創造と発表の新しい学力
総合選抜入試にも対応。探究学習を超えた、新しい創造発表学習。
AI時代には、知識の学力よりも、思考力、創造力、発表力の学力が重要になる。

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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   「イギリス人は犬を躾けることが」の感想文   えかる

 この文は、イギリス人と日本人のペットと家畜の扱い方の違いを、犬の例で述べている。作者はこの違いは人間と動物のお互いの位置づけが、イギリス人と日本人がまったく異なるからだと考えている。イギリス人は家畜とは人間が完全に支配するべきで、自律性を持たない存在と考え、それに対して日本人は犬、猫そして馬のような家畜を人間の完全な支配下に位置するもの、人間に従属する存在とはみなしていないからだと、作者は違いを説明している。また南極観測隊の置き去りにされても、生き延びていた樺太犬の話で日本人の動物処理方法も間違っていないとも言っている。
 イギリスでは、たくさんの人が犬を飼っている。ぼくの親友も犬を飼っていて、まるで家族の一人のように、みんなが大切にしている。不思議なことにその犬は人間の言葉を理解しているらしい。例えば「Get out !」と言うと直ぐに起き上がり、部屋から静かに出て行く。生まれたときから一緒に暮らしていると言葉だけではなく、何を考えているのか相手に分かるらしい。先日、テレビの番組で飼い主からぎゃくたいを受けた犬が保護され、傷が治ってから新しい飼い主を探すまでを放送していた。このようにイギリスでは、犬を保護するためのしっかりした施設がある。だから街の中では決して野良犬を見ることはない。でも日本ではどうだろう? 母に聞くと、まだ田舎には野良犬がいるらしい。やはり作者の考えの通り、日本人は飼い主としての責任をはたしていないようだ。
 でもすべてのイギリス人がペットの支配者として、家族の一員である犬を回復の難しい病気にかかったり、不要になったりしたら自分の手で殺すことができるのだろうか? ぼくは絶対に何があっても殺せないと思う。それは家族だと思えば自分の子供を殺すと同じことだからだ。この点ではぼくは、作者と違う意見を持っている。ぼくはペットが欲しいけれども、支配者にはなりたくない。いつも一緒にいる友達になりたいだけだ。でも父や母がペットを飼うことを反対するのは、「生き物に対する責任はとても重い」と思っているからだ。「捨てたりするぐらいなら、最初から飼わない方がいい。」といつも言っている。ぼくには、まだペットを飼って生き物を育てるのは早いのかなぁー?

   講評   nakahi

 脩君、むずかしい文章の感想文にチャレンジしてくれました。何が難しかったか先生が想像するには、「イギリス人の犬に対する位置づけ」です。脩君の周りでは、「犬を飼っていて、まるで家族の一人のように、みんなが大切にしている。」人がいるんだね。そしたら、作者の言う、「支配」とは違うよね。もし、作者の主張する意見と脩君自身の意見が違っていた場合はそれを明記しましょうね。第2段落目の始めを「イギリスでは、たくさんの人が犬を飼っているが、どうも作者のいうように支配しているのとは少し違う。ぼくの親友も犬を飼っていて、まるで家族の一人のように、みんなが大切にしている。」と書くと、作者と脩君の立場の違いをはっきりさせているのだから、脩君の思ったことをどんどん書けることができます。意見文というのは、作者に迎合(げいごう)するだけではなく、自分の意見を熟慮して構築することなのですよ。
 でも、犬が人間の言葉をわかるという例は、飼い主が責任を持って育てているという作者の意見ともつながるので、とてもよい例を思いついてくれました。
 惜しいのは、“でもすべてのイギリス人がペットの支配者として、家族の一員である犬を回復の難しい病気にかかったり、不要になったりしたら自分の手で殺すことができるのだろうか? ぼくは絶対に何があっても殺せないと思う。”の部分です。すべてのイギリス人が〜と続いた後、自分を「すべてのイギリス人の中の一員」として書くならば、「ぼくならば、絶対に何があっても殺せないと思う。」と書きましょう。細かいことですが、問題提起に対する返答には一貫性を持たせましょうね。“この点ではぼくは、作者と違う意見を持っている。”という文章は、いいですよ。自分の意見をしっかり持てています。長文の中では、「支配する関係(イギリス人)」と「お互い独立した関係(日本人)」と作者はみなしていますが、実はそういった関係だけでなく、犬を家族の一員とみなす関係もあるということを脩君は提起しているんですね。先生も作者の考え方よりもむしろ脩君の考え方に賛同します。アメリカ人は、犬を家族の一員として迎え、その上で飼い主の責任として子供を育てるように犬を躾けるのです。きっとイギリス人もそうじゃないのかしらと思いながら、先生はこの長文を読んだので、なんだか奥歯にものがはさまっているような感じがしています。

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