

 励君、暑中お見舞い申し上げます。毎日元気に外で遊んでいるかな?先生のところはトルネードが過ぎ去って、また蝉の声がうるさいほどの日々に戻りました。最近毎日のように蝉の抜け殻をみかけます。この間はシソの葉の上にいました。明け方に蝉が「あ、いい香りがする」なんて思ってシソの上で孵化したのかなと考えるとほほえましい気持ちになりました。
 さて、作文ですが、1000字以上もよく書きましたね。先生は励君の作文を読みながら涙が出てきました。小学生なのにこんなつらい思いをしてよく頑張ったねって。電話で話すときの励君はいつもクールなんだけれど、実はこの数々のつらい経験が励君を強くさせたんだなと思いました。(実際はどうなのかな?)
 手術後に痛みが襲ってきたときはどんなことを思いましたか?「なぜ僕ばかりがこんな思いをしなければならないのだろう」とか「この痛みはいつ終わるのだろう、もうすぐ終わるのかな」とかいろいろ思ったことでしょう。また、手術前にも不安な気持ちがあったでしょう。今度、こういった気持ちを聞かせてね。
 先生がなぜ感動したのかというと、今回の作文は臨場感あふれる表現がたくさんあったからです。例えば、「触れるだけで痛みが走り」「まるで体の中に電気が走るような痛さ」とか「見かねた両親が」など、上手な表現がてんこもりでした。読者の心を打つ表現です。本当に作文が上手になりましたね。嬉しく思います。
 手術は痛いことばかりだったかな?励君の人格形成や考え方に多少なりとも影響を及ぼしたのなら、そのことについても書いて欲しかったな。
 先生は励君の作文を読んで、小学生でもこんなにつらいことを乗り越えているのだから、多少のことでは弱音を吐かずに頑張っていこうという気持ちにさせられました。本当にどうもありがとう。

<表記訂正>
*東京女子医大がこの整形手術が得意で⇒東京女子医大がこの整形手術の権威で 。。。ちょっと難しい成句だけれど、新聞などで出てくるので覚えてね。
*9行目の「そして」は不要
*触れるだけで痛みが走り、
*今も覚えているのは、手術後の痛みと、点滴のための〜

毎月の学年別「森リン大賞」作品集森リンの丘 
 自動採点ソフト「森リン」で上位になった作文を掲載しています。
 しかし、子供たちの実力はそれぞれ個性的です。上手に書けている子の作文を見せて、自分の子供の作文と比較しないようにお願いします。

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