国語読解力は、あらゆる学力の基礎。問題集読書の復読と、読解検定の自主解説で確実に力がつく
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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   大きな価値   あとえ

 近代社会は前近代の安定したピラミッド型の社会構造を破壊し、そこに流動状態をもちこんだわけだが、だからといって階層秩序そのもの、すなわちピラミッド型の枠そのものまで放棄したわけではなかった。だが、現在では、異なった文化を根こそぎに均質化し、効率のみがすべてを支配する情報化社会の出現により、公的な文化などはすでに人々と世界を結びつける機能を失ってしまっている。そういった価値秩序の崩壊から逃れるために、人々は均質で平凡な生き方に逃げこもうとする。なぜなら、自己の位置を決定するものは他人との相互関係だけだからである。異質な価値の乱立が戦争状態をもたらさないのは、誰も本当は全体への従属関係を失いたくないからである。
 私たちの社会に、目標となるような大きな価値がないことが問題だ。
 大きな価値がない原因は第一に、日本の社会が「欧米に追いつき追い越せ」などというある一定の目標を達成し、目標を失ってしまったからである。日本は今先進国の一つであり、昔の技術のおくれを取り戻した。むしろ世界で一位二位を争うほどの技術を持っている。そのため、社会全体で目指すものがなくなってしまい、昔のようなハングリー精神が欠けてしまった。大きな目標がなくて、みんな困惑してしまっている。ゲームなどでも同じことが言える。私が小学生だった頃、第一次ポケモンブームがおきた。男の子も女の子も暇があったらポケモンの話ばかりしていた。誰よりも早く、一日も早くクリアーすることに、みんな熱中していた。しかし、一人、また一人と徐々にゲームをクリアーしていき、ブームが終わってしまった。ブームが終わって、熱中するものがなくなってしまい、みんな暇になって毎日が退屈になってしまった。ブームだった時は、時間がもっとほしいと思っていたのに、いざクリアーすると、することがなくなって、時間をうっとうしく思ってしまうようになってしまったのだ。私たちは、目標を失って大きな価値までも失ってしまったのだ。
 また、第二の原因としては、社会全体に大きな価値を疑うような風潮があることだ。巨大化した恐竜は、六五〇〇万年前に滅びた。そのあとに恐竜よりも小さい多様なほ乳類が誕生した。その結果、大きな価値は恐竜のように滅びる運命にあるものと見られている。これは、近代の歴史をみてもいえることで、例えば第二次世界大戦である。ドイツのヒトラーは世界征服を夢見ていた。しかし、ヒトラーの力があまりにも大きくなりすぎて、結局ヒトラーは連合軍に倒されることとなった。日本も、勢力を伸ばしすぎたため、アメリカによって倒されることになってしまった。こういった自然界の例や、戦争の例を考えると、社会全体に大きな価値を嫌がる傾向にあるのだなと思わざるを得ない。だから、社会に目標となるような大きな価値がないのであると思う。
 確かに、たった一つの大きな価値に塗りつぶされた社会は不自由かもしれない。しかし、努力の大きさとは、目標の数ではなく目標の大きさに比例しているから、やはり現代のような価値の不在と分散の時代もまた人間にとって不幸なのではないだろうか。

   講評   kira

 由希子ちゃん、こんにちは。現代は情報化が進んだ結果、さまざまの価値観が乱立する社会になりました。しかし未だ大混乱になっていないのは、人々が平凡であろうとし全体の中に居ようと努めているからなんだね。その努力もいつまでも持つものではない。大きな価値、指標がほしいといった意見でした。
 由希子ちゃんの論の進め方に何の問題もないので、さらにということで燃え尽きている若者の例をひとつ。データ実例です。
 「日本の将来を思い、自分の行く道を自分で決めながら、迷わず突き進んでいける若者たちがどれくらいいるだろうか。 先日、ベネッセコーポレーション文教総研(東京都多摩市)が全国の大学生と高校生約三万人を対象にした意識調査の結果が「大学満足度と大学教育の問題点」と題して発表された。その中で分かった結果は、結論として大学生の四人に一人は目標を持たずに入学し、大学での満足度も低いというもの。
 大学生への「進学した理由」について、十一項目で質問した結果、「専門的な知識、技術を身につけるため」が八一%と最も多く、「安定した職業に必要」も七〇・九%であった。だが、その反面「皆が行くから」は二七・二%、「何となく」は一九・一%であった。つまり、ほぼ四人に一人が無目的に進学していることになる。高校生に対する「大学に進学したい理由」も、「皆が行くから」(二二・五%)「何となく」(二二・〇%)と、大学生とほぼ同じ傾向がみられる。 大学生への「大学に満足しているか」という質問では、全体で六六・八%が「とても満足」「まあ満足」と回答。しかし、先ほどの「進学した理由」で「皆が行くから」と答えた人々の場合だと六〇・六%、「何となく」と答えた人々では五四・一%に下がり、目的のない進学だと大学での満足度もかなり低くなることが裏付けられている。
 これは、自分の将来さえも考えられていない若者が四人に一人いることになる。日本の将来を思うという次元の話ではない。 」
 という話です。問題ですね。
 様々の価値を突きつけられると反対にとてもシンプルなものを求めたくなりますよね。自分自身をシンプルに見つめなおしたい。そうして日本らしさを再確認したいといった動きがありますね。レトロタウンのテーマパークなど。そうして人とのつながりを何よりも求めているのかもしれませんね。
         

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