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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   音色・・・プライスレス   高峰

 プライスレス。先日、こんな言葉を某カード会社のCMで耳にした。これは、旅行先で買った商品の値段を次々にあげ、最後に旅行の思い出はプライスレスだと説くTVCMだ。このCMのように現在、お金では買えないものの価値を見直す傾向が強まっている。世界銀行等では一日の生活費によって貧困な層を定義している。世間ではこの貧困層と呼ばれる発展途上国の人々を「貧乏で可哀想だ」と思ってしまう。しかし彼らの暮らしは、幸せなプライスレスたちで成り立っている。貧乏=不幸と決め付けるのは、あまりにも安易ではないか。私たちは、CMのようにお金では買えないものの価値を見直し、何をもって幸せとするかの考え方を改めるべきである。
 そのための方法は第一に、個人の価値観の相違を認めることだ。価値観が違えば、それに伴って幸せに対する考え方も変わってくる。例えば、自分には決して友達が多いとは言えない。しかし、絶対的な信頼をよせている親友、そしてバンド仲間が数人いる。よって、友達の数こそ少ないものの幸せである。そんな話をクラスメイトに話したところ「俺は友達がいっぱいいないと嫌だ」と見事に返されてしまった(笑)。その友達にしてみれば、数が多くてわいわい賑やかに過ごしたほうが楽しい、とのことだ。(うーん。自分は、将来二人で酒でも呑みながら、青春を懐かしむような渋い友達が欲しいんでね。お主はまだまだ若造よのう・・・と心の中で反論している若干16歳、洟垂らし小僧の自分がいた。)広く浅く友達付き合いをするか、狭く深く仲良くなるか。言い換えれば、数か親密度か。そこは個々の価値観の問題である。そのため、幸せの定義というものはそれを意識する本人にしか分からないものなのである。
 第二の方法は、幸せに向けてのむやみな開発をしないということだ。戦後の日本の人々は、敗戦のショックから立ち直り欧米諸国の人々のように幸せになりたい、と強く願った。そして、工業を発達させることに力を注ぎ、その結果公害が起きた。お金のために人々は頑張り、その結果もたらされたのはお金だけではなく、死や病気である。更に過去をたどれば、明治維新後も海外諸国に追いつこうとして、殖産興業・富国強兵といった政策をとった。すると、立派な軍隊を作り上げることには成功したが、政府はその勢いを抑えられずに軍部の独裁が始まり、第二次世界大戦で大敗を喫すこととなったのだ。このように、無理に幸せを獲得しようと躍起になっていては、必死になって力んだ顔に怯えて幸せも逃げていってしまう。笑う角にこそ、福がやってくるのである。
 確かに、お金があれば幸せである。ありとあらゆる物欲を満たせたら、どんなに素敵なことだろう。必死になってお金を得て、幸せになろうとするのも無理はない。だが、お金で買えないものがある。そんなプライスレスを追い求める人もたくさんいる。この広い世の中には、ありとあらゆる価値観を持った人々が存在するのだから。そして、お金が運んでくるのは幸福だけではなく、招かざる客ももれなくついてくるのである。「幸せって何?」と聞かれたときに「お金があること」と答えるような人にはなりたくないが、高い楽器を買って物欲を満たしたい自分もいる。そんな自分に言い聞かせよう。安価な楽器だって、綺麗な音色が出せれば幸せだ!音色・・・プライスレスを目指せ!!

   講評   jun

 森リンの自動採点では93点。言うまでもなく、これはすばらしい得点です。
 まず、「プライスレス」という印象的な言葉で書き出したところがいいですね。豊かな国、日本のテレビCMの中の言葉と発展途上国の人々の価値観を結びつけたところもなかなかです。
 本当の幸せとは何かを考えるとき、一人一人の価値観の相違を認めることは大前提ですね。人の数だけ幸福の形があるわけですね。友達に関する考え方の違いを示した体験実例は、身近な例でとてもわかりやすいです。二つ目の方法は、視野を広げて考えることができました。歴史実例もしっかり入りましたね。「必死になって力んだ顔に怯えて幸せも逃げていってしまう。笑う角にこそ、福がやってくるのである。」とはうまい表現。
 書き出しを意識してまとめた結びも素晴らしいです。誰にも真似できないプライスレスな音色を是非聴衆に聴かせてくださいね。

   

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 しかし、子供たちの実力はそれぞれ個性的です。上手に書けている子の作文を見せて、自分の子供の作文と比較しないようにお願いします。

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