国語読解力は、あらゆる学力の基礎。問題集読書の復読と、読解検定の自主解説で確実に力がつく
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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   儲からない賭け話   ニュートン

   儲からない賭け話
                  ニュートン

 窓から赤い夕日が差し込み、どこかで犬の遠吠えが聞こえる。
僕と弟は、テーブルについて夕食を食べていた。母が別の部屋に行き、僕と弟二人きりになったところで、最近二人の間で流行っている将棋の事を話し始めた。
「穴熊の発展形の囲いが・・・・・・。金矢倉の崩し方はさぁ・・・・・・。」
などと、色々と話していたが、不意に弟が、
「ねぇ、将棋一局ごとに十円ずつ賭けない?」
この言葉が始まりであった。喧嘩の・・・・・・。

「嫌だよ。やらないほうがいいよ。」
弟はキレやすい性格なので、自分の意見が反対されたことにすぐ怒った。
「いいじゃん。お兄ちゃんのほうが強いんだから、得するんだよ。」
僕は、かなり呆れた。弟が僕に『得させるために』と、仏のように聞こえる言葉だ。しかしタコのように顔を赤くして、怒りながら言っている弟の言葉は、逆立ちをしたって、その様には聞こえない。仏ならぬ弟の言葉を信用しちゃダメだ、と自分に言い聞かせながら、その事を拒否した。
「じゃぁ、一円でいいから。」
「何度いってもダメだよ。今頃から賭け事をするなんて・・・・・・。」
その通りである。賭け事なんて死んでもやってはいけないのである。パチンコだの競馬のせいで一体、何人もの人々が人生を狂わされたのであろうか・・・・・・。僕が、その事を述べると、弟の堪忍袋の緒は完全に「ブチン」と切れたようである。
「金、賭けないんだな?」
「うん」
「じゃぁ僕のおでんの残りを食って!」
と言って、突然見るも無残なおでんの食い残しを僕に押し付けてきた。弟はちくわの無いおでんに未練は無いのである。
「嫌だよ。こんな汚い物。」
「じゃぁ、金賭けろ!」
金を賭けるのとおでんの残りを食えとのイヤな命令を、弟は容赦なく連発してきた。その度にこちらは、拒否の言葉を出していたが、ついに弟は、
「じゃぁ死んで。」
という最後と言葉を口から出した。全く、弟はいつからこんなに高飛車になったのであろうか。生まれたときは、女の子と見間違う程、可愛かった弟が・・・・・・。だがここはひとつ、思い切り叩きのめさなくては、と思いわざと怖い形相でこんなことを言った。
「ふん、お前なんかに生きる、死ぬなんて決める権利はないんだ。だいたいお前はいつもおごり高ぶりすぎているんだよ。え?俺はなぁ、これでもお前の兄なんだからな。俺のほうが身分が上なんだからな。だからこれからは俺に従うんだ!お母さんにも言うぞ!」
今は、憲法でも人は皆、平等である、と述べられている。ブッダだってキリストだってそう述べている。自称、仏教信者であり、キリスト教信者でもある僕がそんな事を言ってしまうなんて、偉人たちの有難い言葉よりも、喧嘩の悪口雑言のほうを優先してしまう自分が悲しかった。
 さて、肝心の弟はというと、かなり動揺していた。ついさっきまでは、僕に対して無理難題を並べていた弟とは、まるで別人の様になっていた。(もちろん、母に告げ口される方が怖かったのだろう)少し残酷だが、いい気味だった。
 はてさて、賭け事に対しての論争に数十分も費やした僕たちだったが、残ったものは、恨みとすっかり冷めたおでんの残骸だけだった。そして一円も儲からない賭け話であった。所詮、賭け事とはいかなる場合もトラブルの種になるだけである。

   講評   siro

今週は、電話が休みだったので、自由作文にしました。課題作文の場合は、何日間も考え込んでしまうので、時間の無い受験生の僕にはつらいです。でも、今回は、喧嘩のあと、興奮さめやらぬ内にすぐに書いたので1時間くらいであっという間に書けてしまいました。自分でも結構楽しんで書けたので良い気分転換になりました。

毎月の学年別「森リン大賞」作品集森リンの丘 
 自動採点ソフト「森リン」で上位になった作文を掲載しています。
 しかし、子供たちの実力はそれぞれ個性的です。上手に書けている子の作文を見せて、自分の子供の作文と比較しないようにお願いします。

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