国語読解力は、あらゆる学力の基礎。問題集読書の復読と、読解検定の自主解説で確実に力がつく
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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   利潤の科学   クラシック

 戦後の日本の自然科学の分野での発展は非常に目覚しかった。といっても、日本の科学における真の発展は高度経済成長の只中に在ったのではなく、むしろバブルの崩壊が日本の自然科学の新たなる段階を開発したと言えよう。この所謂切り詰める科学は日本にとって<苦肉の策>であった。しかし、そういった新たなる自然科学は素晴らしいものであるにも関わらず、大した世界的評価を得るに至っていない。無論、それは、即ちこういった科学がバブルの崩壊で生み出された<苦肉の策>であるという前提に帰依するに他ならないからであろう。つまり、こうした科学は決して望まれたものではなく、むしろ忌み子だったのである。こうした自然科学を世界の発展に貢献させ得るにはその性質と背景における大きな障害があるのだ。
 そもそも、石油危機が日本に恐慌を齎す以前にもやはり科学の発展はあった。高度経済成長における体験があった。しかし、『消費は美徳』という当時我々が語る通り、むしろ日本の自然科学は海外の自然科学と見紛うばかりであった。いや、むしろ資源に事欠かないという点で日本と海外は全く均質だったというべきか、どちらにせよ、こういった所謂『景気に頼る自然科学』は結局崩壊を迎え、日本には、あらゆる原材料といった点において、ぺんぺん草の一つも残らなかったのである。ここに至って、日本は自らの利益を確保するために、かつてと全く異なる、即ち『切り詰め、再利用する自然科学』を生み出したのだ。エネルギー資源等をミクロ化しあるいは手を加えてより効率良く利潤を生むように、つまり低コストで格資源等を高性能化し自らの利益を少しでも高めていく、これが新たなる自然科学の方針であった。日本には自然科学のすばらしい目覚めがあったが、そういった科学を世界中の問題となるような世界的社会問題に回す余裕は無かったのである。つまり、こういった技術が普遍的に利用できるほど廉価ではないために、世界的社会問題をその自然科学によって解決するに至って何の利潤も認められなければ、使用されることはほとんど無いのである。
 かつて、民衆とこういった社会的なプロフェッショナルの率いる自然科学は完全に隔離されていた。これも世界的社会的原因に目を向かせなかった根本的な原因の一つと言えるであろう。つまり、我々の叫ぶ声は自然科学のプロフェッショナルやそれを率いる企業には届かなかったのだ。これは日本やかつての欧米でも言えることであるが、我々に自らの声明を体現するための強力な媒体が存在せずまたその数も限られていたため、もし政府や各企業がこれについて公平に意見を採取しようと考え、マスメディア等何らかの強力な媒体を通さない限りにおいて、民衆は泣き寝入りをするよりなかったのだ。最近になりようやく、日本に張り巡らされた電子ネットケーブルを通じて、またネットワークの世界に巨大な意思の表明・疎通媒体が出来上がるにつれ、少しづつではあるがこういった風潮は無くなってきている。こういった電子配列の束が1000人の意思を明確に10000人の意見を公平に伝え得るようになったのである。しかしながら、かつての自然科学の伴う傾向は未だに尾を引きずり、まだまだ民衆の声を反映する企業が決して多いとは言えない現状がある。
 とはいえ、現在、こういった問題も大きな進展を見せ始ている。全段落で述べた通り、民衆の意志を疎通する媒体がまた、政府や企業側でも、民衆の声のある点において、結局の所、事業は利益に帰依していくのだということに少しづつではあるが理解し始めているのであろう。やはり少しづつではあるが、民主の意思を真剣に受け止める企業も増えてきている。また、確かにこういった声を聞かない企業も多いが、世界的社会的問題において、利益を模索する企業も現れ始めている。これはつまりかつての相容れぬ問題と自然科学の確かな融和の証拠とも言えよう。

   講評   nane

 今回も微妙なテーマなので書きにくかったでしょう。
 もともとこの長文の作者自身がわかりにくい文章を書くので有名な人だし。(笑)
 具体例を念頭に置いて考えると、問題提起の焦点が絞れる。
 例えば、世界においては、科学の発達は、いかに強力な兵器を作るかという方向で動機を与えられる面があった。日本では軍事技術への志向は少なかったが、科学の発達の動機は企業の利潤拡大だった。企業の繁栄と日本人全体の繁栄がほぼ同義である時代には、この路線は正しかったが、最近はそこに微妙なギャップが感じられる。もちろん長文の作者はここまで書いていないけど。
 例えば、石油に代わる自然に優しい強力なエネルギーの開発が本当は求められていても、石油体制に乗った企業はなかなかそこまでは踏み切れないというような例。あるいは、本当は長持ちするものが求められているが、賞品の陳腐化を早めるために敢えて長持ちしないものを作るという例。紙資源のリサイクルよりも、海外から木材を輸入した方が安くつくように、経済の論理だけで考えていては、真の利益が生かされないこともある。
 インターネットによる情報発信は、一つの重要な提案。この傾向は、これから世の中を変えていきそうだね。

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