創造と発表の新しい学力
総合選抜入試にも対応。探究学習を超えた、新しい創造発表学習。
AI時代には、知識の学力よりも、思考力、創造力、発表力の学力が重要になる。

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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   人間に不可能はない   しっぽ

 お母さんが出来るんだから、私が出来ないはずがない。そう言い聞かせながら、必死でペダルをこいだ。
 効力感は、ただ自分の努力によって好ましい変化をひきおこすことができた、というだけでは伸びていくものではない。自分が本当にやりたいと思うものを達成したときだけに初めて獲得されるものなのだ。では、子供は、常に新しいこと、今より更に難しいことをしようとする。これは高等動物である人間には必ずある性質なのだ。多くの人が存在する世界で、一人ひとりが自信をつけるために、効力感を発達させるべきだ。
 まず、その第一の方法に、失敗を恐れない、ということだ。失敗することは、誰にとっても怖いことだ。私が初めて自転車の補助輪を外したのは五歳の時だった。同じ社宅に住む同世代の中で、一番に自転車に乗れるようになりたくて、父に特訓を申し出た。父は私を公園に連れて行った。たくさん遊具があり、初心者にはきついコースだった。転んだら痛そうだ、と思った。しかし、掛け算を覚えられなくて母に殴られたことを思えば、転ぶことなんて私にとっては些細なことだった(笑)。ずっと黙っていた父は、緊張していた私に、「転ばないと出来るようにならないよ」と言った。私は勇気を出してペダルをこいでみた。出来る出来る出来る…自分に暗示をかけながら、何度も練習し、何度も転んだ。日が暮れる頃には、上手に乗れるようになっていた。失敗することは、成功するための過程であり、避けては通れない道なのだ、と実感した。(体験)
 また、人々にチャレンジをしやすい社会を提供することも必要だ。歴史の中でも独特なものの一つに、下剋上というものがある。下位の者が、上位の者の地位や権力を侵す、という下級台頭の社会の風潮を表すものである。室町時代から戦国時代にかけて特に激しくなったようだ。例えば斎藤道三。元は油売りの商人だったのに、美濃国を領し、織田信長と手を結んだという、大変な出世を遂げた人物である。激動の時代であった、という理由もあるだろうが、身分の良し悪しも関係なく、誰もが世作りに参加できるという柔軟さがものを言ったのだろう。今、自分が政権を握りたい、と思ったとする。しかしそれは口で言う程簡単なものではない。いくら上手く世をまとめようという志を持っていようとも、結局学歴や実力に左右されてしまうのである。一度大きな失敗を経験すると、まるで人生が終わったような気になってしまう。何かをしようとする人に、敷居を高くし、ふるいをかける現代社会のシステムは見直すべきである。
 確かに、自分のしたいことを達成し、効力感を得る、ということは大変なことだ。全てのことには競争が付き物で、脱落してしまうこともあるのだ。失敗することで、かえって自信を失ってしまうかもしれない。しかし、挑戦した、という事実だけでも、誇るべきことだ。ただ成功し、結果を得ることだけが効力感となるのではなく、その過程での心境の変化、自分自身の着実な進歩なども、効力感である、ということを忘れてはならない。

   講評   nane

 書き出しの工夫のあとに、「いつ・どこ」などの説明も短く入れておくといいかな。
 体験実例の自転車の補助輪は具体的。「掛け算を覚えられなくて……」はユーモア表現だね。(笑)自分から進んでやって、その日のうちにできるようになったとは、5歳のころから、根性があったんだね。
 下剋上で斉藤道三の例はよく知っていた。下剋上という言葉には悪い響きがあるけど、こういう新陳代謝というのは社会の健全性を保つために必要なことだね。ただしやりすぎると社会がかえって不安定になるから、適度な新陳代謝が必要になるということなのだろうけど。そういう点で考えれば、民主主義は理想的な制度と言えるのかもしれない。人間は、力を持つと身分制に戻りたくなる性質があるから、不断に民主主義を生かしていくことが必要になる。
 「結果を得ることだけが……」は名言になっている。ここに「お母さんができるんだから」という書き出しのキーワードを入れても面白い。

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 しかし、子供たちの実力はそれぞれ個性的です。上手に書けている子の作文を見せて、自分の子供の作文と比較しないようにお願いします。

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